見出し画像

期間限定の子育てを楽しむコツとは?~『パパの子育て応援BOOK』刊行記念トークイベントレポート~

2006年に設立されたパパ団体<NPO法人ファザーリング・ジャパン>は、「よい父親」ではなく「笑っている父親」を増やすことをミッションとして活動し、さまざまな事業を展開しているソーシャル・ビジネス・プロジェクトです。北海道から沖縄まで、約300名の会員がいます。
父親になる世代はどうしても仕事の責任やキャリアUPが気になるときでもあるので、ワークとライフのバランスのとり方が難しいと感じる方も多いかもしれません。育児や家事が教科書通りにはいかなかったり、子どもの急な発熱など「ワークとライフに確実な明日はない」と痛感する日もあると思います。そんなときは少し肩のチカラを抜いて、優先順位を考える、パートナーとよく話し合うことが肝要です。赤ちゃんや子どものお世話も大切ですが、それ以上に「パートナーとの対話・時間の共有」も大切です。「期間限定の子育てを楽しもう」「笑っているパパでいよう」。その方法をNPO法人ファザーリング・ジャパンのメンバーにお話いただきました。(実施日:2024年5月28日)


諸隈:
パイ インターナショナル編集部の諸隈です。『パパの子育て応援BOOK』ができたきっかけは、NPO法人ファザーリング・ジャパンの主要メンバーの1人、野﨑聡司さんの『育児が楽しくなるパパ講座』という自治体が開催している講座を私が受講して、そのメッセージにとても感銘を受け、その場で「パパの子育てを応援するような本を作りませんか」とお声がけをしたのが始まりです。

野﨑:
NPO法人ファザーリング・ジャパンの野﨑聡司です。パイ インターナショナルの諸隈さんからパパの育児本を書いてみてくださいというお話を2023年の6月ぐらいにいただきまして、そこからNPO法人ファザーリング・ジャパンとパイ インターナショナルさんで相談、議論、打ち合わせ、壁打ちを重ねながら、今回1冊の本を書かせていただきました。 私も執筆、編集は初めてだったので、色々とご不便をおかけする場面あったかと思うのですが、素敵な、あったかいパパ目線の本を書き上げられたのかなと思います。

野﨑聡司
ファザーリング・ジャパン多摩支部代表
ファザーリング・スクール クラスリーダー、一般社団法人Pop LifeWorks 理事、パパママ子育て
応援部Hiタッチ!!代表。2018年の第1子の出産を機に、NPO法人ファザーリング・ジャパンに入会。そして、2020年にファザーリング・ジャパン多摩支部を立ち上げ、代表就任。2018年第1子、2021年第2子誕生の際、いずれも約10カ月間の育休を取得した2児のパパ。子育て支援・働き方改革支援の講師として、文京区、江戸川区、三鷹市、立川市、横浜市、千葉市をはじめ、様々な自治体や企業にて研修講師を務め、「パパ同士の繋がり」「親子の繋がり」の機会創出や「夫婦のパートナーシップ」の再確認・再発見などを大切にした講演を行っている。また、社会に出る前の大学生や若い世代向けに「結婚・出産・子育て・家族」などのライフイベントの観点から、キャリアを考える講演も行っている。

私は長女5歳、長男2歳の2児のパパで、NPO法人ファザーリング・ジャパンに属しており、東京の多摩支部の代表も務めています。ファザーリング・ジャパンが運営するファザーリングスクールというスクール事業があるのですが、そこでイヤイヤ期のクラスリーダーを担当しています。私自身、第1子、第2子、それぞれ約10か月ほど育児休暇を取得をしています。子どもの遊びも成長に合わせながらいろんな遊びを取り入れていて、特に絵本を娘、息子が0歳の時からずっと毎日、1日1冊ずつ読み聞かせをしています。寝る前の寝かしつけの何気ない時間は、彼女たちもルーティーンになっていて、5歳の娘は今でも私の横に寝ながら一緒に本を読んでますし、絵本の読み聞かせの影響か、彼女の努力のたまものか分からないですけど、5歳であいうえおが完璧に読めるようになっていて、私が娘、息子に読んだ後、お姉ちゃんが弟にまた読み聞かせるといった夜の楽しいルーティーンを楽しんでいます。あと心がけていることは妻のお話をしっかり傾聴することです。できたりできなかったりする時もありますけど、なるべくしっかり傾聴しようと心がけています。

