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旧知との再会 人生の贈り物


 41年ぶりに県外在住の旧友3人と再会しました。大学を卒業してからは年賀状でのやり取りだけで、ずっと会っていなかったのです。
 青春時代を過ごした徳島の地に彼らを向かわせたのは、還暦を過ぎて芽生えた望郷の念かもしれません。体形がぽっちゃりして、髪が少し薄くなったことを除けば、あの頃と何ら変わりません。「久しぶり」と一言、思い出をかみしめるように微笑み合いました。
 真っ先に向かったのは、私たちが通った大学です。以前の校舎はなく、そこにはりっぱな建物が立ち並び、今浦島の気分でした。しかし、幸運にも当時ご指導を受けた先生に面会することができたのです。彼はコケの研究において世界的権威であり、今もなお82歳で現役の教授です。私たちの訪問をとても喜んでくれ、当時を回顧しながら大学で2時間、近所の喫茶店へと場所を移して、さらに1時間の講義をしてくれました。
 彼のユーモアに富んだ話はタイムマシンのように、私たちを41年前へといざなってくれました。最後には、色紙に竹筆で「一期一会」と書いてプレゼントしてくれました。私の座右の銘です。
 旧友たちや恩師との再会は、人生の大切な贈り物のように思えました。

2023年7月16日 徳島新聞「読者の手紙」掲載

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