山田ナミオ

【note】詩をかくところ 【好】尹東柱 / 茨木のり子 / ボブ・グリーン / 寺…

山田ナミオ

【note】詩をかくところ 【好】尹東柱 / 茨木のり子 / ボブ・グリーン / 寺地はるな / 本 / 旅 / 対話 / 詩 / エッセイ 【喜】2024年1月 / 4月 / 5月:ココア共和国(電子版)「佳作」で詩が掲載されました

マガジン

  • 【詩集】

    詩をおひとつどうぞ。

  • ESCAPE

    子育てを終えた女性が全てから距離を置き、一人の時間を自分に贈ろうと海外で暮らす一ヶ月の話。

最近の記事

【詩】夢

泣きながら「誰にも相談できなかった」と言っていた。 夢の中で、私はかつて助けてくれた人に想いを話していた。 随分前のこと。 もう自分の中では終わったことだと爽やかに片付けていたけれど。 感情はまだくすぶっていたのか。 その人がにっこり微笑んで、私はスッキリと目覚めた。 あの時の感情がもしまだその辺りにいたとしたら 私は本当に解放されたんだと思う。 そういう夢だったんだと思う。

    • 【詩】ひとり

      ひとりになることを本気で想像してなかった ひとりじゃなかったから想像できなかったのかも知れない ひとりになってみたら 思ったよりも自然 相手がいないから強がることもできなくて 私は何の殻も甲羅も毛皮もない ただの柔らかな塊 繊細で 怖がりで 淋しがり 知らなかったね ひとりじゃなかったから 柔らかな私は 今日もじっと身を丸めて 怖い世界から身を守る ひとりも案外悪くないな なんて言いながら いつもよりも早く眠る

      • 【詩】ネガティブの砂

        何かよくないことが起きた時 原因探しをしたい人がたくさんいる まるで探偵や心理士にでもなったような感じで 嬉々として人の問題に取り組む ヒーローになりたいのか 自分とは無関係だと安心したいのか 散々あれこれ言って気が済んだら みんな次の原因探しに出かけていく 残った人は 人々がばら撒いていった ネガティブの砂の中から 自分のパーツを探し出す 一人で探して 一人で自分を組み立てる

        • 【詩】遠ざかる

          春。大切にしていた人が遠ざかる。 いつも気にかけていた 私の日常の中に ぽっかり穴が開く こんな経験したくなかった ずっと一緒にいたかった そんな本心にフタをする様に 私の理性と知恵は働く それだけの喪失感を味わえるなんて 最高の出会いだったじゃん って言葉で大きなフタをして 人生の一つの思い出として そっとこの気持ち丸ごと 過去に流し込む キラキラとしたそれは やがて私の中に沈んで 何もなかったかのように 新しい日常が始まる それはずっとキラキラしたままで

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        • 【詩集】
          31本
        • ESCAPE
          4本

        記事

          【詩】感情の先回り

          自分に起きたことを話すと言われる 「それは悲しかったですね」 「淋しくなりますね」 「嬉しいでしょう」 ちょっと引っかかりながら それでもうまく素通りしてきたけれど やっぱりそれはおかしいと思ってしまう 私は感情をゆっくり味わう だから私の気持ちを先回りして決められるのは つまらない もっとつまらないのは その言葉が1+1=2みたいな式の中にあること こういう時はこう言うものだというシステムの中で こんなに大切な言葉を自動的に発してしまうこと 私は心を自由にしておきた

          【詩】感情の先回り

          【詩】心配

          あなたがいなくなるのが 心配で仕方なかった 幸せなのに 不安で 一緒にいるのに心細かった あなたがいなくなってから 心配がなくなった 残ったのは淋しさだけど 不安はどこかに消え去った 結局私は何を心配していたんだろう 一緒にいる間くらい 無邪気に楽しめたらよかったのに 幸せを味わい尽くせばよかったのに