『パパの子育て応援BOOK』では主に「産前産後におけるママのココロとカラダの変化」、「共感・話し合い」、そして「子育てを通じてパパ自身はどうなりたいか」では子育てを主体的に積極的にやった後パパ自身の人生はどう変化、変容させたいのかというところも書かせていただきました。そして最後の章で、「パートナーの希望や願望は話し合っている?」では、自分だけじゃなく、子どもだけじゃなく、パートナーさんとしっかり向き合った子育てを皆さんやられていますかというところも書かせていただきました。

本当に子育ては期間限定だと思って書いていて、つい子どもが可愛い可愛いって思うのは1番大切なんですけど、それと同等以上に大切なのはパートナーを思いやったり、パートナーとの対話の時間、パートナーとの会話が大切ではないのかなというエッセンスを、この1冊にまとめました。ぜひお時間あったら手に取っていただいてご一読いただければ何よりだと思いますし、1人でも多くのパパの悩み、モヤモヤ、そういった一助になれば大変光栄です。


黒田:
私は東京在住で、医薬品の臨床研究や開発の仕事をしている会社員です。子どもが5人いて、長男が中1、次男が小4、長女が小1、三男が年少、次女が1歳、と大体3学年おきに5人います。育休歴が多分私の特徴があるところで、5人子どもが生まれているうち4回育児休業を取得しています。合計4年弱という長い間の育休を取りました。実際に男性が長期で休んで育児休業を取る方はまだ少ないと思うんですけど、自分自身はやってみようかなとこのように長い期間とって育児に専念しました。

黒田高史
東京都在住。医薬品研究開発の会社員で5児のパパ。育児休業をのべ約3年半取得し子育てに専念した経験をもつ。父親として子育ての楽しさを社会により広めていきたいと考えセミナーなどにも携わっている。

子育てのモットーは3つあります。せっかく子どもが生まれたので「子どもたちと新しいことに挑戦し、自分自身も子どもと一緒に成長していきたい」というのが1つ。 2つめは、子育ては基本的に楽しいものだと私は思っているので、「子育ての楽しさをたくさんの人と共有していきたい」。 最後に、子育てが難しいと思われている方も多いと思うんですけど、「多くの人が子育てが楽しいと思える社会を創りたい」です。自分自身がアクションを起こして、子育ての経験や楽しさを共有していくことがミッションかなと思って毎日を過ごしています。

『パパの子育て応援BOOK』の3章と4章に関わっていて、まず3章の「妊娠・出産前のパパための基礎知識」というところでは、出産後の1番大切な時期にママや赤ちゃんと多くの時間を共有するのが大切なのではないかな、と考えています。この本では妊娠、出産のイメージと現実、産前産後のママの体と心の変化と産後に向けた育児、育休の取得を考えるなど、基本的なことが書いてあるので、ぜひ妊娠出産を迎える前に、大変な時期に時間を共有することを前提に読んでいただければいいかなと思っています。

4章「産後の育児、家事の現実を知る」は、私はパパが毎日笑顔でいることが赤ちゃんの笑顔を引き出すポイントだと考えています。 毎日笑顔でいるっていうのは、やはり余裕がないと笑顔でいることができないなと思うので、余裕を持って過ごすためには、産後の自分の育児であったり、家事であったり、何をすべきかを理解し、それを実行できることが必要なのかなと思います。4章で、育児のポイントと赤ちゃんの遊びや、子どもの成長、発達、病気など育児をしていく上で知ってほしい基本的なことを書いているので、その辺を読んでいただきたいです。この本の執筆にあたって、今後、父親も主体的に育児に参加して育児を楽しむような社会を作っていきたい、子育ての選択肢を増やしたいと思っています。多くのお父さんは、自分が子どもの時は母親が子育て主体でお父さんが仕事をしている方も多かったと思うんですけど、色々なやり方があるよっていう経験談がこの本にたくさん書いてあるので、少しでも子育てのヒントになれば嬉しいです。

