📓嫌がらせオジサンとコクハラオジサン

以前働いていた職場で、女にとことん嫌なことを言ってくるオジサンがいた。
正確には、女は女でも、自身の母親くらいの年齢の女性には友好的に接し、男相手であっても年下にはイヤミしか言わない、そんなような人であった。
つまり、強く出れそうな相手を選び、自分より立場が上の人には媚びへつらう、そんなやつ。
当然上からの評判は良いので、なんとかしろと訴えてもどうにかなることはないし、たまにまれに本性を見抜いている上司もいるけれども、訴えたところで、見抜いているからこそ「あいつと話したくない」といった感じで対応してもらえなかった。

こういった「嫌がらせしてくるオジサン」は、そこらじゅう、どこにでもいると思う。
会社全体として考えたときに、仕事の効率を下げまくるので、ほんとうになんとかしたほうがいい。
オジサンたちより若くてのびしろがあって給料が低い若手が去っていく原因にもなっていると感じる。
なんとかする決定権がある人たちは、こういうオジサンがあなたの会社にいないかどうかをチェックするようにしなきゃいけないし、こういうオジサンに育ってしまわないよう、若手を見守る必要があると思う。

セクハラおじさんは言語道断。
なんでそういう行動、言動が許されると思ってるかわからない。
「どこからがセクハラでどこまでならいいのか」みたいなことを気にするオジサンもいるけど、それって「どこまでが浮気じゃないか」っていうのと一緒で、そういう考えが出てくる時点でNGだと思う。

セクハラおじさんといえば、これも以前勤めていた会社の話で、誰にも言っていないことがある。

とある書籍の執筆者（ある分野の専門家ではあるが専業作家ではない）のオジサンに、私は毎週のように呼び出されていた。
それでも原稿がもらえていればまだマシなのだが、毎度毎度、もらえたとしても「俳句かな？」みたいな分量のなにかしか受け取ることができていなかった。
これだけの情報だと私が能無しのようだが、裏事情がいろいろあった。
裏事情（諸事情ありまくりなので伏せたい）があって行かなきゃならない、でも、もらえない。
最終的に「どうしましょうね」ということになり、上司とともに、食事をしながら方向性を話し合うことになった。
人当たりが良く家族思い、さまざまな手腕も知られた人だったが、結局はのらりくらりで、最終的に、私は担当から外れることになった。
そもそも私が持ち出した企画ではないし、思い入れもなにもない。
これでもう行かなくていいんだ、という開放感だけがあった。

食事会後、上司は、店のすぐ近くの駅から帰っていった。
私はそこから少し歩いたところにある駅から帰るつもりだった。
そのオジサンは私の上司に「タクシーで帰りますんで」と言っていたが、私のあとをついてきた。
そして「もう１軒行こう」と言って、私に腕を組んできた。

きんも！！！！

と思ったが、断っていろいろ面倒なことにもしたくないし、まあ、酒を飲むだけなら……と思ってついて行ってしまったのが間違いだった。

オジサンは、「タクシーを拾おう」と言って大通りに出たところにある建物を指差し、「ちょっと寄ってこう」と行った。
ガチガチのバリバリのビジネスホテルだった。

きんも！！！！（数分ぶり２回目）

なにが悲しくて60過ぎの妻子もちのオジサンとビジホに行かなきゃならんのだ。
クソ野郎だな、と思っていたところに、さらにとんでもない言葉が飛んできた。

「20代だよね？」

？？？？？？？？？？？？？

だいたいどこにいっても実年齢より下に見られることが多いけど、え、なに、20代女子とビジホ行けると思って何か期待しちゃってたの？？？？

き（略（数分ぶり３回目）

ていうか、もしかしてこれまでもそのつもりで呼び出してた？？
だとしたら合点がいくというか、あー、なるほどねー、いるいるそういう……そういう感じの「書けない」人……。
私はこういう人を何人も知っているよ……。

そして私は、これでなんとか引き下がってくれ、という気持ちでなんとか声を振り絞って
「あ、いえ、30代です……」
と言った。

するとあろうことかそのオジサンは
「え、あ、なんだ……30代なのか……。まあいいや、行こうか」
と言ったのだ。

あああああああああ？？？？？？？？？？？？？？？？？？

個人だったら完全にブチ切れてた。
ただ、あれやこれやの諸事情のことを考えると、会社員である以上、なんとか収めなければならなかった。

「じゃあ、原稿を全部いただけたときに行きましょう（まあどうせ私そのうち会社辞めるし）」

そう言うとオジサンはとても残念そうにしていたが、いやそれで逆に誰がついて行こうと思うんだよ、という感じ。

１秒でも早く帰りたかったが、会社員の心がまだほんのちょっぽり残っていた私は、２軒目だけ行くことにした。
もちろんクソ面倒くさかったので、適宜トイレに行って吐いた。
吐き癖ついていて良かった、と思った。
こんなことで酔ってたまるか。

