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「役割ではなく、好きなものから見つけた私にできること」

PIECESが行う、子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するオンラインプログラムCforC。
その受講生たちがプログラムを通して感じた、自分自身の変化や願いについて書いた文章です。

Citizenship for Children(以下CforC)
子どもの心の孤立の解消をミッションに掲げる認定NPO法人PIECESが行う、地域の市民性を醸成するプログラムです。子どもの日常にかかわる人たちの市民性の醸成・エンパワメントを通じて、様々な背景を有する子どもたちに対して柔軟で主体的なアクションが生まれる土壌づくりを行っています。

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CforCに参加したきっかけ

当初、私は子どもが抱える様々な課題を、地域で支えるために何かしたいけど何をしたら良いのかわからない状態でした。そのときに「社会的処方」という本でPIECESを知り、CforCを知りました。参加の動機はしっかりあるようで、本当は曖昧で、直感で何とかしたいことを何とかするために、今の私に必要だと感じたからです。

プログラム中に印象に残っていること

「専門性」と「市民性」に関するお話を聞いた時です。

子どもに関する専門家になるために大学で勉強している私にとって、専門家として関わるだけでは必ずしもその子のためになるとは限らないということは衝撃的でした。同時に、専門家でありながら、人として関わることも大切にしたいと考えていた私は、そのとき初めて「市民性ってこういうこと?」という感覚がありました。とても抽象的ですが、それは人として居る、人として関わるときに発揮されるもの、及ぼし合うもの、そして私なりのものであると感じています。

そして「専門性」と「市民性」を意識しすぎることなく、私と相手の声を聞いて目の前の人に対して自然にありたいと思うようになりました。

プログラムを通して変化したこと

リフレクションやセルフジャーナルなどの自分とさらに深く向き合う機会を通して、自分の変化や違和感、心が揺れ動く瞬間に気づけるようになったと思います。

この変化は私にとって大きなもので、アクションサポートで実践する内容を練るときや実生活でも些細な違和感や心の変化を習慣的に深ぼることで、次の行動の新たなヒントや大切な気づきを得られています

アクションサポートに進んだ想い

もともとアクションサポートに進むつもりでCforCに参加しました。想いはあるけれどそれで終わってしまうことが多かったので、アクションサポートで私にできることを具体的にし、それを実際に子どもに届ける第一歩を踏みたかったからです。

アクションサポートに進んでの変化、感じたこと

どんな(専門性あるいは市民性を発揮するのか、またはどれでもない)私でも、できることや及ぼしているものがあるということです。子どもにも、どんな人にも、あると思います。

CforC参加当初は、何か大きなことをしなければと思っていましたが、アクションサポートに進んで、どんなに些細でも想いを形にすれば何かは変わると思えました。

そして、私にできることで良い、今からできることは何か、そういう視点を得ることができました。

環境の変化で言うと、アクションサポートに伴走してくださったCforCのスタッフの方のおかげで、私が暮らす地域で活動する人やそれ以外の様々な人との大切な繋がりが増えました

実際のアクション

「私にできることって何だろう」を私の好きなものから探してみました。まずは、私自身が人として居られる場であるためです。

そして、私は色とりどりの絵の具や絵を描くことが好きなので、これらがあると遊びを楽しみ合える関係性が生まれて、そんな関係性が子どもにとっても私にとっても安心に繋がるのではないか?と考えました。

好きなもので繋がれる、自分の想いを好きな形で表せる、そのような場所を子どもの日常の中に作りたいという想いから、近所の公園で絵の具を使った遊び場のような居場所にもなるような場「はらのまちぱれっと」を開いてみました。

レジャーシートいっぱいに広げた紙に、好きなだけ好きなように絵の具を使って描いて、表現してみます。それだけでなく、絵の具で絵を描くことが子どもたちにとってその場に居るきっかけになっていました。そして毎回帰るころには別の遊びを一緒にする仲になっています。

「また来るね!」といって次回の開催日を油性ペンで手にメモして帰っていく子どもたちを今でも忘れられません。そしてまた会えたときには思わずハイタッチしてしまう関係性が生まれていました

子どもの抱える何かを直接解決する場ではないですが、より良い日常の一部になれたのかもしれないという、ほんのり温かな気持ちが今でも残っています。


そこから現在まで

それからは月に一度、はらのまちぱれっとを開催し、近所の公園に加えて地域や福祉施設のイベントでも場を開きました。CforC参加当初に所属していた学生団体は法人化し、活動の内容は変化しました。現在は、子どもの日常の中に安心を感じられる場所を増やすため、子どもと少し年が離れたお兄さん・お姉さんの1対1で関係性を築き、継続的に関わっていく活動を行っています。私にできることを今も続けています。

CforCで得られた学びや自分との向き合い方、気づくことができた私の考え方と大切なものは、アップデートを繰り返しながら今の私の思考や活動に繋がっています

初めは、子どもが抱える問題を解決したいと言ってCforCに参加しましたが、アクションサポートで実践したいと思ったのは、課題解決のための活動ではありませんでした。

そのような活動の重要性も感じていますが、今の私が私なりの関わり方でできることは、子どもにとってあったら良いものを生み出すことだと感じたからです。

そして、アクションサポートに進んで実際に行動してみたからこそ、地域に子どもとその周りにいる人たちによる輪のような繋がりがあるとしたら、「専門的な肩書きや職も何もない私もその輪をつくっているうちの1人である」と実感することができました。

私一人の想いから生まれる変化だけでみたらほんの僅かであるかもしれませんが、同じように想いを形にする人が集まれば大きな変化になるのだろうと思います。

最後に、CforCの温かな場を作り共に共有してくれたスタッフと同期の修了生の方々、関わってくださった全ての方々に心から感謝いたします。

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CforC2022修了生 さゆり


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