本田:
ファザーリング・ジャパンの本田正博です。秋田県秋田市在住で、今回執筆したメンバーの中では多分最年長です。我が家は子どもが4人いますが、上の2人は20歳を超えていて、下の2人も高校2年生と中学校3年生です。年代は上なんですけど長いこと色々とパパサークル活動とかファザーリング・ジャパンの活動をしていて、会社を経営しつつ保育園の事務長の仕事をしているのと、NPO法人ファザーリング・ジャパン東北の事務局長を勤めています。あともう1つ、アンガーマネジメントという心理トレーニングの公認講師もしています。子育てされている方は一度や二度じゃないと思いますが、必ずイライラすること、怒ることもあると思います。そういう怒りの感情と上手に付き合っていきましょうというトレーニング方法です。これも自分が子育てをしながらすごく嫌だなと思っていたところをアンガーマネジメントが救ってくれたので、ファザーリングの活動と一緒に広めているところです。

本田正博
秋田市在住。秋田市と横浜市にある保育園の事務長、ネット通販会社経営を兼務している4児のパパ。2010年秋田市でパパサークルを立ち上げ、パパの子育て、カジダン、男性育休推進講演なども行っている。

うちの子は小さい頃の写真しかありません。この頃は私ほぼワンオペで子どもたちを見ていたので、残念ながら家族写真というか、私が写っている写真がないんですね。よくワンオペ育児ってママさんのことを指すと思うんですけど、パパさんだってできるんですよね。いくらでもできると思うんです。ワンオペでも楽しめるよっていうことをもっともっと広めていきたいなって思いますし、子どもと関わっていると自分もいろんな気づきがあるし、自分の成長にも繋がります。嫌なことばかりではないですよね。むしろ楽しいことがすごくいっぱいあると思うので、もっともっと積極的に関わってほしいなっていうのが一番の思いです。ファザーリングっていう言葉は造語ですけど、ファザーリング・ジャパンは笑っているパパを増やそうという活動をしているので、もっともっと全国に笑っているパパたちを広げていきたいなと思っています。

保育園で事務長という仕事をしていることもあり、出産に関わる手続きをよくやるんです。そういったことを含めて、『パパの子育て応援BOOK』の中では、出産前後の手続き関係の話とか働き方の話、ちょっとしたQ&Aを担当しました。うちの子たちが小さい頃にこういう本があれば本当に良かったなって思える本になっています。私の周りでも早速購入してくれた方々から、すごく読みやすいし、ためになるし、分かりやすいし、これ1冊あればなんでもできそうだよねって言ってくれるパパがたくさんいます。軽い気持ちでいいので、今日ここ読んでみよう、こんな時どうすればいいんだろうっていう感じで読んでもらえるといいのかな。常に手元に置いておくような、そんなガイドブックになってくれるといいなって思っています。


