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Radio236.[再]小原泰明さん(愛知県豊橋市 曹洞宗 西光寺)

お寺の朝から始める、安養な生活。あなたのウェルビーイングがととのうポッドキャスト「Temple Morning Radio」。
隔週でお届けするアンコール配信。236週目は愛知県豊橋市 曹洞宗 西光寺 小原泰明さんをゲストにお迎えした、2021年4月のトーク音源を再配信します。


トークゲスト プロフィール

小原 泰明(おはら たいめい)

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豊橋市西光寺副住職(曹洞宗) 1980年愛知県豊橋市生まれ。いわゆるお寺の長男。駒澤大学仏教学部卒業後、大本山永平寺にて修行。『未来の住職塾』1期生。

特に力を入れている活動(趣味でも◯)

拙寺の「酉の市」、拙寺が本部の「ボーイスカウト豊橋第1団

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Day4「ポルトガル語を学ぶ理由」のアフターエピソード(2024.10.17 追記)

小原さんのトークエピソード Day4「ポルトガル語を学ぶ理由」の再配信にあたり、お話しの中に登場する「ブラジルからの転校生」とのその後の再会についての文章を(小原さんの許可を得て)こちらに掲載させていただきます。
お寺のメールマガジンからの転載テキストとなります。トークをまだ聞いていない方は、ぜひ以下の音源を聞いてからお読みください。

【泰明(たいめい)のつぶやき】
32年という時はどれほど長いのでしょうか・・・。 ずっと前のメルマガにも少し書きましたが、私が小学校5年の時、ブラジルから転校生が来ました。
背が高く、キョロッとした瞳の、明るく、まっすぐな子でした。当時としても、全校で外国籍や外国をルーツに持つ児童は彼一人だけ。当然に注目の的で、なんだかクラス全体がソワソワしたことを覚えています。
私たちはすぐに仲良くなり、片言の日本語で、一緒に銭湯に行ったり、公園で遊んだりと過ごしていました。
中学に入り、すぐに突然の転校。クラスが違ったので(当時9クラスもありました)転校したことも転校した先のことも分からず、不意にいなくなってしまった、という記憶があります。

その後、全く会うことはなかったのですが、数奇なご縁と言いましょうか、一度だけ、一瞬だけの再会がありました。
今から25年も前のこと。父(住職)が、脳梗塞で倒れ、豊橋市民病医院に明け方搬送されました。まだ薄暗く、しーんとした緊急待合室で、背の高い外国人がつかつかと私の所にやってきて 「オハラ・・・?(私の名字) ダイジョウブ?」 と声を掛けてくれました。それが彼だったのです。

結局、その一瞬だけで、今となって思えば、せっかく声をかけてくれたのに、自分も気が動転しており、その後、彼に話すこともなく別れてしまったのでした。そのことがずっと引っかかっており、今回、彼にそのことを話し、そして、その時に声をかけられたことが、どれほど心強かったか、よくよくお礼を言いました。(実は、これも判明したのですが、その時は彼の母もまた、奇しくも同じく脳梗塞で緊急搬送されたのでした)

ともあれ、更に時が過ぎていきます。
これまた別件で、不思議な縁がありました。2年程前、お寺のホームページを通して、”仏教や禅の教えについて学びたい”という真摯な方からのメールがありました。 名前から察するに、日系の方でした。何度かのやり取りで、お寺に来て頂くことに。本人に会ってみてびっくり。20歳そこそこの女性でした。 彼女はもともと熱心なクリスチャンの家に生まれ、日本で生まれ育ち、父母の勧めで、神父さんのお説教や聖書の解説を通訳をしていたこともあるそうです。
そんな彼女と、仏教の話をし、別れ際に、”自分も小学校の時にブラジルから来た子がいる。その子に会いたいと思うのだけれど、豊橋はおろか、日本にいるかどうかすら、わからない”と話したら、「調べましょうか?」と言ってくれて、名前を頼りにSNSで調べてくれました。 奇跡的にすぐに見つかり、半信半疑で連絡を取ることに。
何しろ、プロフィールの写真を見ても、ひげモジャのおっさんが写っているだけなので(笑)本当に当人かどうか。・・・何しろ、向こうもおっさんなら、こっちもおっさんなので・・・、そんなこともありドキドキしているとすぐに返事がありました。曰く、覚えているよ、と。 中々日程が合わず、ついに先月、奇跡的な再会を果たすことができました。
それは静かな、しかし、感動的な再会でした。

小学校の頃とは見る陰もなく(笑)、少し全体的に肉付きが良く、また、ひげもじゃになった彼でしたが、しかし、瞳の輝きというか、目の感じは変わらずで、長い年月もなかったかのようでした。 面白いことに正直32年ぶりに話をしても、そんなにブランクを感じないと思わせる一面もあれば、(後に彼の中学以降の人生を聞くにつれ)、全く初めての人と喋っているかのような錯覚も覚えました。
ともあれ、彼との会食は大変素晴らしく、(彼のリクエストで浜松にあるシュラスコのお店へ)料理もさることながら、会話に花が咲きました。

その時、彼が初めて日本に来て、最初に小学校へ行った時のことを聞かせてくれました。その話は僕も知らなかったのですが、こんな経緯でした。
彼が初めて小学校に着いたのが朝の8時、そして身振り手振りで担任のS先生から”絵を書きなさい”と画用紙とクレヨンを渡されたそうです。彼が描いたのは、8時30分になった時計と、自分の家、そして、家にいる自分の姿。 先生はその絵を見た瞬間に、彼がすぐに帰りたいということを察しましたが、それはできないと優しく諭します。しかし、彼にしてみれば、どうしたって異国の地。学校がなじめず、その日は股を押さえて”トイレに行きたい”というジェスチャーを使って、そのまま逃げて、家に帰ったそうです。

担任の S 先生は厳しくもあり、同時に大変優しい方で、そこからの2週間、毎日コンビニで買った菓子パン持って彼の家に行きました。
何度来られても、彼は学校に行く気はなかったそうです。玄関の隣の窓のカーテンを少し開けると、先生も気づいてくれて、身振りで「パンが入っているから置いてくね。後で食べな」と示すと、ドアノブに掛けて帰られたそうです。
そうやって2週間毎日来る先生の、その懐深い愛情に心を打たれ、学校に来るようになったということでした。その話は全く今まで知らず、「確かにでも S 先生は優しかったよね。」と二人で盛り上がったものでした。
今度はお盆明けに会おう、お互い歳を取ったから身体を大切に、と実におっさんくさい別れの挨拶を交わし、帰途についたのでした。

お寺のこと

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名称:西光寺(さいこうじ)
宗派:曹洞宗(そうとうしゅう)
住所:愛知県豊橋市大手町120
HP:https://saikouji.wixsite.com/home

Temple Morning Radio 236週目(2024/10/14-10/18)

お経ゲスト
10/14 飯田正範「伽陀・三誓偈」愛知県名古屋市 真宗大谷派 瑞因寺
10/15 庄司真人「法華寺 水原堂での読経(音の巡礼Mix)」大阪府南河内郡 法華宗 法華寺
10/16 松村妙仁「壽徳寺 初冬の読経(音の巡礼Mix)」福島県耶麻郡 真言宗豊山派 壽徳寺
10/17 岩田親靜「法華経神力品 別付属訓読」千葉県千葉市 日蓮宗 本休寺
10/18 加藤正「大下島のめざめ~重誓偈」愛媛県今治市 浄土真宗本願寺派 法珠寺

【YouTubeプレイリスト】 ※5日分を通して聞けます

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