          【詩】お母さん

          お母さん 嘆かないで 私のセーターの模様が変だって 友だちに笑われた時 「絶対可愛い」って言ってくれた いじめっこが私を迎えに来た時 「いません」って追い返してくれた 振られて泣いた時 ただ黙ってそこにいてくれた お母さん 子のわがままだって わかってるけど お母さんが老いを嘆く時 私はあの時のお母さんのように あなたを支えることは できそうにありません だから嘆かないでください

          【詩】お母さん

          【詩】バランス

          あなたがいなくなる時 私はどうなるでしょう きっと最後まで冗談言って手を振って 姿が見えなくなったら泣くでしょう それからそれから 本を読んだり庭仕事をしたり しばらくは自分の感情に蓋をします それで大丈夫になるでしょう だから心配しないでください その内あなたがいないことに 慣れるでしょう きっと あなたは笑って手を振っていた 私のことだけ 覚えておいてくれたら それで十分です

          【詩】バランス

          【詩】このまま消えても

          「このまま消えても大丈夫」 思わずつぶやく 心配しないで そういう意味じゃない 私は心底安心してる 満足してる 消えたいわけじゃないの ただ消えても大丈夫ってくらい 心が満たされてる そう言いたかったの

          【詩】このまま消えても

          【詩】東京

          空をぼんやり眺める生活じゃなかった そもそも眺める空が見えないくらい 私は埋もれてた そんなことに気づいてしまった 久しぶりにぼんやり眺めた空は 東京の空 目の左端から飛んできて右端に消えるまで 鳥の姿がちゃんと見えた 東京で 久しぶりに空っぽになった

          【詩】癒し

          川のせせらぎとか 鳥のさえずりじゃなくて 都会の喧騒 商店街の洋楽懐メロをBGMに 行き交う人を見ながら 大きな空をぼんやり見上げる 遠くから漂うカレーの匂いの空気を 胸いっぱいに吸い込んで 呼吸が深くなる 呼吸が楽になる 私の癒し

          【詩】弱さ

          弱さはみんな持っていて ただそれを認めるか否かの二通り 強そうに見える人ほど 自分の弱さを知っている 弱さが漏れ出してる私は 自分の弱さを認めようとしない その勇気もない 最も弱い生き物

          【詩】子ども

          空気がおいしい場所で 気がついたら子どもになっていた 夢みたいなゆめを ワクワクしながら話していたら 明日にでも叶えられそうな気がした まわりにいる人たちが みんなニコニコしていて 子どもも大人も おとこもおんなも 何も気にしないで ただゆっくりゆったり過ごしていた こんな場所もあるなら ずっとこんな場所にいたい それも夢じゃない気がした

          【詩】子ども

          【詩】さようなら

          「さようなら」の感触が 未だに思い出せないのです あれが本当の最後だったなんて 未だ思えないんです また会える様な気がして また話せる様な気がして あの時あなたは本当に あれが最期だって知っていたのでしょうか そればかりを 考えてしまいます 私だけでなく あなた自身も 「ありがとう」とは言いながら 「さようなら」とは言わなかったから また会う日まで

          【詩】さようなら

          【詩】旅人同士

          一人乗り込んだフェリーで 一晩かけて隣国へ行くフェリーで 一人旅人同士知り合った 海を見ながら話したり黙ったり これからの旅への期待と不安を しばし無言のうちに分かち合って それぞれの客室へ帰っていく 互いに自分のことは詳しく語らず ただ旅の話をして またそれぞれの旅に戻っていく 一人旅同士の良さ あの距離感が今でも素敵だったと思う

          【詩】旅人同士

          【詩】旅が呼んでる

          旅が呼んでる そう気づいたのは 私の画面にバックパックの写真ばかり出てくるようになったから バックパックに必要なものだけを入れて 気ままに歩くあの旅を 私が欲していると気づいたのは 私の頭に旅で出会った人たちばかり出てくる様になったから 旅が呼んでる こっちにおいでと手招きしてる 私はたまらなくなって目をギュッと閉じる 次にこの目を開く時私は異国のどこかにいるだろう

          【詩】旅が呼んでる