高祖:
ファザーリング・ジャパンの理事をしています、高祖常子です。ファザーリング・ジャパンは北海道から沖縄まで全国に300人ぐらい会員がいる団体です。私自身は、ファザーリング・ジャパンのほかに、児童虐待防止全国ネットワークという虐待防止の活動もしています。虐待をなくしたいというところがベースで、そのためにも笑っているパパがいれば、ママも笑顔になるというような思いを込めながら、様々な活動を連携しながらやっています。私は3人の子の母としてやってきて、子どもたちはもうみんな成人しています。末っ子が去年結婚して、3人全員が結婚し、これからはパートナーと頑張れよみたいな気持ちです。成人しても手離れた感じがしなかったんです。よく、「いつになったら手が離れますか?」とか、「手離れたら仕事したいと思いますが」という相談も受けますけど、精神的にはあんまり離れないというか、別に暮らしていても「ご飯ちゃんと食べてるかな」「仕事うまくいってるかな」、っていうような感じで。パートナーができたところで、もう2人で頑張れよ、と、やっと胸を撫で下ろす感じです。ただ割と皆近くに住んでいるので、1、2か月に1回ぐらい集合しています。誰か来るよって言うとすごい勢いで集まって、5人家族がパートナー付きで集まるので8人。娘夫婦にベビーちゃんが去年生まれて、もう本当になんて可愛いんでしょうっていう感じです。改めてやっぱりパートナーシップというか、子育ての最初の部分、もちろんはっと気づいて途中から一緒にっていうのも大事なんだけれど、やっぱり1番最初からいかに一緒に子育てしていくかが大事だなと改めて娘夫婦を見ながら思います。

高祖常子
子育てアドバイザー/キャリアコンサルタント
NPO法人ファザーリング・ジャパン副代表理事、NPO法人タイガーマスク基金代表理事、NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事ほか。資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級、キャリアコンサルタントほか。Yahoo!ニュース・エキスパートコメンテーター。3児の母。株式会社リクルートで編集にたずさわったのち、育児情報誌「miku」(全都道府県で13万部発行)編集長に就任し14年間活躍。「幼児期までの子どもの育ち部会」委員(こども家庭庁2023年~)ほか、国や行政の委員を歴任。編集、執筆、全国で講演を行っている。テレビ出演や新聞等へのコメント多数。
●著書および編著
『どう乗り越える?小学生の壁』(風鳴舎)、『感情的にならない子育て』(かんき出版)、『男の子にきびしいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)、『新しいパパの教科書』(学研)、『ママの仕事復帰のために パパも会社も知っておきたい46のアイディア』(労働調査会)ほか。

質問コーナー

Q:「3歳の娘が中途覚醒して夜泣きが激しい。起きないように工夫しているけれども、どうしたらいいのか」

高祖:
体験談を書いてくださった平松さんいかがですか?

平松:
ファザーリング・ジャパンの平松です。小学校に上がった6歳の男の子と女の子の双子がいます。6年前、2018年頃に1年1か月の育児休業を取得しました。娘の方がどっちかっていうと夜泣きはあって、中途覚醒というよりは、なかなか寝付かないだったような気がしますけど、その時は、どうしたらいいというよりも、ひたすら寄り添っていた感じではあります。横に一緒に寝てなんとなく自分の寝息、呼吸音を聞かせてあげると、ちょっとずつ落ち着いてきて一緒に寝てくれた思い出はあります。

高祖:
子育ては、100万通り1億通りそれぞれのお子さんによって違うし、なかなかこれが正解っていうのもないと思います。やっぱりその子に合わせて寄り添うのが1番大事かなと思います。3歳ぐらいになると日中のいろんな刺激をいっぱい受けていると夜に覚醒しちゃうことも起こるかなと思います。私は子育てアドバイザーや保育士の資格を持っているので一応アドバイスさせて頂きますが、朝起きる時間と夜寝る時間、ここを整えていくことが大事です。園の中でもいろんな刺激があると思うので、お家の中では、割と落ち着いて過ごせるようにするといいですね。遊びたくなっちゃったりするかなと思うんですけど、夕方から夜にかけては少し落ち着いた静かな時間を心がけていくといいのかなと思います。多分、夜泣き自体は、そんなに続くものではないので、平松さんがお話してくださったように寄り添っていく。これがなかなか難しいんですけど、寄り添うためには親が疲れすぎないっていう、可能ならなるべく手抜きをするといいんじゃないかなと思っています。

Q:「5月初旬に第2子が生まれ、3ヶ月の育休中です。実際に育休取得を経験して、仕事のキャリアにおいて感じたメリット、デメリットを教えていただきたいです。また、育児、家事に追われて、育児が理由で自分の趣味に充てる時間がないと感じてしまうことがありますが、どのように気持ちを整理したらいいかアドバイスいただきたいです。」

