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偏頭痛をボディワークで治す

つい先日、原因不明の偏頭痛に悩まれている女性がボディワークの個人セッションに来られました。ふつう、頭痛薬を飲むなどして対処する人が多いかもしれません。でも、彼女はそうではありませんでした。それでは頭痛が起こるたびに薬に頼ることとなり、根本的な問題解決にはなっていないことを彼女は知っていたからです。

頭痛薬の使用は警報器(サイレン)が鳴っているのに、耳栓をしているのと同じです。身体(脳)は警告を痛みというかたちで出してくれているのに、頭痛薬という耳栓をする人が多いのは嘆かわしいことだと思います。

セッションでは、側頭部や顎、また胸郭(肋骨など)に対して働きかけることになりました。身体的な緊張がほどけた状態を取り戻し、施術ベッドを降りてもらいました。

セッション中、タッチしながら、この部分の過剰な緊張の原因は”心理的なものからきている”と察しがつきました。「お子さんの受験はそろそろでしたよね」と話しかけてみました。

すると、彼女の一人息子の受験が、数日後に迫っているとのことでした。触れてみた緊張の質感から仕事によるものでもなさそうで、ご子息の受験が終われば、頭痛は繰り返すことがないだろうという会話をして、彼女は帰っていきました。

もちろん、人生はそれほど単純なものではないので、子供の受験が頭痛のすべての原因ではないでしょう。ストレスが溜まると噛み締めが強くなる癖は、もっともっと若い頃に作られたものかもしれません。スマートフォンを触っているときの姿勢が原因かもしれませんし、職場で苦手な人が偏頭痛をより感じるどちらのサイドに立っていることが多いからかもしれません。多くの場合は、さまざま絡み合っています。

でも実際、彼女の頭痛はなくなりました。頭痛を抱えた状態で職場でイライラと八つ当たりをしてしまうこともないでしょうし、子供にも落ち着いた状態でかかわることができるようになりました。緊張は伝染するものなので、子供にも彼女がリラックスすることは良い影響を与えるはずです(世界は連鎖しながりあっています)。

「頭痛にバファリン」といったその場しのぎのアプローチだと、息子の受験というストレスが過ぎ去ったあとも、身体がその緊張を記憶してしまって、慢性的な頭痛が続くこともあり得ます。

また、もっと大きな人生に岐路を知らせてくれているサインとして、頭痛という警報を身体が出してくれている場合もあります。例えば、自分がいるべき場所ではない場所に長くいる場合、慢性的な偏頭痛があらわれることがあります。イジメのある職場、ブラック企業、問題のある夫婦関係…。「会社を辞める」「離婚をする」など、人生にとってとても大きな問題ですが、僕たちはそのストレスに麻痺という形で悪い意味で慣れてしまいます。自分(顕在意識)はもう慣れてしまっている、でも身体(無意識、潜在意識)は悲鳴をあげている。その悲鳴が頭痛となって現れている。子供の受験より、相当に厄介です。その偏頭痛を抱え続けたまま、身体の悲鳴を無視し続けたまま、バファリンを片手に何十年と過ごす人も残念ながらたくさんいます。

ボディワークは、身体を介して心(と身体)に働きかけるものです。冒頭の彼女の話に戻り、偏頭痛を抱えた状態で、心理カウンセラーに「あなたの頭痛は、お子さんの受験が原因ね」と言われても彼女はスッキリしなかったでしょう。大きな病院に行って、MRIなどを撮って検査をしても、結局市販薬より効きの良い痛み止めを処方されるのがオチでしょう。慢性的な問題に、ボディワークはとくに機能します。ぼく自身がボディワークに助けられた経験がいくつもあり、あなたも必要になるときがくるかもしれません。


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