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自作の詩まとめ
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2024年9月の記事一覧

詩| わたしがわたしであるために

詩| わたしがわたしであるために

何度も思った
何度も迷った
この手をとれば 道は開けるって。

ここは息苦しい
水槽の水は溢れそうになって
逃げ道を探すように
深く呼吸をするのだけど

ただ生きるために ここにいるんじゃないの
わたしがわたしであるための場所を探してる
たぶん もうずっと

暖かい場所ならたくさんあるの
逃げ道ならどこにだって

ただ息をするために『生きてる』わけじゃない
わたしがわたしであるために
息をしていた

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詩| 最後の声はたぶん優しかった

詩| 最後の声はたぶん優しかった

最後の声を覚えていますか
それはどんな声でしたか

最後に交わした声とその表情を
いつまでも記憶に留めておくことはできなくて

こうして夕陽を見ながら思い出すあの時の声は
少しずつ 自分にとって良い記憶にしようとして。
そうして 違っていたことに絶望して。
冷めていく珈琲のように
思い出は ただの記憶として成り代わっていく

最後の声を覚えていますか
最後に交わしたあの声を。
それはどんな声でした

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