野﨑:
今育休が終わって2年経っていて、なんであんな時こんなことを思っていたんだろうっていうぐらいの気持ちなんですけど。ただやっぱり僕も正直、育休を取っていた時は少し、「復帰した時どうしよう」とか「復帰した時に僕がいなくても回っているのかな」とか「育児・家事に追われているけど、仕事の能力ってどうなっちゃっているんだろう」とか、育休中は確かにデメリットかわからないですけど、そういった不安を感じていたのは事実としてありました。ただ育休中は、日々押し寄せてくるタスク、やらなければいけないこと、命に関わることもいっぱいあります。家事・育児を毎日毎日、1つ1つ丁寧に対応したり、向き合うところで、子どもと一緒にいられる時間をなるべく増やす。新生児は生後1ヶ月じゃないですか。新生児が終わった後の赤ちゃんの時期とかも期間限定だったと思うので、モヤモヤしたけれどもやっぱり育休は取ってよかった、子どもの成長を日々、日進月歩、常に成長を見られたのはすごくプライスレスなメリットです。
育休を取って復帰してから気づいたんですけど、育休中はいろんなことを対応したり捌く関係で、同時遂行とかタイムマネジメントとか、赤ちゃんがお昼寝している間にこれをやろう、あれをやろうとか、同時に物事を進めようとか、いろんな能力って言っちゃなんですが、そういう業務をこなすことでそれは復帰してしばらくしてから仕事にも活きてきているのかなと感じています。そういう能力は復帰後身についていたので育休は取ってよかったって今正直に思っていますし、セミナーや講座でもよく伝えています。もう1個良かったなと思ったのが、復帰後仕事に戻ってから、相手を主語に置き換えることを職場でも発揮できたと思います。 例えば育休中、「赤ちゃんは何で泣いているんだろう」「赤ちゃんは何をしてほしいんだろう」「妻は何を望んでいるんだろう」「妻は何がしてほしいんだろう」と、常に赤ちゃん、妻、パートナーを主語にして私は考えていました。「彼らが望んでいることはなんだろう。じゃあそれに寄り添ってあげればこの人たちは喜ぶんじゃないか」って。そういうことを育休中常々思っていました。 それが職場復帰して仕事に戻ってから、「同僚Aは何で困ってるんだろう」「同僚Bは、同僚Cは、後輩Dは何で苦しんでいるんだろう」とか、相手を主語に置き換えることで彼らの悩みとか彼らのモヤモヤがすごくクリアに出てきたので、そういったところに歩み寄ってよりコミュニケーションが増えて、その同僚も部下も私に協力的になってくれたり、そういった経験がありました。なので、育休はモヤモヤするかもしれませんけど、取ってよかったと思えるものです。子どもの成長にも携われるし。それで社会に戻った時に相手を主語にして考えるとか、傾聴力や同時遂行能力、タイムマネジメント、いろんな力が自然とおそらく身についていると思いますので、不安をちょっとでも解消しながら、期間限定の育休の日々をぜひ楽しんでいただけたらなと思います。
もう1個の質問、家事育児に追われて自分の趣味に充てる時間がないことに関して、結論から。私の体験談から言うと、今まで100パーセントで満足していたものを、私は50とか60で満足するようにしています。例えば、妊娠出産前、妻と付き合っている時、独身時代は2時間ジムに行って鍛えなきゃ気が済まなかったんです。最初、ベンチプレス、背筋、レッグプレス、まず上半身、下半身を1時間鍛えてから、その後は1時間、ランをしていたんですね。2時間みっちり鍛えて、さあすっきりした、引き締まった、じゃあ帰ろうって思いながらやっていたんですけど、今2時間もジムに行っていたら、多分家庭が大変なことは分かっているので、2時間で満足していたことを今は 30分とか40分とかで満足するようにと思い込んでいます。時間は短縮したけどそれで満足度を得られるように自分の意識、思い込みをするようにして、肯定的に捉えています。趣味の時間、今までの時間を短縮しながらも、ご自身の満足度を上げるのも面白いのかなと思うのでぜひご参考にしてください。

