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『BASQUIAT handbook』を読んだ
本書はバスキア展へ赴いた時に購入したものだが、あれからもう2年が経つのか。信じられない。当時の自分の感想を引用する。
「鮮やかな色彩といきいきとした線が、一種凄みをもって画面から飛び出してくる。どの絵画もなにを思って描いたのか全くわからないのだが、どうしてもそれを知りたくなる。」
「バスキアが組んでいたバンドの音楽も聴けるのだが、めちゃくちゃイカしていました」
この時の感動が、ページを繰るにつれて徐々に蘇ってきた。展覧会のガイドブックを買うことの利点は、鑑賞直後の思いを瞬間冷凍保存し、いつでも取り出せる状態にしておけることにある。本書は図録も兼ねているが、やはり本物を観た時の迫力には劣る。印刷の性質上、致し方ないことだ。しかし、この図録を眺めるからこそ、ぼくはあの時の鮮烈な印象をすぐに思い起こすことができるのだ。
アーティストと美術史家によるバスキアについてのQ&Aや、細かい年表も掲載されており、入門書としてはもってこいである。まるで手帳のような装丁にも親しみが持てる。
残念ながら全く才能は開花しなかったのだが、幼い頃ぼくは絵画教室に通っていたことがある。そこで「絵に文字を書き入れることはしないほうがいい」と習ったような気がするのだが、バスキアにはそんな御託は無用だ。彼は画面にリズムを生み出すかのように、文字を書き入れまくっている。通説に縛られずに描きたいものを描いている様子がありありと伝わってくる。おこがましいようだが彼の絵をみていると、従う理由も分からないルールに囚われていた幼い自分が救われる気がして、痛快なのだ。
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