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『ケガレ』を読んだ

2021/12/8、ピスタチオ&ベリーラテを飲みつつエクセルシオールにて読了。「ピスタチオ」という文字を見ると頼んでしまいますね。特に大好物というわけではないのに何故だろう。見かける度に、あのエキゾチックな豆の青臭さが懐かしいからだろうか。

卒論を書くために図書館に行くと、参考文献とは関係のない本が所狭しと並んでいて、実に魅惑的に語り掛けて来る。たいていのオカルト好きは民俗学に行き着くものではないだろうか。オカルト好きの端くれであるぼくも、背表紙の誘惑に負けて連れ帰ってきてしまった。

民俗学の学術書を読むのは初めての体験だったが、豊富な先行研究をまとめた上で新たな視点を提示していたので、なるほどそうも解釈できるのかと面白く読んだ。古事記や日本書紀といった古文書や、フィールドワークにより収集した実在する風習を通して、「ケガレ」の内実に迫る。父の地元に近いところの風習も記載されていたのだが、その奇矯さに驚いた。今度訊いてみようかと思う。

恥ずかしながら、これまで「ハレ」は良い日、「ケ」は悪い日を指す語だと認識していたのだが、それは誤りであることがわかった。「ハレ」は良し悪しに拘わらず特別な状態を指し、「ケ」は日常を指す。空間の境界はケガレと見なされやすいこと、ケガレは一挙に消滅するのではなく量的に緩和されていくものであること、血を伴う「赤不浄」(出産や月経)と伴わない「黒不浄」(死)を区別することなど、新しい知識をたくさん得ることができた。もしホラー作家の梨.psdさんあたりが読めば、面白い怪談をたくさん創作してくれそうである。

自分が普段生きている世界の外を垣間見ることは、なんと愉しく、そして危険なことなのだろう。


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