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週末旅行にグアラレマ Guararema(サンパウロ近郊の街) 青木遼 2021年6月号

#月刊ピンドラーマ  2021年6月号 HPはこちら
#青木遼 (あおきりょう) 文

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 このコロナ禍で、自粛を強いられ、巣籠状態の皆様に、サンパウロから84kmと手頃な距離の、車で一時間半のグアラレマ Guararema の街を紹介しよう。

 2019年末に、某旅行社が、クリスマス・イルミネーション・ツアーを実施し好評だったとのことで、2020年はどこにも出れずうんざりしていたので、年末さっそく出かけてみた。位置的には、日系人の多いモジ・ダス・クルーゼスへ23kmと隣接する。人口は3万人ぐらいの小さな街。ただし2020年の年末は、街の名物のイルミネーションは見られなかった。なぜなら、住民が市役所にイルミネーションはやめてほしいと、申し出たとのことで、観光客が多く来ると困ると、コロナ禍を心配しての配慮とか。それでもとりあえずサンパウロを脱出して、田舎でのんびりするのも良いものだと、嬉々として出かける。筆者は、初めての街に出かける時、必ず Guia Mapograf Brasil を、検索する。しかしこのグアラレマの街は、片面ぺージの三分の一ぐらいしか表示がない。無理を言って旅行社に、データを取ってもらい、それを頼りに出かけた。

列車内[1]

(観光列車の車内)

 初日は、街に着くや、名物の Train(汽車・観光列車)に乗った。時間も決まっていて動かない日もある。これは、サンパウロから予約をして出かけた。一時間前にチケットを受け取ってくださいとのことで、チケットを受け取って駅のすぐ隣のノルデスチ料理のレストラン Estação Nordestina に入る。屋根が高くて、木材が豊富に使ってある。マリアフマッサ(蒸気機関車)と聞いていたのだが、現在はディーゼルで動く普通の汽車。計2時間のツアーで、汽車の中は洗面所もないと聞いていたが、乗車時間は片道30分。終着駅のルイス・カルロス(Luiz Calros)で一時間休憩。この駅は、またまた小さなミニチュアの様で、山間を背にして街がある。広場の真ん中に教会があり数件のバールや、レストランがある。1891年に建設された。グアラレマの街から、7kmの距離。この距離を30分かけて移動するのだからのんびりしたものだ。線路沿いでトレッキングしているグループにであう。車窓から手を振ると、向こうもちぎれんばかりに手を振ってくれる。健康的なコミュニケーション。この汽車の中では、アコーディオンの演奏もあり、陽気なブラジレイロははしゃぎまくる。飛沫感染するのではないかなど心配する。しかし、座席が一番前なのでその集団とは少し距離がある。だが、クラスターの発生は? と、また不安になる。が、そこはブラジルで、ブラジレイロは気にしていない。この街で一番の中心といったら、この鉄道の駅だろう。クラシックな、佇まいだ。この列車の問い合わせは、下記の通り。

(11)4695-3765 /4695-3782 / 97363-6405
www.tremdegurarema.com.br

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(ルイス・カルロス駅)

 さてこの街の宿泊には、古くからある Vale do Sonho Hotel & Eventos や Guararema Parque Hotel、Hotel Fazenda Pintado na Brasa 等や小さなポウザーダもある。筆者は、グアラレマ・パークホテルに泊まった。四つ星程度だが、敷地内は広く高台にあり、食堂からは街の中央を流れるパライーバ川が俯瞰できる。この眺めは逸品だ。ホテル内から街全体が把握でき、この川が借景となり、悠々とした気持ちになれる。初めてこのような景色に出会った。海が見えるのはよくあるが、川が眼下に見えるのは珍しい。また夜景も素晴らしい。毎日の料理も趣向を凝らし、おいしい。良い保養となりそうだ。

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(グアラレマ・パーク・ホテル​)

 2日目は、ホテルのすぐ隣の、ノッサ・センニョーラ・ダ・アジューダ教会 Igreja Nossa Senhora D’Ajuda に行く。テラコッタ様式で1682年創設。正面は長い急な階段があり、小さな教会であるが由緒ありそうな建物。垣根の金網に多くのミサンガ(プロミスリング)が結びつけてある。このミサンガは、色とりどりの紐であるが、腕などにまきつけておき、紐が切れると願いが叶うという風習がある。

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(ノッサ・センニョーラ・ダ・アジューダ教会)

ミサンガ[1]

(ミサンガ)

