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ミートソーススパゲティを作る

きっかけは豆腐ハンバーグだった

この前豆腐ハンバーグを人生で初めて作って食べてみたくなって、作って食べてみたら、酷い仕上がりとなった。もはや仕上がりともいえない。

わたしの中での豆腐ハンバーグの理想形は、『クレモナ』フルートゆきがつくった豆腐ハンバーグである(ていうか、それがあまりにも美味しすぎたので、それ以外の豆腐ハンバーグで美味しいものに出会ったことがない)。

だから、あの味、あの食感、あのごはんとの相性の高さ…を再現したい!と心から思って作ったのだった。

その野望は失敗に終わった。それを食べさせられた監督はその後こんこんとわたしに説教をした。

発達の段階について考える

赤ちゃんが最初に知覚するのは、「酸味」それから「苦み」らしい。よく出来ている話だと思うが、いずれも口に入れて危険なものが多いからである。
そこから味覚はどんどんと形成されていく。「美味しい」「美味しくない」という物差しが身につく。

それでは「美しい」という感覚はどのようにして発達するのだろうか。
これは極めて難しい話だが、美しさというのは「経験」の中から生まれる。美しいものと美しくないもの、また美しいものとより美しいものの違いを理解するには、それを比較できる材料が必要だし、感性も磨かなければならない。

つまり、より多様な経験をすることや、より美しいものやより美味しいものを求めて体験することは人間的な発達の上でとても重要だということだ。

ビギナーズを卒業

ということで涙をぬぐったわたしは、お料理の本をポチって、取り寄せた。使い物にならない「きょうの料理ビギナーズ」の定期購読を即解約し、クラシルのアプリをアンインストールした。この金をかけて買った本から学び尽くし、より素晴らしい食生活を。より素晴らしい食生活から、より素晴らしい音楽を生み出したい。その一心で、野菜室を探索すると、ゴロゴロとある玉ねぎとひなびかけの人参を発見。ミートソーススパゲティが食べたい。という衝動にかられ、お料理の本の目次を開くと168ページに「ミートソーススパゲティ」とある。運命である。

(運命の冒頭八分休符といのは、きっと感動するときやびっくりしたときに息を吸ってしまうあの動作を表現していると思う。)

レシピ通りに作る大切さ

ダイエーでホールトマトとミンチとパスタを買って帰る。短くて簡潔でいて、的を得たレシピに心が揺さぶられ、もうその通りにしかしませんと固く誓い(どうしても何かを入れたくなる)、お料理を進める。パスタの茹で方まで書いてあったので、言われた通りにする。

途中思ったのだ。わたしは音楽の演奏においても、途中で余計なアイデアが生まれ、余計なことをする。これがたいてい蛇足となる。たいていというか、Always、だ。

正直言って美味しかった。人間が食うものを集めて、お前が料理するとゴミとなってしまう。と言われた言葉がふとよぎったりもしたが、今回は成功だった。
とりあえず神棚にお料理の本を三冊飾っておまつりすることとした。

久しぶりに料理と食事が楽しかった。

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