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「高すぎる」 ポルトガル語ワンポイントレッスン リリアン・トミヤマ 月刊ピンドラーマ2021年3月号

#ポルトガル語  ワンポイントレッスン
#月刊ピンドラーマ  2021年3月号 HPはこちら
#リリアン・トミヤマ  文

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「ブラジリアン・ブルーズ(Brazilian blues)」という表現を最初に知ったのはスウェーデンのジャーナリスト、ヘンリク・ヨンソンからでした。外国人ジャーナリストの間では、この感情について言及することがかなり一般的なようです。

 彼によるとこれは、ブラジルを愛するのだが、努力すればするほどブラジルは決して世界的な勢力にはならないことがわかるという、悲しい感情なのです。ブラジルの「片足」が常に第三世界の泥沼にはまり込んでいるかのようなのです。彼によれば、ブラジルは簡単に過ちを繰り返し、過ちから学ばないのです。

 批判ということについてですが、みなさんはポルトガル語でどのように批判しますか? 「muito」を使って形容詞を強めるのが最も一般的だと思います。例えば、「Rio de Janeiro é muito perigoso.(リオデジャネイロはとても危険だ)」。

 でも、批判的な面を強調したいとしましょう。その場合は、「demais」を使うことをおすすめします。

 構造はとてもシンプルです。

 動詞ser+形容詞+demais

 É caro demais.(高すぎる)

 É doce demais.(甘すぎる)

 É longe demais.(遠すぎる)

 É difícil demais.(難しすぎる)

 この構造で使う場合、大部分は何かを批判したり文句を言ったりするのですが、賞賛、それも大いに賞賛する時にも使います。

​ Maria é linda demais.(マリアは超綺麗だ)
(この場合、彼女は尋常ならざる美しさを持っています)

 Esse gato é fofo demais!(この猫、チョーかわいい!)
(この場合、ペットがとてもとてもかわいいのです)

 O povo brasileiro é simpático demais!(ブラジル人はめちゃフレンドリー!)
(この場合は二とおりに解釈できます。他国民にない親近感の賞賛、あるいは、真剣さが足りないことへの批判。イントネーションや文脈によります)

 ただ、なんでもかんでも「ブラジリアン・ブルーズ」というわけではありませんね。ですから、オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクの話で今月は終わりにしたいと思います。1936年にブラジルに来た時、彼はヨーロッパで最も読まれ翻訳されている作家で、ブラジルの持つ潜在力に驚いたのでした。多様な出自や地域から来た人々の間の多文化寛容性が、ヨーロッパにとっての模範になると思ったのです。こう書いています。

「我々の旧大陸で、競馬馬やドッグレースの犬を育てる人のように、『民族の純血』という空虚なイデオロギーに人々が専心している間に、ブラジル国民は、黒人・白人・黄色人・混血の人々の平等化を目指して、自由で制約のない諸民族の交わりを原理とした基礎の上に、ひとつの国を完璧に作り上げようと専心している」

​ 興味深いことに、85年前のこの思想は今でも生きています!


月刊ピンドラーマ2021年3月号
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