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「ハーレーダビッドソン(バイク)の現行エンジン重量は200kgあるらしい」が本当ならそれは何を意味するのかを考察する(前編)


どーも、パイセンです。

最初に

私は物理学や力学、工学に全く精通していません!
ゴリゴリ文系、数字と言えば大学の専攻が商学科だったので足し算と引き算は電卓を使えばできる程度です。
不思議に思ったこと疑問に思ったことを調べ考察することが好きなの全てにおいての素人です。
それではハーレーの「現行エンジンの重量は200kgあるらしい」を、それが本当なら何を意味するのかを考察をしていこうと思います。

ハーレーの最新エンジンは200kgある

中古バイク屋兼YouTuberでインフルエンサーのホワイトベース 二宮氏による
「ハーレーはエンジンだけで200kgくらいあるらしい」
X(旧ツイッター)でこんなポストを目にしました。

これはアメリカンバイクのブレーキはリア重視かというテーマの中でされたポストです。
その一連のポスト内ではバイクの重心や荷重移動、慣性などについて触れていますが、今回は一切触れません。いつか考察しようとは思います。

それでは件のポストに話を戻して進めていきたいと思います。

まず一連のポストを要約すると、「車体の真ん中より前方にエンジンという重量物が積まれているのに、重心が車体の真ん中より後ろにあるわけがなく、ブレーキングの際にリアブレーキ重視で良いなるわけがない。」というものです。
ハーレーのエンジン重量は200kgの話は、このハーレーの重心は後方ではない(前方にある)ということを補強するためにされたポストだと思われます。

ここで大きな疑問が浮かびます。
「ハーレーのエンジンは200kgって、めちゃくちゃ重たいな」ということです。
私が乗っているFTR223(単気筒223cc)のエンジンは約30kgほどです。
ハーレーのエンジン排気量が1000cc前後〜 それ以上だとしても、2気筒エンジンの重量が単気筒223ccエンジンの約6.7個分になるとは信じられません。

重心の話には触れないと言っておきながら、実はこのテーマを考察する前段階で重心について事前に私のX(旧ツイッター)で考察をポストするにあたり、バイクの重心に関する論文や文献を調べている中で、水平対向6気筒エンジンを搭載したホンダゴールドウィングの重心(人を含む)がエンジンより後方、シートより下方にあるという内容を見つけました。

国産車最重量バイク ホンダゴールドウィング

ホンダ ゴールドウィングのエンジン重量を推測する

そこで疑問に思ったのが、ハーレーよりエンジンサイズが大きいゴールドウィングの重心(人を含む)がエンジンより後方にあるのに、それより車重の軽いと思われるハーレーの重心が前方になるというの不思議な話です。
ゴールドウィングの場合、後方にかなり大型のパニア(収納箱)や巨大なタンデムシートが付いているので、パニアを搭載しないバイクと比べて重心が後方になるでしょう。
ただ目にしたサイトで解説に使われいたゴールドウィングは上記画像の車体よりかなりシンプルなモデルでした。

話をエンジン重量に戻して、
概ねエンジンを構成する素材は同じであるため、サイズが大きければ大きいほど重量は重たくなります。単気筒エンジンより2気筒エンジン、2気筒エンジンよりより6気筒エンジンの方が重たくなるのは当然の話です。
排気量が大きくなれば、エンジンのシリンダーサイズも大きくなることからもわかると思います。
2気筒エンジンの重量が単気筒エンジンの約6.7倍の重量となると、6気筒エンジンではそのエンジン重量は相当重たく、パニアの重量を加味しても重心がそこまで変わることはないと考えました。
バイクの重心についての話はまた別の機会でしたいと思います。

そこで、まずはゴールドウィングのエンジン重量はどれくらいなのか調べてることにしましたが、これが一切見つからない。
ということで、ゴールドウィングと同じエンジン構造「水平対向6気筒エンジン」で何かサンプルになるものはないかと調べたところ、「スバル レガシィの3リッター水平対向6気筒エンジンであるEZ30のエンジン重量は154kg」であることがわかりました。
ゴールドウィングは排気量1.8リッターなのでEZ30と比べて4割ほど排気量が少なく、その分シリンダーサイズが小さくなるため、仮に1シリンダーあたり約2kg軽いとすると、ゴールドウィングのエンジン重量は約140kgほどと考えられます。
もしかするともう少し軽いかもしれません、。

これを踏まえると、ハーレーレボリューションマックのエンジンはVツイン2気筒で200kgはちゃくちゃ重たいということがわかります。
なぜならレガシィの6気筒3Lエンジンで150kgなのに対し、ハーレーレボリューションマックスは2気筒975ccエンジンで200kgということですから。
ここでまた一つ疑問がおきます。

「ハーレーってそもそも車体重量何キロ?」

ハーレは車体重量が重たいことで有名です。
想像するに大体200kg前後〜戦艦みたいな車体で400kgくらいでしょうか?
ちなみにゴールドウィングの車体重量は360kgを超えます。
ということで、ハーレーダビッドソンジャパンのサイトへアクセスしてみました!

