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ファンづくりプロセスの分解図が、非常に本質を突いていて納得感が高い

昨日取り上げた、プロバスケBリーグの
DeNA川崎ブレイブサンダース。

そのファンづくりのエッセンスを伝える
本を、事業戦略マーケティング部の部長
として活躍する藤掛直人さんが出版。
その中で、サンダース流のファンづくりを
3つのプロセスに分解してくれている。

①個性の定義と体現
②体験価値の最大化
③体験人数の増加

『ファンをつくる力』Kindle版 8頁、41頁

①は、少々硬い言葉になっているが、
要は売り物(この場合はサンダース
というチームそのもの及びその興行)
コンセプトをハッキリさせるという
こと。
何を売るにしても、売り物にどんな
個性があって、どういう人に買って
もらうと嬉しさ、喜びを提供できる
のか、見極めておくことは基本中の
基本、大前提となる。

その大前提を踏まえた上で、
②は、売り物そのものの価値
トコトン、ピカピカに磨き上げる
ということ。
③は、売り物を試してもらう範囲
つまりは「リーチ」を最大化しよう
ということ。
ファンづくりには、この2つが殊の外
重要だと力説している。

つい最近読み終えた、ワークマンの
土屋専務が書いた本の最後に、
早稲田大学の入山章栄教授との対談
が掲載されている。
そこで、入山さんが監訳された、
かの有名な「両利きの経営」
サマリーが紹介されていた。

「両利きの経営」=「知の探索」×「知の深化」

「知の探索」とは、自社の既存の認知の
範囲を超えて、遠くに認知を広げていこう
とすること

「知の深化」とは、自社の持つ一定分野の
知を継続して深掘りし、磨き込んでいく
行為

そのように定義した上で、
「両利きの経営」は、両者を高いレベルで
バランスよく実現すること
を指し、
ワークマンはそこに長けていたからこそ
うまく行ったのだという示唆を与えて
くれた。

ここを読んで、この議論はサンダースの
ファンづくりにもそのまま当てはまる

ではないかと考えた。

藤掛さんが言う「③体験人数の増加」は、
「知の探索」と同様に広げること
だし、
同じく「②体験価値の最大化」は、
「知の深化」と同様に深掘りすること
だ。

更に、この考え方というのは、
昔から言われている「T型人材」
話とも共通しているのではなかろうか。

確か、マッキンゼーの元日本支社長で
ある大前研一さんが、この概念を広く
世に知らしめたように記憶している。
要は、幅広く色々なことを知っている
ゼネラリスト
でありながら、
ある特定の分野については誰よりも
詳しく掘り下げているスペシャリスト

であるということ。

サンダースのファンづくり、
「両利きの経営」、「T型人材」、
これらすべてに共通しているのは、
より幅を広げる
・より深く掘り下げる
・両者のバランスを取る

という3つである。

成功要因を抽象化すると、
似たような結論になるのは当たり前
なのかもしれない。
しかし、なんだかんだ言って
それが「本質的」だからこそ、
そのような結論に至るのだとも
考えられる。

実務をやっているときは、
このような抽象化された思考を
意識することがなかなか難しい。

しかし、自分が取り組んでいる
ことを抽象化したときに、3つの
うちのどの部分を担っているのかを
常に意識することで、「作業」が
「仕事」になる
のではないかと思う。

ここで「作業」というのは、
目の前のことをこなすだけ
なっているような動きを指す。
逆に、「仕事」というのは、
目の前のことがどういう目的で
行われるべきなのかを理解して
動く
ことを指す。

常に「具体」と「抽象」を行ったり
来たりしながら、「本質」が何かを
意識して、密度濃く「仕事」をする

そんな状態を目指したいものだ。

なお、藤掛さんの本には、デジタルの
仕掛けを含め、もっと具体的で生々しい
事例
が色々と紹介されている。
気になる方は是非一読をお勧めする。

分量的にはかなりアッサリめ。
文体も読みやすく、何よりビジネスの
興奮
が伝わってきて、あっという間に
読めてしまう。
折角なので、一度は試合にも足を運び、
「仕組み」を体験してみたい。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。