高祖:
私は先日デンマークに1週間くらい行っていたんですけど、もう本当に、趣味とかを諦めないですね。やっぱり大人がいかに楽しく過ごしているか、野崎さんの100パーじゃなくてもみたいな、もちろん今まで通りにはいかないかもしれないですけどやっぱりそこは叶えられるように、夫婦だけで頑張らない。夫婦だけで叶えようとすると、ママの負担やパパの負担が大きくなっちゃうこともあると思うので、シッターさんやファミサポ、一時預かりとか、仕事じゃなくてもそういうのを利用するといいんじゃないかなと思っています。


Q:「YouTubeを見始めると、寝る時間を過ぎてもやめず、止めると怒り狂い大声で泣きます。時間を決めて見させたいのですが、時間が来てもやめません。いいやめさせ方あればお聞きしたいです。」

本田:
悩ましい問題だと思います。お子さんの年齢がわからないので、それによって対処も接し方も変わってくるんじゃないかと思います。我が家の2人、今高校生と中学生の2人が2〜4歳くらいの頃にiPadが出始めたんです。お恥ずかしい限りですけどその時からiPadを渡していました。黙っていても見てくれるので親は楽なんですよね。楽なんですが、今子どもたちが大きくなって思うのは、やっぱり依存しすぎるのは良くないなということです。保育園にいることもあって小児科学会の先生ともお話したことがあるのですが、スマホ、タブレット、YouTubeを含めてそれらに子育てや子守りをさせるのは本当よくないと小児科学会でもパンフレットを作って啓発しているんだそうです。
できるだけ時間を短くした方がいいですね。それで、良いやめさせ方があればということなのですが、良いやめさせ方は正直ないと思います。もう強制的に見せないのも一つです。我が家の子どもたちもそうなんですけど、そういうふうに強制的に使わせない、見せない期間が1週間ぐらい経つと、今度はそれが普段の生活になるので、見なくても遊べるようになってきます。そこまでちょっと葛藤が続くかもしれないですけど、そういうすごく強制的なやり方も1つありますし、あとは、先ほど野﨑さんが自己紹介の時に読み聞かせの話をされていましたよね。YouTubeの時間を読み聞かせの時間に当てるのも1つだと思います。こっちの方がいいんじゃないかなと個人的には思います。ママの読み聞かせとパパの読み聞かせって全然違う。アプローチの仕方も違うし、本のチョイスも違うじゃないですか。パパの読み聞かせが悪いとかいいとかではなくて、ちょっと笑いに走ったりとか、興奮して寝られなくなったりっていうこと我が家の場合もありました。その、時間を共有するっていうことが、すごくいいことだと思うので、今はYouTube一辺倒かもしれないですけど、そこだけは時間を作ってパパママの読み聞かせにしてみるのも1つの手かなと思います。

高祖:
寝る時間にYouTubeを見るのは目がさえてしまうので、絵本の読みきかせに変えていくといいですね。日中のYouTubeですがループでどんどん再生されたりしますよね。親子で同じ動画を見てそれに対してお話をするのはまだいいと思うんですけど、ループにしない。「見たい」って言われたら、「じゃあ今日はどれを見る?」と選ぶ。選んでそれ1本で終わりにする。そうすると時間の制限もつくのでいいかなと思います。

Q:「生後5ヶ月の娘を育てているママです。パパは仕事をしていますが、子育てに意欲的で助かっています。しかし、寝かしつけで娘が大泣きすると、仕事の疲れもあるからか不機嫌になりなりながら寝かしつけていて、見ている私もイライラしないでほしいと思ってしまいます。 代わろうかって言っても代わってくれません。パパにどのような声かけをすれば良いでしょうか。」