ハーレーのサイトへアクセスしたところ、先のツイートにアップされていた2台の車両中上段の車両はThe 2023 Nightster™ Specialであるとわかりました。

https://www.harley-davidson.com/jp/ja/motorcycles/nightster-special.html

エンジン仕様にもRevolution™ Maxと記載があるので、この車両で間違い無いでしょう。

重量をスペックシートで確認すると出荷時重量216kg。
216kg!?


ハーレーのエンジンを除いた車体重量はママチャリと同じ16kg

出荷時重量216kg-エンジン重量200kg=16kg
簡単な計算です。3桁の引き算は小学校2年生の学習内容です。

驚きました…
ハーレーダビッドソン社の技術力に驚きました…
あの車格でエンジンを除いた車体重量がわずか16kgです。

どれくらいすごいかを身近なもので表すと、一般的なママチャリと同じ重量です。
電動アシストなんてもってのほかです。変則ギアも付いていない極々一般的な普通の"ママチャリ"です。
ハーレーダビッドソン社はあの屈強な車体をママチャリと同程度の重量で仕上げているのです。

ここで2つの疑問が湧いてきます。
1.ママチャリの車体に200kgの物体を乗せて耐えられるのか?
2.フレームなどの素材は何を使っているのか?

それでは一つずつ疑問を解消していこうと思います

ママチャリの最大積載量

1.ママチャリの車体に200kgのエンジンを乗せて耐えられるのか?
これは誰が考えても「耐えられない」と答えると思います。私も思います。
ですが、それはいわゆる「あなたの感想ですよね?」でしか無いので、検証していきたいと思います。

まずママチャリの一般的な耐荷重を自転車量販店CYCLE BASE asahiのサイトを参考に見ていこうと思います。

市場で販売されている自転車は一般的にJIS規格で乗車する人間の体重を65kgと規定しているそうです。
バイクも乗車するのは人間ですのでこれは無視しましょう。
それでは耐えられる重量は果たして何キロなのでしょうか?

自転車と後荷台(リアキャリア)によって異なります。一般的にはこの2つが多く出回っています。

  • 最大18キロ・・・・・クラス18

  • 最大25(or27)キロ・・・・・クラス25(27)

判明しました。
ママチャリの積載荷重は最大27kgです。

ハーレーダビッドソン レボリューションマックスのエンジン200kgには遠く及びません。
そういえば、タイタニック号探索潜水艦が爆縮した時にJAMSTECの深海探査艇「しんかい6500」が実は約2倍の深度(12000m)まで耐えられるというポストを目にした記憶があります。
これは日本の耐久数値は公表値の2倍程度に設定されているためだそうです。
このことから、ママチャリの積載重量の限界は54kgとなり、重量54kgの物体まではギリギリ載せられることになります。
やっぱりそれでも200kgのエンジンは載せられなさそうです。

素材を考える

2.フレームなどの素材は何を使っているのか
ママチャリの素材とは異なる物質が使われるということが考えられます。
ただ、これを求めることはかなり難しいです。
なぜなら、ハーレーの車体の体積を求めないといけないからです。
ただエンジンを抜いた車体重量が16kgなので、体積さえわかれば使っている素材の比重から大方の検討がつくものと思います。
例えば一般的にママチャリのフレームは鉄鋼材が使われています。一般的なバイクのフレームも鉄鋼材です。
それを、例えばアルミを採用すれば鉄鋼材の約1/3、カーボンを使えば1/4〜1/5程度に重量を抑えることができるため、同じ体積で作ればママチャリの重量を5kg程度にすることもできます。

ハーレーのエンジンを除いた車体重量を考える

一般的に体積を求めるには「縦x横x高さ」で求めることができますが、バイクの場合、形が複雑なのでそう簡単にはいきません。
ましてやエンジンを除いた車体の体積となるとさらに形が複雑になります。

考えた末、エンジンの重量がわかる車種の車両重量からエンジン重量を引いてエンジン重量を除いた車両重量を割り出し比較することで、The 2023 Nightster™ Specialに採用されている素材が導き出せるのではないかと閃き、まずはなんでもいいのでハーレーのエンジン重量を調べることにしました。
そこでたどり着いたのが、ハーレーダビッドソン金沢店のブログ

このサイトによると店内でディスプレイしているショベルヘッドというエンジンの重量が65kgとありました。
若干の誤差はあるでしょうが、実際に体重計に乗せているのでほぼほぼこの重量で間違い無いでしょう。
ただサイトの写真をみるとわかるように、この時代のハーレーに搭載されているキックスターター機構が含まれていません。

