群れはなぜ同じ方向を目指すのか? 群知能と意思決定の科学

著者:レン・フィッシャー

出版社:白揚社

第1章 群知能―集団から生まれる新しい知性
第2章 群れと自己組織化
第3章 最短ルートの見つけ方
第4章 渋滞と群集の力学
第5章 集団の知恵―多数決か平均か
第6章 多様性から合意へ
第7章 ネットワークの科学
第8章 意思決定のための単純な規則
第9章 パターンを探せ!
第10章 日常生活に役立つ34のルール

著者は英ブリストル大学物理学部客員研究員。ただ、それよりも「ビスケットを崩壊させずに紅茶に浸す方法の研究で1999年イグノーベル賞物理学賞を受賞」という経歴が個人的には一番魅力的です。キワモノではないですよ。2002年刊行のHow to dunk a doughnutは、米国物理学協会の最優秀一般科学書に選ばれています!

生物学的な群知能の本ではなく、群知能を入り口に複雑性の科学を語っている本です。群れがスイミーの様に固まって動く際に、群れの他の個体に対して相互に行う3つの規則、「回避」、「整列」、「引き寄せ」は通勤ラッシュの駅等でも応用できそう。

ミツバチも、アリも先行者のあとをつけて餌場に辿りつく、その論理は「蟻コロニー最適化」プログラムとして、巡回セールスマン問題の解にも応用されています。

合意や選択をする上で、多数決がどういう点で優れているのか。多様性があるほど、そこに間違いが多く含まれているにも関わらず、群れが正解を選ぶ可能性が高くなるという不思議はとても興味深かった。

すっごく面白く読めて、生活の役にも立つ良書です。

おすすめ度 ★★★★★

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