黒田:
5か月ということで、多分1人目なんでしょうかね。積極的に関わってくれることがまず素晴らしいと思うんですけど、このパターンは結構あるのかなと私は思います。 1人目が生まれて、お父さんの方も経験がないのでなかなか難しく、今葛藤している段階だと思うんですよね。やはり本人が超えなきゃならない壁だと思うので、多少イライラしつつですけども子どもとの関わりを持って、寝かしつけもそうですけどやり続けるしかないのかなと思います。あとママがパパにできることは励ますとかですかね。「最近はこういう風にすれば寝やすくなっているよ」とか、自分自身が寝かしつけに気をつけている、有効な手立てとかがあれば少し教えてあげればいいのかなと思います。

高祖:
パパが疲れているのが原因ですよね。働き方を見直すのも1つ。寝かしつけで子どもが泣くという話しからの「パパの働き方」を見直す。これは遠いようで実はすごく関連していると私は思います。寝ないとか泣き止まないとかでイライラしない。そのためには疲れすぎない、長時間労働はやめるって、3段論法にしていただけるといいんじゃないかなと思います。あとパパへの声掛けの方法はアイメッセージと言いますが、「疲れているのに寝かしつけまでしてくれて、とても助かっているよ。だけど、やっぱりイライラするのを見るのは私は辛い気持ちになっちゃう。もう少しおだやかに接してほしい」と、アイメッセージ、私の気持ちで伝えるのも大事なのかなと思います。夜中にイライラしている時ではなく、少しゆったりした時に言うといいかなと思います。


Q:「お父さん同士の付き合いの機会はどこで得られますか?」

高祖:
今日参加くださっているファザーリング・ジャパン会員の加藤さんいかがですか?

加藤:
私は4つパパサークルをやっています。自治会の子ども会がなかったので子ども会を立ち上げるところからやったんですけど、いきなり大きな輪を描いてしまうと苦しくなっちゃうのでまず小さなところでご近所さんとお友達になるようにしました。野菜を作ったらプレゼントしたりとか、おはようございますこんにちはから始まって、ちょっと挨拶から会話を始めるとか、2人から3人の友達を作るところから工夫しています。
私は写真家をしているので写真がすごくおすすめです。公園で一緒に遊んだりすることあるじゃないですか。子ども同士できゃっきゃと遊んでいるところをちょっと写真を撮らせてもらって、そこにいるパパに、これ送りたいんですけどLINE交換しません?っていう風に。やっぱり写真は気持ちの共有や会話が始まるきっかけになるので、何回か遊んだ時に写真を撮ってLINEでプレゼントすると、自然とじゃあ今度飲みに行きましょうか、みたいな話にも繋がっていきやすいです。そうすると自然と友達の輪が広がって私もサークル活動に踏み切った感じです。

高祖:
あと地域の公民館や児童館で「パパと子の~」みたいな講座も結構増えていると思うので、参加してみていただけるとパパ友が出来るきっかけになるかなと思います。


Q:「仕事が忙しく平日は子どもとの時間が取れず、休日は休日で仕事の疲れがひどく、正直遊ぶのもしんどいです。公園などで全力で遊んであげるのが良いでしょうが、体力キープを考え、ついつい室内遊びになってしまいます。子どもはそれでも楽しんでくれているようですが、こんな状態で良いのかとも考えてしまいます。」

野﨑:
いろんな回答があると思うんですけど、まずはお子さんが楽しいなら僕はそれでいいのかなと思います。室内遊びでも色々あるじゃないですか。折り紙とかクレヨンとか、ソファーからちょっと安全な所に飛び跳ねたりとか、スーパーボールで遊んだりとか、いろんな室内遊びがあるので、まずお子さんが楽しくニコニコしているのが1番いいと思います。成長に合わせて活動的になったらちょっとずつ外に行く機会も増えると思うので、その時はしっかり外遊び、公園に行って滑り台をするとかブランコの補助をするとか、子どもの世界を広げてあげるためにも、少しずつね。1日公園にいようとかではなくて、午前中の天気のいい9時から10時まで、次は9時から11時までとか、少しずつ時間を伸ばしながら子どもに外の世界を見せるのもいいのかなと思います。