キックスターター機構単体の正確な重量がわからないのですが、ショベルヘッドを搭載した車両の写真をみると結構サイズが大きいので、ここではキックスターター機構=10kgと仮定してエンジン重量を75kgとしておきます。

余談ですがショベルヘッドはハーレーの歴代エンジンの中でも比較的重たいものになるそうで、エンジン重量は載っておりませんが、古いハーレーのエンジン重量を相撲番付形式で載せているサイトを見つけました。

エンジン重量の比較を相撲番付で行う。面白い発想です。

ここまででわかることは、ハーレーはショベルヘッドの生産が終了する1981年から比較して、最新エンジンの重量が約3倍の重量化していることになります。
軽量化=燃費向上になるものを、なぜ高重量化しているかは何かしらの理由があるとは思いますが、それは置いておきます。

それではここから、計算を行っていきます。
その前にThe 2023 Nightster™ Specialと比較するためのショベルヘッド搭載車両を決めないといけません。
まず車両を決める一番重要なポイントは「見た目が近い」です。
理由は「見た目が近ければその体積も近くなるため重量の比から素材の比重が考察できる」のではないかと考えたためです。

まずショベルヘッドを搭載した車両の型番の中にFXSというものがあるそうなので、ハーレーダビッドソンの重さランキングというサイトから選びたいと思います。

このランキングを見るとThe 2023 Nightster™ はハーレーの中でも最も車両重量が軽い部類のようなので、FXSとついている車体の中で一番軽いFXSB LOWRIDERを選択したいと思います。
運がいいことに見た目が似ていました。

それともう一点、先に「エンジン」を定義したいと思います。
先ほどショベルヘッドの重量を設定する際に足りていないキックスターター機構を追加したこと、ショベルヘッドのエンジン重量計測画像にはキャブレターが搭載されていたことから、今回は「エンジン=エンジンを動作するのに必要なもの全て」としたいと思います。ただしバッテリーなどの電装パーツは除きます。
レボリューションマックスは水冷エンジンでラジエターが必要なため、ラジエターはエンジンを除いた車体の方ではなく、エンジンに含めることにします。
要はクランク+シリンダー+キャブレター(FI)+ラジエターがエンジン重量になります。

車両重量と出荷時重量から乾燥重量を求める

それでは計算に移っていきたいと思います。
まずThe 2023 Nightster™ Specialのエンジンを除いた車体重量は
出荷時重量216kg-エンジン重量200kg=16kg
ちょっと待て、

出荷時重量ってなんですか?

一旦立ち止まって出荷時重量とは何かを考えてみましょう。
まず言葉の定義から確認していきます。
バイクの車体重量を表す場合
乾燥重量=ガソリンやエンジンオイルやクーラントを含まない車体重量
車両重量=ガソリンやエンジンオイルやクーラントを含む車体重量
なので、
出荷時重量=乾燥重量に何かしらを含んだ車体重量=車両重量から何かしらを除いた車体重量
まず車両重量から何を除けばいいか考えれば簡単です。

そうです、ガソリンです!

出荷時にガソリンが入っていたら危ないです。

それでは、The 2023 Nightster™ Specialの車両重量225kgからガソリン容量11.7Lにガソリンの比重0.8を掛けた重量を引いてみます。
車両重量225kg/(11.7Lx0.8)=215.64kg
概ね出荷時重量の216kgになるので、やはり出荷時重量は車体重量からガソリン重量のみ引いた重量となります。

ハーレーのエンジンを除いた車体重量は9kg

次に乾燥時に何が含まれているか考えるて見ます。
ハーレーのエンジンはよく壊れるという噂を聞きます。
それなら「エンジン製造の時点でエンジンオイル入れておけば壊れないっしょ!」とワイルドなアメリカ人ならそう考えるはずです。絶対に!

それではThe 2023 Nightster™ Specialのエンジンオイル重量を引いた乾燥重量を求めていきたいと思いうのですが、The 2023 Nightster™ Specialのエンジンは水冷エンジンなので出荷時重量にはクーラント(冷却水)が含まれているはずです。
ハーレーのクーラント量を探しても見つけることができなかったのでここでは3Lとしておきます。
The 2023 Nightster™ Specialのエンジンオイル量は4.5L、エンジンオイルの比重は約0.9、クーラント量は3L、クーラントの比重は約1.1〜1.15らしいのですが、大抵5:5で水で希釈するようなので、ここでは比重を1にします。
これらを出荷時重量から引くとThe 2023 Nightster™ Specialの乾燥重量
216kg-(4.5Lx0.9)+(3Lx1)=216kg-4.05kg+3kg≒209kg
とわかりました。

