【感情紀行記】声の色
改めて、イギリスのチャールズ3世国王の戴冠式を見ていたら、おすすめにエリザベス2世の国葬儀の動画が出てきたので、思い出すつもりで見てみた。
動画は、イギリス国歌の「God Save The King」を斉唱する場面だ。女王が崩御し、国歌が「God Save The Queen」から切り替わった初めての斉唱だったとのこと。国歌は、君主を歌う場合、おいて君主はその歌を歌わない。今まで歌っていたPrince of WalesもKingとなった今、その歌を歌うことはない。国歌は、戴冠式と同じ歌なはずなのにも関わらず、哀愁漂うその歌声は時代の終幕を彷彿とさせるものであった。声色というのは、なかなか字面や言い伝えではわからない。複合的なコミュニケーションの一つなのであろうが、その声色の表現の極致を体感した気分であった。一方で、戴冠式では、会場全体が国王陛下の誕生を祝い、新たな時代の幕を開くように歓迎するようなものであった。もちろん、場面に合わせて使われている楽器は異なると思われる。しかし、一つの短い歌で同じ歌詞で、同じ意味のものでも込める思いとその情景が異なればこのように違うものになるのかと感嘆した。
あまり自分は普段から感情を言葉に乗せて伝えるタイプではない。しかし、周りはしっかりと自分の心情を把握し、想いを汲み取ってくれる。時々それが苦手な人もいるようで、なかなか意思疎通がうまくいかない時もあるが。人間は複合的で繊細なツールを用いてコミュニケーションを取っている。汲み取れる時も汲み取れない時もある。人間的魅力とはそう言うことなのだろうが、難しい。
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