本田:
野﨑さんのおっしゃる通りで、お子さんが喜んでいるのであれば全然ウェルカムだと思います。多分自分の理想があるんですよね。お子さんとこういう風に関わりたいっていう理想があるのだけど、それが今現状出来ていない。働き方やお子さんの成長も含めて、もう少し長いスパンで見てあげてもいいかなと思います。自分自身を苦しめることになっちゃいますよね。自分の理想に近づけるために何かを犠牲にしなければいけない。質問を見ていると、おそらく仕事でかなり疲れてらっしゃるので、先ほど高祖さんからもありましたけど、働き方を見直してほしいですよね。それは本当に思います。

高祖:
そう。疲れすぎないのが1番です。

本田:
先ほどの質問にもありましたけど、疲れるからイライラするんですよ。お腹が空くからイライラするんです。これはアンガーマネジメントでも伝えられていることですが、そちらが充足して満たされてくるとイライラはしなくなります。高祖さんも先ほどちらっとおっしゃっていましたが、手抜きしたっていいんですよ。家事も育児も少しは。完璧を求めない方が楽しくできると思います。

高祖:
私も本当に疲れちゃっている時は、いかに自分が動かないで子どもが楽しく遊ぶか。「はい、よーいドンして、あそこの木にタッチして帰ってきて」って言って自分は動かないで子どもだけ散々走らせるとか、ちょっと工夫していました。子どもが笑顔なのが1番なので、どんな方法があるかを一生懸命考えます。


Q:「子育ての悩みをシェアしたい時にどうしますか」

黒田:
やっぱり1番近い妻と話す機会を持つのが重要かなと思います。普段の生活で忙しくて、なかなか話す時間もない時もあるということを考えると、定期的にどこかで、例えば1週間の間で決まった曜日に夫婦で話す時間を作るのがおすすめです。私も、金曜日の夜は妻と2人で話す時間を作っていてその時に1週間にあったことや子どもの様子を話しています。話す機会を定期的に持っていないと悩みをシェアする機会が流れていっちゃうんですよね、日々の生活の中で。それなので、子育ての悩みをシェアしたい時は定期的な会議を決めてそこで夫婦で話すのが 1つポイントかなと思います。あと先ほどもありましたけど、パパ友の存在もかなり大きいので、こちらも同じように父親同士のコミュニティに入って、定期的なイベントで話す機会を作っておく。父親のコミュニティって、結構子どもに対する思いを話題にすることがいっぱいあるので、自分自身は直接的な悩みがなくても、相手の悩みを聞いて自分の中で理解したり学べることが多いです。妻ともそうですし、パパ友ともそうですけど、定期的に話す機会を自分で作っちゃうのがいいと思います。

高祖:
先ほどデンマーク行ってきた話をしましたけど、デンマークは金曜日は会社も保育園も早く終わっちゃうんですって。夕方からみんな町に繰り出して、ご飯を食べたりお酒を飲んだり、大変平和な光景が繰り広げられていたので、日本の皆さんもぜひ夜中まで仕事しないのがいいかなと思います。そういうのを流行らせていきたいなって改めて思っているところです。それでは最後に野崎さんからメッセージをお願いします。

野﨑:
『パパの子育て応援BOOK』が1人でも多くのパパ、1人でも多くのママに届くように、私たちも応援させていただきます。この本で元気になったとか、この本を手に取ってモチベーション上がったとか、この本を見て妊娠中の後輩、同僚にプレゼントしたとか、そういった声がどんどん広がれば、私たちも嬉しいです。
私たちのモットーは「笑っているパパを増やす」です。父親が変われば、まずは1番身近な家庭が変わる。家庭が変われば、その周辺の地域が変わる。地域が変われば、企業が変わって、そしてゆくゆくは私たちの子どもたちが暮らす社会が変わっていく。社会を変えるために私たちは日々いろんなパパ、当事者目線を持って活動しているので、今後もファザーリング・ジャパンの話をシェアできる場所を作って行きたいと思っています。


書籍の詳細はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?