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特別じゃない「おはようございます」に支えられた6年間

まちの中で誰かが実際に出会ったあたたかいエピソードをまとめる「優しい間のエピソード」マガジン。今回はある女性の子育てのお話です。

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子どもの居場所づくりに関わっていながら実は子どもが苦手という私は、先日、つくづく自分が現場で表面的にしか関われていないかもしれないなあ・・・と考えをめぐらせていたことがあったのですが、その時に、ふと思い出したことがありました。

自分の子どもたちを幼稚園に通わせていた時の話です。
今ではそれぞれ小学校5年と2年になり、子育ての様子も随分と落ち着きましたが、当時、状況はもっと混沌としていて、とりわけ朝の時間はまさに戦場のようでした。

イライラは常にMaxで毎朝のように玄関先で子どもたちを怒鳴りつけ、やっと出発。下の子をベビーカーに乗せ、べそをかく長男の手を引き、やり場のない怒りを抱えながらただ黙々と園まで歩いていく、そんな日も数えきれないほどあったと思います。(振り返ってみると、何に怒っていたのかも思い出せないのですが(汗))

それでも、やっとの思いで園に着いたとき、園長先生が満面の笑みで「おはようございます~」と声をかけてくださると、それまで抱えていたイライラ、モヤモヤがさーっと消えて、気持ちがとても晴れやかになったものです。

晴れの日も雨の日も雪の日も、園長先生は一日も欠かさず門の前に立ち、私達に温かく声をかけてくれました。その間、一度も「xxさん大丈夫ですか?」とか「何かありましたか?」などと聞かれたことはありません。
私から何か特別に園長先生に相談したこともありません。

でも、振り返ってみると、長男、次男あわせて6年間の幼稚園生活、園長先生の毎朝の「おはようございます」には随分支えられたなあ、と思うのです。


話を戻しますが、現場では、表面的にしか関われていない、という見方もあるかもしれないけれど、来ている子どもたちに明るくあいさつをしたり、「また来てね!」と声をかけるという行為だけでも、何か意味をなしているのではないか。今の現場でも、あの園長先生のような存在に、自分もなれたらいいのかな・・・そんな風に思ったりもするのです。

執筆・よーちゃん
編集・くりちゃん

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