このことから、先のママチャリと同等重量としたThe 2023 Nightster™ Specialのエンジンを除いた車体重量=16kgは誤りとなり、正しくは
乾燥重量209kg-エンジン200kg=9kg、がThe 2023 Nightster™ Specialエンジンを除いた車体重量とわかりました!
だいたい満1歳児くらいの重量です。

ショベルヘッドハーレーの乾燥重量と車体重量を推定する

次にFXSB LOWRIDERエンジンを除いた車体重量は車両重量から先ほど推定したショベルヘッドエンジン+キックスターター機構=75kgを引いて
車両重量277kg-エンジン重量75kg=202kg
となりますが、FXSB LOWRIDERの乾燥重量がわからなかったのでThe 2023 Nightster™ Specialの車両重量からクーラントを除いた液体の重量に合わせて
ガソリン11.7Lx比重0.8+エンジンオイル4.3Lx比重0.9≒13kgを引いて
202kg-13kg=189kg、とします。

もう一点、先にあげたFXSB LOWRIDERの画像をみるとThe 2023 Nightster™ Specialと比べて背もたれがあるのとハンドルやフェンダーが大きいので、 それらを合計して4kgと仮定して、
189kg-4kg=185kg、がFXSB LOWRIDERのエンジンを除いた車体重量とします。

素材の比重を導き出す

The 2023 Nightster™ SpecialFXSB LOWRIDERの見た目は結構近いのでほぼ体積も同じとみていいでしょう。
同じ素材の物体は体積が同じであれば形が違くても重量は同じです。
例えは100㎤の鉄は鉄球でも鉄推でも鉄板でも鉄棒でもその重量は変わらないのと同じですね。

ということで、次のお互いのエンジンを除いた車体の重量で割ってみると、
9kg/185kg=0.04836….
キリよく0.05にしておきます。

FXSB LOWRIDERの車体に採用されている素材はタイヤやフェンダーなどゴムやプラスチックも含まれますが概ね鉄が主になるので今度は素材の比重を見ていこうと思います。

物体比重から最新のハーレーのエンジンを除いた車体素材を推測する

鉄の比重7.87に対して5%の比重の素材を探せばいいので
鉄の比重7.87x0.05=0.393

少なくとも、軽量な車両に多く使われているアルミ(比重2.7)やカーボン(比重1.5〜1.8)ではなさそうです。
それでは比重が0.393に近い素材を探してみようと思います。

  • リチウム(金属系):0.534

  • イエローパイン(乾燥木材):0.39~0.42 

  • 空気 300℃(気体):0.4761

  • 水蒸気 H2O 200℃(気体):0.3455

この辺りでしょうか?

個体はリチウムかイエローパイン(木材)の2つですが、リチウムを採用するとエンジンを除いた車体重量が12kgを超えてしまうので候補から外れます。
空気は温度上昇に比例して比重が軽くなるので400℃前後かそれ以上になれば比重0.393になりますが、ガソリンの発火点は300℃なので400℃にもなるとガソリンが即発火してしまうことから空気も候補から外れます。
これで、イエローパイン(木材)か200℃の水蒸気に絞ることができました。
ただ200℃の物質に人間がまたがると火傷どころでは済まないため、水蒸気も候補から外れ、イエローパイン(乾燥木材)が残りました。

これでThe 2023 Nightster™ Specialのエンジンを除いた車体に採用されている
素材はイエローパイン(乾燥木材)ということがわかりました。

ただ、イエローパインは木材の中でも比較的硬度のある材で貼りますが、木材では確実に強度が足りません。
体積で比較しているので一般的なバイクのフレームがパイプで作られている以上、イエローパインもパイプである必要があります。
また、木を圧縮することで強度を増す技術はありまがそれだと今度は比重が重たくなっていきます。

最後に

詰みました。
完全に詰みました。

果たして200kgのエンジンを支える物体を9kgに抑えるにはどうすればいいのか…
ただ、今回分かったことは、「ハーレーの現行車種The 2023 Nightster™ Specialのエンジンを除いた車体は鉄で作られていないことは確実」ということです。
しかしそれはどんな物質なのか…?
そもそもこの地球上にある物質でわずか9kgの質量で200kgを支えることが、そして走行することができるのか?
謎は深まるばかりです…。

次回、「エンジンを除いた車体重量を9kgに抑え、その車体に200kgのエンジンを搭載するには」を導くため、今回とは視点を変えて「ハーレーダビッドソン(バイク)の現行エンジン重量は200kgあるらしい」が本当ならそれは何を意味するのかを考察する(後編)を、noteにしていきたいと思います。

ということで、今回のnoteはこの辺で、
ご拝読ありがとうございました。

PIESENGでした

<hr>


遂にThe 2023 Nightster™ Specialの真の車両重量がわかり、そこからさらに考察を進めていくと、巨大な陰謀が見え隠れしていた!?
そんな後編はこちら↓


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