何を喋ったかは全然覚えていない。
とにかく飲ませて酔わせて、私は酔わないように吐きに行って、ということだけ覚えている。
ああ、終電……と思っていたところに、１万円札を渡されたのも覚えている。
「領収書もらっておいてね」という言葉とともに。

こういうちっさいところに「書けない」が詰まっているよなあ、と思いながらタクシーに乗った。

あれから数年経つけれども、お釣りも領収書も渡してないし、本も出ていないようなので、私の見立ては合っていたな、と思う。

めちゃくちゃ余談だけれども、「書ける」人の遊びはもっと豪快でスリリングでゴージャスデリシャスデカルチャーで楽しかったな、ということを思い出した。
結婚して大人しくなったという噂を聞いたけれども、まあ、独身のうち遊んでいた人のほうが落ち着いたオヤジになってたりするよね。
個人的に、非モテのままオジサンになっちゃったオジサンのなかでも最悪なのは「非モテなのになぜか結婚してるオジサン（愛妻家アピールつき）」かな、と思う。
距離感オカシイ人が多いよね。

ということで、表題の「コクハラオジサン」についてなのだが、まあつまりそういうこと。
距離感オカシイ人のお話。

「嫌がらせオジサン」より「セクハラオジサン」のほうが無理と思っているが、「セクハラ」という大分類のなかで、「コクハラ」がいちばんやっかいだと私は感じる。
「嫌がらせ」は「アタマオカシイヒトダナー」って思っておくしかないし、セクハラはいざとなれば証拠を残すとかして失墜させることができるかもしれないけれども、「コクハラ」にいたっては「こんなに好きなのに！！！！！！！」という一方的で謎の感情をぶつけてきたうえ、最終的に「嫌がらせオジサン」を上回る「キョダイマックス嫌がらせオジサン」に進化するのだ。
これならほんと、ただの「嫌がらせオジサン」のほうがまだマシだ。

2015年の記事なのでだいぶ古いものなのだが、ここに、私の言いたいことが全部詰まっているので、ぜひ参照していただきたい。

俺に気がある？　疑似恋愛型セクハラに気をつけて｜WOMAN SMART｜NIKKEI STYLE

長いな、と思ったら、一番最後の

「私の拒否、男性はわかってくれない」

という表だけでも読んでほしい。

無理です嫌です私はあなたのことが好きじゃありません、と言ってるのに押してくる人。
で、「いい加減わかれやクソ野郎！！」と思って全力で拒否すると「いきなり言われても！！」みたいなことを言ってキョダイマックス嫌がらせオジサンに進化する人。

私たちは！
いきなりは！！
拒否してません！！！

仕事上の立場を考えなきゃならない場合は、なるべくことを荒立てないように配慮しつつ断るしかないし、相手が既婚者の場合、最悪のパターンとして、相手の奥さんから「お前が誘ったんだろう！！」みたいに言われても困りまくるし、とにかく、このタイプのオジサンに対しては「逃げる」しかないと思う。

あれほんとうに不思議。
なんで何度も断ってるのに押してくるんだろうね。
断るのもクソ面倒くさいんだよね。

恋が始まるときってなんかそういう「空気」みたいなものがあると思う。
「なんか知らんけど気づいたら一緒にいる」とか「なんか知らんけど毎日LINEしてる」とか「なんか知らんけど気づいたら季節が一周してた」とか、そういうやつ。
どっちかが「むりです！」って言ってるのに始まる何かがあると思う？
なにがどうなったらあると思っちゃう？？

そう言うと「そんなつもりはなかった」とかそういう系の言い訳してくるオジサンが多いけれども、「１、２回にとどまらず、何度も何度も繰り返し」行われている場合は、つもりかつもりじゃないかを決めるのはオジサンではないと思う。

イジメも一緒。
「イジメたつもりはない」っていうのがまかり通る世の中じゃダメでしょ。

なんかいろいろ面倒くさいね。

そういえば、前述のオジサンのことをなんで会社の誰にも言わなかったかというと「言ってもどうせ変わらないと思ったから」の一言に尽きる。
社内の嫌がらせオジサンをなんともできないオジサンたちに言って、はたして何が変わるだろうか。
仕事できないからやらせたくないあまり、分担が少なく定時に帰る人がいる一方、その人の分の負担もしなきゃならなくて終電まで帰れない人が続出しているという事態を改善できない人になにを期待したらいいんだろう。

期待していないということはつまり。

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注釈書くのもアホくさいけど、書くけど、上記はあくまで「私目線」なので「オジサン」を対象に書いたけど、まあまあどんな性別でもあるとは思ってる。
オバサンから若い男の子、とかもあるだろうし、男性から男性とか、女性から女性とか、いろいろなパターンがあると思う。
ただ今回はあくまで「私目線」なのでオジサンと書きました、ということでまあそこはひとつ。

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