うたた寝

日が落ちて星が降る前、ほんの2時間ほどうたた寝をしていた。

道であなたの赤いジャンパーと紺色のキャップを見つけた時、もしかしてと思ったが目を逸らした。
それなのにあなたは、久しぶりの私に何の躊躇もなく戻って声をかけてきた。

「こっちだよ。」

当たり前のように一緒に歩き、当たり前のように私の向かうべき道を誘導してくれていた。


自分から近状を聞くあなたも、絵の書かれた紙を優しそうに触れるあなたも、何一つ知らなくて私は戸惑ってばかりだった。(クローバーが淡い色でたくさん描かれた絵だった。意味が伝わりそうで伝わらない、とにかくあらゆる優しい色を使ってクローバーをたくさん描いた絵。)
そっちは?なんの絵?どこ行くの?
何も聞けなかった。


優しい目で彼女を見下ろすあなたがいた。

夢だったらどれだけ良かったか、黒糖の甘いミルクが口の中に残っている。


泣きそうに喉奥を絞めて目が覚めた。