 この教会を出て、ペードラ・モンターダ市営公園 Parque Municipal da Pedra Montada に行く。この公園に名前のとおり大きな岩があるという。ホテルを出て13kmぐらいの距離にこの市営公園はあった。このグアラレマの街は小さいので、移動にはいつもタクシーを使っていたが、あまり費用はかからない。とても便利である。ミネイロの運転手のアディルソンに毎日来てもらい、目的地で降ろしてもらい、帰りは迎えに来てもらってホテルまで運んでもらう。効率的で、大した金額ではない。さてこの公園中に不思議な岩がある。どうして重なっているのか、どうして落ちないのかわからない。すごい迫力だ。山頂付近にも、大きな岩がある。インディー・ジョーンズ博士が、見るとなんというか? 山頂付近の大岩は、秘密の儀式でも使えそうだ。この公園の入口のすぐそばに3階建ての木造のレストランがある。森林の中で、悠然とそびえている。後で、ここで休憩するが、メニューがレコード盤で作られていた。ざっと公園内を歩いても小一時間ぐらいで廻れる。老若男女、森林浴が楽しめる。マイナスイオンいっぱい。その後ホテルに帰り昼食。一休みしてホテル内でゆっくり。16時の午後のお茶には必ず出かけて、ティータイムを楽しむ。船旅でもお茶の時間があるが、ブラジルは豊かなので、この軽食で結構お腹がいっぱいになる。ホテル内には温水プールもあり、午後は施設内で楽しむ。

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(ペドラ・モンターダ)

 3日目も朝5時には目が覚め、鳥の声を聞きながら絶景のレストランで朝食。その後展望台 Mirante de Guararema に出かける。暑い日で木陰がない。この見晴らし台は街の中心部にある高台。あまり高くはないが、街が360度見渡せる。大きなグアラレマの街の名を描いた甲板が中央部にある。そこを降りていくと大きなスーパーがあり、水やスナック菓子等を買うのに便利である。前には、タクシー乗り場もある。この街では流しのタクシーをひろうのは困難である。この展望台から、ノッサ・セニョーラ・ダ・エスカーダ Igreja Nossa Senhora da Escada という教会に移動する。地図を見るとすぐ近くなのだが、タクシーに乗って焦った。隣町だという。街道に出る。運転手に何キロだと聞くと、10キロだという。まあいいかと観念して乗っていた。この教会はミナス地方などに見かける古いつくりの教会。バロック様式で1652年に創設された。広場の前には大きな木がそびえている。あいにく午後しか開かないという。「なあに田舎の良い空気を吸いに来たのだ」と負け惜しみがてら、そこを後にした。その後に街の鉄橋を通り、レカント・ド・アメリコ市営公園 Parque Municipal Recanto do Américo に行く。昨日の大雨で、危ないから島のほうへは渡れない。管理人の人たちが、口を揃えて、「ベリゴーゾ、(危ない、危ない滑るぞ)」と言ってつり橋をわたらせてくれない。やむをえず、そこから川沿いに歩き、環境保全地区のイーリャ・グランデ Ilha Grande / NEA に行く。名前のごとくここは島になっていて、島全体が公園。一周して良い散歩道。パンフレットを見るとどうもこの地域が、クリスマス・イルミネーションの中心地のようだ。橋の欄干などに光の装飾の写真がある。きっとこの島に光のデコレーションが飾られ、さぞきれいであろう。少し残念だがイメージするのも楽しい。次のチャンスを狙おう。この公園を通り抜けると、民芸品の市が並んだ Centro Artesanal Dona Nenê がある。民芸品はあまり変わり映えがしないが、十数軒並んでおり、その外では、野菜や果物のフェイラをやっていた。街の特産品はあまりお目にかからないが、グアラレマ製のカシャッサやリコールがある。安価でおいしい。ミナスのチーズも売っている。この付近が街の中心部で、1875年に建てられた中央教会 Igreja São Bento がある。

 翌日は、また街の中心部や見忘れた所をまわり、土産を買いに行く。この街は小さくてこれという特産品などないが、週末にふらりと出かけ、市営公園でゆっくりするのもよいだろう。

 筆者は、3泊4日とホテルでの休暇を楽しみながら、街を散策した。このコロナ禍で、サンパウロに閉じこもっている人には、おすすめの観光地だ。Go To Travel !!! グアラレマへ。

青木遼(あおきりょう)
旅行好き。


月刊ピンドラーマ2021年6月号
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