今日も私は起きて顔を洗う

賢い女はプライドが高いばっかりに
男を喜ばせる演技ができなくて
結局残されていくんだよ

社会人になって間もないとき
初めてこういう価値観を聞いた

真意が掴めず言葉は私の中を素通りした

25歳を過ぎると次第に増える
結婚式の招待状

あれが胸に刺さるようになった

28歳を迎えると見え出す
迫りくる30歳という魔物の幻覚

あれが内臓を締め付ける苦しさから逃れたかった

30歳を超えると突きつけられる
捨てるか捨てないかの選択肢

あれが全身を蝕んでいる
もう手遅れかもしれない

誰か教えて
誰か助けて

ピピピピピピピピピピピピ

アラーム音で目が覚めた

ああ夢か

ベットから滑り落ちるようにして起き上がり洗面所へと向かう

少し冷たい水で顔を洗った

タオルで水気をとったあと
鏡に映る自分の顔はひどく乾燥していた

嫌な夢みたな
いや夢というより被害妄想かも

化粧水を乗せた手で顔を包み込んでこう唱える

私は私らしく
今を生きるだけ
前を向いて歩くだけ

顔から手を離したあと
鏡に映る自分の顔は潤いを取り戻した

よし今日も頑張るか


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