すぐにはわかりあえない関係

子どもが10歳になった。
もう10年か。
時短勤務歴も長大になり、半人前期間が相当に長くなっている。

先日、すこし偉い管理職のかたに、女性従業員の子育て両立での苦労や組織の問題をお話した。

実にフランクに、穏やかに、笑顔で、気さくに、お話ししてくださるかただった。
なんならこちらに友好を見せようとする言葉が多く散見された。

しかし発せられるその言葉のひとつひとつが私の地雷をことごとく踏んでいて、結果的に、すこし偉い管理職のかたに腹を立てている私がいた。

「組織のピラミッドは不要だと思っている。もっとみんなフラットでいいよね」
「僕は管理職として女性を推しているんだよ」
「一概に言ってはいけないけれど、戦略には女性の考えを入れたほうが良いと思うんだよ。男はかっこつけるじゃん。女性は現実的だから」
「時短勤務の制度、子どもが小一までとか小三までに、なんか理由があるの?どこまでだっていいと思うけどね」
「制度か教育に手を入れるということかもしれないけど、どうしたって考えの変わらない人はいるもんだ。パワハラしていた人と話すと必ず、パワハラしたつもりはないと言う。自分は正義なんだと」
「それは人事がしっかりとやるところだよね」
「やはり基本は、上司と部下、あるいは同僚、チームの関係だよね」

一見良いことを言っている。
本人も、良いことを言っているつもりだろう。
しかし、話を積み重ねてじわじわと、だんだん腹が立ってきた。
なぜか。

どこかに悪い上司や悪い同僚と、とかわいそうな女性がいる、と思っているように思えた。
自分はそうではないと思い込んでいるように感じられた。

人事部などの別の部署の仕事だと思っているように思えた。
自分は非難の対象ではないと思い込んでいるように感じられた。

そして、個別対応のみに小さくとどめるような理解しかしない。一般化し横展開しようとしない。

なんでこんなに楽観的なんだろうな。
認識のレベルが違う。
感覚が違いすぎてめまいがする。

考えようによっては、すこし偉い管理職は、10年間、組織横断の問題に気づかずあるいは気付いても何もせずに放置した、加害者とも言える。
なのに、そこに思い当たらずにどこまでも他人事としてものごとを捉える。無責任で無能なすこし偉い管理職。

楽観的で無責任な明るいリベラル気取りのバカ

…とでも言えば良いのだろうか。

だいたい、N数が多かったら個別の問題じゃない、一般化して汎用的に捉えられる組織横断の問題だ。理系なら当然の発想になぜ至らないのか。

どうしたらわかってもらえるんだろうな。頭がお花畑の人って、つける薬があまりないんだよな…

「みなさん、笑顔は大事だよ」

頭が痛くなった。
かろうじて怒りの感情を伝えることくらいしか、できなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?