『伝える準備』から感じたこと【単発読書録】

久しぶりに本を一気読みした。

半日。いや、正味2〜3時間くらいだろうか。


日本テレビのアナウンサー・藤井貴彦氏が書いた『伝える準備』という本を読んだ。


私の読書録はこれまで、半期ないし年に1回、総まとめとして良かった本をピックアップするスタイルでお届けしてきた。

なかなか個別の本についてはリアルタイムではレビューしてこなかったのだけど、珍しいことに自分の琴線に触れたので、鮮度が高いうちに記事にしておこうと思う。



とはいえ、正直、言葉のプロが紡ぐ本だし、素人のレビューよりも、「そのまま現品読んじゃいなよ」と言いたい気持ちも8割くらいあったりする(笑)

ただ、まがりなりにもブロガーの端くれとして、何で「良いな」と感じたのかを残しておきたくなった。



私的刺さったエッセンス①:言葉を熟成させること

著者が後輩アナウンサーにフィードバックをする時、①「その場で思ったことを伝える」というパターンと、②「一旦思ったことを書き出してから、言葉を置き換えて伝える」パターンの2パターンで対応していたらしい。


①の場合、受け取った感情の鮮度優先という感じで、著者自身がその時頭に浮かんだむき出しのメッセージを伝える。


著者はこの方法を、どちらかというと否定的に捉えていたのだが、個人的にはダメという訳ではないと思った。

要は、受け取る側の察する力とか、双方のコミュニケーションが一定取れている関係性が必要になるんじゃないかということなのかと。

阿吽の呼吸というか、発せられた言葉通りに受け取るんじゃなくて、背景の▲▲に関するスタンスがあった上での■■という意見、みたいな感じで、受け手側で言葉を分解する力が試される。


この方法は、現実のビジネスシーンで考えると、確かに誰とでも価値観が同じということはないという点から、やはり難易度が高い話ではある。



一方で②は、伝える前に、1回感じたことを文字に起こすことで、感情ではなく「伝えたいこと」として変換し直すため、発信者側の一手間が必要になる。


面倒ではあるものの、特に後輩指導という立場だと、言葉の伝え方によって相手のモチベーションにも影響が及ぶからこその気遣いなのだとも思う。

私も前職では先輩という立場で何人かの後輩に向き合ってきたので、「そんなんじゃダメだよ」とダイレクトに伝えることが全く逆効果だということは理解しているつもりだ。

私の場合は、相手がどういう意図でそのアウトプットを出したのかを確認しながら、自分の経験則的に成功しやすい方向へ軌道修正をかけるという方法を取っていた。


全国規模のアナウンサーと自分との共通項を出すのは恐縮だが、ライブの感情を伝えるのではなく、ワンクッション置くことで客観性を高めた方が円満に、より効果的に伝わるのかもしれない。


私的刺さったエッセンス②:5行日記

著者は入社してから毎日、手帳に5行日記を書き続けているらしい。


10年以上続いている習慣があること自体にまず驚いた。

それに、しゃべりを武器にする人も、その源泉は活字という点。

しゃべりを磨くだけじゃないんだなと。


やはり、きちんと自分の思考を残しておくべきだなと実感した次第。

私自身、こうしてデジタル上にブログを残している一方で、実は手書きの日記もたまに書いていたりする。(「たまに」なのでもはや日記ではないけど笑)

使い分けとしては、特定のテーマで書けそうならnoteだし、人生の節目だな、表現の制限をかけずに書きたいな(例.個人名が出てきそうな話)となった時には手書きの方に残している。

手書きの方はボールペンで書いているので修正がきかないし、結構ノリで書き連ねてしまうことも多い(A4の1ページ分をぎっしり埋めてしまうとかザラにある。)。



もし5行ずつ日記を書くとして、日々、何を書き残すかを選ぶ作業が難しそうだ。

しかも、ある時読み直してみて、当時の情景がすぐにイメージできるようにしておくというのは、結構高度なスキルが求められるような気がする。

ただ、ちょっと試してみたい気もする。


私的刺さったエッセンス③:「誰に」向けたい言葉か

エッセンス①にも通じるが、言葉って結局、どう伝えるかも大事だけど、「誰に宛てた言葉」で、それがちゃんと相手に伝わっているのかというのがを気にしないといけないんだなと。


だから、発信する前に受け取る側の立場を想像するというのは、ある種「発信者としての責任」とも言えるのかもしれない。


これは誹謗中傷に限らずで、何かを評価するということは、一方で何かを否定的に捉えることになってしまう可能性があるということは認識しておく必要があるのだと思う。


だからといって、伝えることに臆していたら何も発言できなくなってしまうので、最大限できる注意を払うということにはなってしまうのだけど。


受け手の場合は、本編p143〜144に書いてあった方法を試してみると、少し穏やかな気持ちになるんだろうと思う(笑)



現在、週3日の稼働なので、かなり読書時間は確保できている。

動画や音声メディアを通じて情報の収集もできる世の中ではあるけれど、最終的に活字に戻ってくる。


自分の想いを伝えたり、感情を揺さぶったり。

上手に使いこなせるようになりたい。



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