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新興宗教3世として生まれた私の話。

我が家には物心ついた時から仏壇がありました。自分の家だけでなく、父方母方どちらの祖母の家にも、親戚従兄弟たちの家にもありました。ずっとそれが普通だと思っていましたし、仏壇がない家なんてキリスト教の人くらいだと思っていました。

私は新興宗教3世の子として生まれました。

我が家では特に母親が熱心に信仰しており、私はよく母に連れられて幼い頃から信者の集まりに行っていました。そこで大人から他の子供らと自分たちの信仰がいかに正しく、世には必要であるかを学びました。それにまつわるアニメやスピーチ映像を見たり、歌も歌いました。お正月も神社に初詣には行かず、団体の建物に集まりました。それらに対して疑問を持つことは全くなかったのです。

でも成長するにつれ、あんなに正しく世に必要であると学んだ自分たちの団体が、ネットや本で批判されていることを知ります。母にそれを尋ねると、自分たちは何も間違っていない、その人たちがおかしいのだと言いました。団体の集まりに人を誘うことも、その人のためでありしいては自分たちの幸福のためであると言いました。でもやはり、外の話を知れば知るほど自分のやっていることは正しいものなのか疑問に思いました。

母と団体の集まりに行くより友達と遊びに行きたい年齢になった頃、ついに姉に、もうこれ辞めたいと言うと、辞められないよ、生まれた時からあなたはここの団体に入っているんだからと言われました。

母は専業主婦でしたが、朝は団体の発行した新聞を配り、夜は毎晩のように集まりに出かけていました。そのせいで家事が疎かになり、父ともよく喧嘩をしていました。父の仕事がうまくいかなくなったり、私が病気になるとそれは祈りが足りないからだと言いました。母と信仰のことで喧嘩になると必ず、こんなにあなたのためにしてあげているのに、こんなに祈ってあげているのに、お母さんがずっと信じてきたものをなぜ信じられないのかと言われました。

そんな母はある時、その信仰が間違っていることに気づき、そこから抜けることにしたと家族に言いました。辞める旨と家族全員の名前を書き、団体の本部に送ったのです。そこから引き止めるために家に何度も団体の人たちが来ました。今では私たち家族は裏切り者と言われています。あんなに熱心に活動していた母のことを、街で会っても団体の人たちはみんな無視しています。

そして母は別の宗教団体に入信しました。母以外の家族もそこに入ることになりました。そこに入らないと母の葬式ができない、お願いだからと母に頼まれたのです。仕方なくそれを了承し、名前だけ、入信しました。何も活動はしていません。

今、私は宗教は母の趣味だと思うようにしています。だからほっておいています。

私はもう、宗教はお腹いっぱいです。




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