風の吹くまち
こちらの願いなど一切勘定に入れてくれない、頭を使うことを知らない子どものように吹き上がる風
(菌ちゃんがよく育てるように高く上げた畝にポリマルチをかけたいのだが、暴れるように靡く)
こちらも同じように
言い聞かせることなどできるわけないのだから
頭を使うことを覚え始めた子どものように
その自然に合わせてできることを黙々と、
苛つくことなどなく、無理などすることなく、いまできる範囲でやるべきと思うことをひとつひとつこなしていく
制限時間がなければ
知らず知らずに固く定められた暗黙の了解が解ければ
ぼくらはもっと優しくなれるよ
偽りのない本当の優しさに出逢えるよ
ぼくは芽を摘む
生まれない喜び
生まれない幸せのために
逞しく成長していく草たちの力を弱める
必要のない命はない
生まれる喜び
生まれる幸せはある
だけれどもぼくは生まれないという幸せを無視することはしない、なぜなら、すなわちそれ自体が罪だと思うからだ
生まれてきたぼくは生まれてきた幸せを享受するし、この喜びを常に噛み締めている
生まれてきた命はすべて必要だから、そこに存在する、しかし、生まれて来ることだけが幸せじゃない、目に見えない誰も感じることはできない生まれない幸せを、ぼくらはつくっていかなければならないのではないか
それは誰にも讃えられない、誰の目に映らない、むしろ常識的な人々には非難されるようなことにさえ捉えられるかもしれないが、ぼくは必要な本物の幸せをつくっているのではないか
偽りの幸せだけを量産することに未来はない
あなたに出逢えたわたしはきっと
母になるよ
生まれる幸せと生まれない幸せは相反していない
生まれてきた喜びを噛み締めながら、
生まれない幸せのひとつひとつを心に刻みつけていく
来年はもう少し落ち着いた生育になってくれるかな
共に生きるお互い名前も知らない雑草
誰かが観察して調べていろいろ知ってつけた
名前があるんだよね
ひとつひとつ学んでいきたい
行きたいところにふらっと行きたい、ひとりのひかり暮らし、明日を恐れずに今日を生きたい、戦争と虫歯と宝くじのない世界を夢想してみる。