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すべての本屋が「蔦屋書店」を見習うべき、たった1つの理由

僕は本屋に行くのが好きなのですが、行くたびに思うことがあります。

それは「文庫コーナーって本を探しにくいよなぁ」ということです。

文庫はどの本屋も基本的に出版社ごとに名前順(あいうえお順)で並んでいます。これは文庫だけでなく、新書も同様です。

本屋や出版社(の営業)からすれば在庫を管理しやすいのは間違いありません。僕は元々、書店員だったので、在庫管理の大変さはわかっているつもりです。

でも、お客さん目線で考えると、文庫や新書という判型でまとめられても本を探しにくいだけなんですよね。全然、お客ファーストではありません。

もちろん、買いたい本やお目当ての著者が決まっているときは便利かもしれませんが「こういうジャンルの本を読みたいな」ってときに、文庫および新書コーナーの出版社別・名前順の陳列は不便です。

ほとんどの本屋はジャンル(歴史とかビジネスとか)の棚に文庫や新書を置いてません。ジャンル別の棚にあるのは四六判のハードカバーやソフトカバーだけです。

前置きが長くなりましたが、今日お伝えしたいのは蔦屋書店の陳列およびジャンルの分け方についです。

最初に説明したとおり、ほとんどの本屋はお店本位の陳列です。しかし、蔦屋書店では本の判型(大きさ)に関係なく陳列をしています。

つまり、文庫であろうと新書であろうと、判型ではなく「本のジャンル(内容)」を最優先で棚が作られているということです。

1つのジャンルをチェックすれば済む気楽さ

僕は本屋に行くとき、ジャンルごとに棚をチェックすることがほとんどです。

歴史のコーナーを見て、次は心理学のコーナーを見て、その次はスポーツのコーナーを見て…みたいな感じで、本屋をウロウロするのが好きです。

きっと、こういう新しい本との出会いを求めて本屋に行く人は多いと思います。

お客さん目線で考えると、判型ではなく「ジャンル最優先」の棚作りって本当に助かるんですよね。

蔦屋書店は、歴史のコーナーにちゃんと歴史に関する文庫や新書も置いてあるし、ビジネス書コーナーにも文庫と新書が陳列されています。

ようするに、蔦屋書店は1つの棚でジャンルが網羅できているのです。

一つのコーナーに、ちゃんとそのジャンルの本が並んでいるので、シンプルで見やすい。そのおかげで、欲しい本が判型に関係なく、ちゃんと見つかるようになっています。

文庫・新書売り場に体力を奪われる…

たとえば、アメリカの歴史に関する本を探しに本屋に行ったとしましょう。

ふつうの本屋であれば、歴史書コーナーを見た後、文庫と新書のコーナーもチェックしないといけません。

さきほど説明したとおり、文庫や新書は名前順で並んでいるので、アメリカの歴史が書かれた本を探すのは一苦労です。背表紙を目で追って、1冊ずつタイトルを見なくてはいけません。

これは労力もかかるし、時間も浪費します。僕のように2〜3時間くらい本屋に滞在する人だと、疲れてしまって「もう文庫コーナーは見なくていいか…」と不完全燃焼で終わったりもします。

でも、蔦屋書店であれば歴史書のコーナーを見るだけでOKです。1箇所だけチェックすれば済むので気持ちも楽だし、なにより本を選ぶのが楽しくなります。

判型を無視すれば、本屋はもっと楽しくなる

さきほど触れたとおり、僕は書店員として働いていたこともあるので、在庫管理の大変さを知っています。

でも、文庫や新書コーナーって、あまりにもお店と出版社本位だなと思ってしまうのです。

出版社を見て「講談社の文庫か、よし買おう」みたいなお客さんはほとんどいないですからね。

もっと多くの本屋が、文庫や新書などに関係なく棚を作る「判型レス陳列」に変わっていくべきです。

陳列を変えて本屋が楽しくなれば、来客数もさらに増えるでしょうし、お客さんがお店に滞在する時間も増えて、売り上げもUPすると思います。

もちろん、お店としては大変な面もあります。在庫管理は言わずもがな、ジャンルごとの棚をつくるためには書店員の教育も必要ですからね。

ただ、書店員にとっては自分の棚をつくるのが仕事のやりがいだったりもします。僕も書店員の頃は、自分で本を仕入れて、自分が思う理想の棚をつくるのが本当に好きな時間でした。

判型レスにすれば、棚をつくる書店員のモチベーションにもつながるので、メリットのほうが圧倒的に大きいと感じています。

賛否両論あるとは思いますが、極論をいえば、文庫や新書コーナーは廃止してもいいのでは、というのが個人的な考えです。

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