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相談の結果、知ったこと:消去バーストと自殺潜在能力

昨日は通院日だった。

今回は以下の2点を相談したい、と考えていた。

①苦手な対人関係のなかで思うように動けなくなり、思考も停滞すること

②希死念慮の正体を自分なりに掴んだ気はしたが、それでも「消えたい」という脳内の声を完全には消せずにいて苦しいこと

いずれに対しても私にとっては新たな情報が得られたので、忘れないうちに記録しておきたい。

①について:なぜ動けなくなるのか

負の条件づけにより反応が悪い方に固定されてしまっている。いわゆる「凍りつき反応」が生じているのでは?という見立て。

おそらくは幼少期に行われた喜ばしくない学習が脳に染みついている。
恐怖を感じるような環境のなかに身を置くと反射的に固まって口を噤んでしまう。
それはボールが飛んできたら(条件)、目をつむってしまう(反射)くらい自然なものだとか。

私は早口で甲高い声でまくし立てる女性や、怒気をはらんだ声で罵声を浴びせる男性がとても苦手、というか怖い。
(得意な人はいないかもしれないけど)

情けないかなこのタイプの人の前では極限の緊張状態に陥り、何かをするという状況下では失敗への恐怖も高まり思うように動けず、思考が停滞する。
危険を感じる状況を回避したいという欲求状態、つまり「逃走モード」に入るといえるかもしれない。

そうかと思えば、たまに「闘争モード」になって恐怖に打ち勝ち、その場の空気をなんとか読んで使命を全うできるときもある。
しかしそれはたぶん軽躁的な力を借りているか、過剰適応を発揮しているだけだと思う。

圧倒的にフリーズする率の方が高くなりがちなことを思い返し、うなだれる私に主治医は「凍りつき反応は、ずっと残るわけじゃないんですよ」と告げた。

①についての新たな情報:凍りつき反応における「条件消去」の可能性

試行を繰り返すうちに、つまりは苦手な状況に身を置き続けるうちに負の条件が「恐怖を発動させる条件」としての効力を失うらしい。
これを「条件消去」というのだとか。

晴れて負の条件づけが消去されれば、以前は恐怖が発動していた場に身を置いてもフリーズしなくなる。つまり凍りつき反応は和らぎ、恐怖や緊張も感じにくくなるようだ。

苦手な環境で恐怖が発動しなくなる、というのはすごい進歩のように思えた。対人関係の問題が一部改善されることはきっと日常の過ごしやすさにも影響を与えるだろう。

しかし、試行を繰り返すということは自ら負の条件に身をさらし続けるということ。
逃走したくなるほどの場に突入し続けるのは非常に勇気と根気が必要なように思う。

そして条件消去が発生する前には一時的に問題行動が劇的に増えるらしい。それを「消去バースト」という。問題行動はさまざまな形をとるようだが、私の場合は過食・課題からの回避が該当するみたい。

あれ?もしやと思い「出勤の前日に心臓か胃そして背中に刺すような痛みが走り、呼吸も苦しく立っていられなくなったことがある」と報告してみた。

すると、その身体症状も消去バーストの一部かもしれませんねと返答があった。
「(出勤という)課題から逃げ出したいよ」と全身で訴えているのかもしれない。

どこまで身体症状を軽視していいかは少し疑問だが……条件消去を達成したいので、消去バーストをなんとかやりすごしていきたい。

②について:希死念慮を抱くのは仕方ない

希死念慮、すなわち「死んでしまいたい、消えたい」という思いはネガティブな状況と完全に決別するための唯一のアイディアなので、苦しい状況にあるときに死に惹かれてしまうのは仕方のないこと、と主治医は微笑む。

そうか、仕方ないことなのか……とほんのり安心していると聞いたことのない言葉が耳に入ってきた。

「ただし、自殺潜在能力が高いと話は別です」

「ジサツセンザイノウリョク……?」
何か秘密のスキルのような響きを持つその単語を私はそのまま聞き直した。

②についての新たな情報:自殺潜在能力は上げてはいけない

「希死念慮、すなわち自殺願望と自殺潜在能力は別物で後者が高いと実際に死に至りやすくなります」と主治医は語る。

自殺潜在能力が上がってしまうきっかけが気になり、尋ねた。

「自傷行為です。特にリストカット。痛みや恐怖への耐性が上がると自殺潜在能力は高くなり、既遂率は20倍以上に跳ね上がります」

私は痛みにめっぽう弱く、リストカットという形で自傷行為はしたことはなかった。

「抜毛、過食、ギャンブル依存、アルコール依存、性的逸脱があったくらいなので大丈夫ですね」とつぶやくと「うーん最後の2つは若干のまずさはあるけども」と苦笑された。

「痛みに慣れてしまうことが問題なので。大きな交通事故を経験してるとか。ラグビーやボクシングなど痛みを伴うスポーツをしているかどうか、も希死念慮についての相談を受けるときは気にしていますね」と主治医は続ける。

なるほど。たしかに私は自らやり遂げる勇気はなくて、これまでも他力本願的に「朝目覚めたら消えてたらいいのに」と思ってきた。

だから、と主治医は私を見据える。

「自殺潜在能力を意図的に上げるようなことはしないで。高まってきたら必ず報告してください。その場合は対処法がまた変わってきますから」

希死念慮を抱くことに否定的な態度を示されることもなく、自殺潜在能力という上昇すると危険な能力の存在について教えてもらえてよかった。

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