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物価高で混乱する世界

ロシアは石油、ガス、小麦の大型輸出国です。ロシアのウクライナ侵攻とそれに対する各国の経済制裁によって、世界中で燃料価格、食料価格が上昇し、1970年代のオイルショック以来の混乱になりそうな気配を見せています。

このまま物価の上昇が続けば、各国で政情不安につながる可能性があります。

「政治の領域では、西側諸国のリーダーたちは有権者の怒りと向き合わねばならない。これは11月のアメリカの中間選挙に限ったことではない。2018年にガソリン価格の急騰に対する市民の怒りからフランスで始まった「黄色いベスト運動」のことは記憶に新しい。国民の支出に対して食糧や燃料が占める割合が高い貧しい国では、反動はさらに激しいものになる。2007~2008年に食料価格が高騰したときは48カ国で暴動が起きた。いまパニックと政情不安が起きる兆しはすでに現れている。」
"In the political realm, leaders in the West will have to face furious voters, not least in America’s mid-term elections in November. Remember the gilets jaunes protesters in France in 2018, furious at the cost of petrol. In poorer countries where food and fuel are a larger part of people’s spending, the backlash could be still more violent: food-price spikes in 2007-08 led to riots in 48 countries, and there are already signs of panic and unrest today."(英エコノミスト2022年3月12日号 "Fuel, food and fury"より。以下引用同じ)

では、ロシアが孤立したことによる燃料や食料の供給不足に、どう対抗すればいいでしょうか。

「まず率先してやるべきなのは、供給力を高めることだ。サウジアラビアを始めとするOPEC内のアメリカの同盟国には石油の増産を断られたが、アメリカが外交的にもっとうまく立ち回れば結果が出せるはずだ。また富裕国には、150億バレルの備蓄石油の放出を急ぐという手がある。」
"The priority is to boost supply. American allies in OPEC, including Saudi Arabia, have declined to pump more oil, but more adept American diplomacy could yield results. Rich countries could speed up the release of the 1.5bn barrels of oil they hold in reserve."

米国を始め、備蓄放出はそろそろ始まっているようです。サウジアラビアの塩対応はどうなるでしょうか(^_^;)

燃料費や食糧費が上昇すると、貧しい国、そして貧しい家庭ほど影響が大きくなります。

「富裕国の政府は、給付金で自国の貧困層の人々を救済する必要があるだろう。(給付金という形で)経済刺激策をとれば金利や税金が上がることになるが、世界を侵略者から守るためにはとるべきリスクだ。」
"Rich-country governments may have to protect the poor at home with handouts. Stimulus could mean higher interest rates or taxes, but that is a risk worth taking to protect the world against an aggressor."

給付金をむやみにばらまくことは経済的リスクにもなるのですが、物価高が生活苦に直結する世帯を救済するなんらかの措置は必要ですね。

これ以上の物価高になる前に戦争が終結してほしいものです。しかし供給力アップもいいのですが、気候変動の問題もありますし、富裕国はもっともっとと欲しがるよりも、エネルギー使用を減らす方向性も考えていかないといけないように思います。

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