2018 年に読んでよかった本 10 冊

今年も数えると 100 冊くらい本を読んでいたので,その中で特におもしろかった本を 10 冊まとめておく.最近は読書のペースよりも積読が増えるペースの方がはやいため,来年はもっとたくさん読んでいきたい.

全裸監督 村西とおる伝 (本橋信宏)

AV の帝王と呼ばれた,村西とおるの人生を描いたドキュメンタリー.前科 7 犯,借金 50 億,懲役 370 年求刑 などの波乱万丈の人生と,それらに屈せず何度でも立ち上がってくるバイタリティにただただ圧倒された.

700 ページくらいあるが,もはやこの濃い人生を描き切るには足りないくらい.来年,Netflix でドラマ化 されるみたいなのでそっちも楽しみ.

宇宙創成 (サイモン・シン)

宇宙がどのように生まれたのかが解き明かされるまでを描いたノンフィクション.ガリレオから始まり,ニュートン,アインシュタインと,先人の知恵に自身の知恵を積み重ね,徐々に宇宙の法則を明らかにしていく.そして,原子物理学や電波天文学の知恵も総動員され,最終的には人工衛星による観測でビッグバンモデルが証明される.もはや時代を渡ったドラマ.

フェルマーの最終定理暗号解読代替医療解剖 と並んで,この本もさすがサイモン・シンといった感じの安定感だった.

サピエンス全史 (ユヴァル・ノア・ハラリ)

1, 2 年前に話題になっていた,われわれホモ・サピエンスがなぜ世界を支配できているのかの歴史をたどった作品.ホモ・サピエンスが発展できたのは,「虚構」 を創作し,信じる力を持っていたからであるという考えに端を発し,そこから宗教,科学,資本主義などの話へ展開されていく.

去年,上だけ読んで止まっていたので,今年改めて上下を読み直した.人類史の本だと 銃・病原菌・鉄 と並ぶ面白さ.サピエンスの未来を描いている続編 ホモ・デウス もはやく読みたい.さらに,「過去」 「未来」 ときて 「現代」 を描いた 第 3 作目 も出版されており,来年あたりに翻訳されることを期待.

楽園のカンヴァス (原田マハ)

アートの世界を題材にしたミステリ小説.ルソーとピカソの関係が明らかになっていくにつれ,散らばった謎がリンクされていくのが非常にハラハラだった.過去と現在が巧みに織り込まれており,どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションかがもはや分からなかった.

芸術作品はこれまであまり興味がなかったが,この本を読んでからいろいろ勉強したくなった.出てくる絵画を随時ネットで調べながら,夢中になって読んでしまった.ピカソの過去を題材にした 暗幕のゲルニカ もおすすめ.

サラバ! (西加奈子)

主人公 歩 が生まれてから現在 (37 歳) に至るまでの人生が生々しく描かれた物語.世界観がかなり独特で,これまで感じたことのない読後感だった.読んだあと,人生において 「自分の信じるものは何か」 を考えさせられる.

上中下あわせて 1,000 ページ近くあるが,最後の方は一気に読んでしまった.今年の頭くらいに読んだが,未だに強烈に印象が残っている 1 冊.

星を継ぐもの (ジェイムズ・P・ホーガン)

5 万年前の人間の死体が月で発見され,その謎を様々な専門知識をもった科学者が解明していく SF 小説.科学に基づいた仮設・実証を繰り返し,真実を少しずつ明らかにしていく様に,ひたすら知的好奇心をくすぐられる.

書かれたのは 1977 年だが,今でも全く色褪せておらず,リアリティのあふれる小説だった.ザ・SF といった感じで,これまで読んだ SF の中で 1 番おもしろかったかも.SF だけどミステリー小説を読んでいる感覚になった.

Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方 (マーティ・ケイガン)

プロダクトマネージャーの役割が体系的に網羅され,いいプロダクトを世に送り出すために必要なことがまとめられている本.プロダクトマネージャーの仕事は,「価値があって (valuable),使いやすくて (usable),実現可能な (feasible) 製品を見つけ出すこと」 と定義されている.

プロダクトマネジメントに興味を持ったら,まずこれから読むのがよさそう.何度も読み返したい,バイブル的な 1 冊となった (すでに 2 回読んだ).

世界で闘うプロダクトマネージャーになるための本 (Gayle Laakmann McDowell)

Inspired と並んでこちらもプロダクトマネージャーに関する本.Inspired がプロダクトマネージャーの役割にフォーカスしていたのに対して,本書はプロダクトマネージャーに必要なスキルにフォーカスされている.本書では,プロダクトマネージャーの仕事は,プロダクトに関することすべてであると定義されており,さらに Google, Amazon, Facebook, Apple など,それぞれの企業での PM の役割などが書かれている.

全体を通してかなり具体性高く書かれており,自分に何が足りていなくて,どのようなスキルを高めていくべきかが明確になった.

組織パターン (James O. Coplien)

プロジェクトを遂行するにあたって,組織で発生する問題とその対処法がパターン化されている本.プロジェクトマネジメントをしていて実際に起こったことのあることが言語化されていて,腑に落ちるところが多かった.

組織パターンも,デザインパターンと同じく先人の知恵があり,問題が発生した際にパターンにあてはめて考えることができるようになった.

エンジニアリング組織論への招待 (広木 大地)

今年話題になった,不確実性の扱い方について書かれた本.様々な科学的知見をベースに丁寧に論理展開され,すべてにおいて納得感しかなかった.

ちょうど自分がプロジェクトマネジメントをやり始めたタイミングで発売されて読んだため,腑に落ちた部分も多く,考え方の下地になっている.


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