雨の追いかけっこ
夕方買い物に行った帰りに、急にぽつりぽつりと雨が降り出した。
早く帰ろうと思って、自転車を勢いよくこぎ、いつものトンネルを抜けたところ、同じく雨に降られて走り出した男の子と出会った。2年生くらいだろうか、下校中でランドセルを背負った男の子。
一瞬目が合って、わたしがその子の横を通り過ぎたら、その子も負けじと走ってくる。
ふたりで雨の中、追いかけっこになった。追いかけっこなんて、とても久しぶり。
結局、自転車のわたしのほうが早くて、最後に「ばいばい、またね。」と言って別れた。交わした言葉はそれだけ。
きっと近くに住んでいるんだろう。またどこかで会えるかな。
いつもたくさんの人とすれ違って生きているけど、こんなふうに初対面の相手と、ともに時間が過ごせるなんて。
雨に降られた憂鬱な帰り道が、思いがけず豊かな時間になって、ひとり微笑んだ。
PIECESが目指す未来は、子どもたちが孤立せず、優しい間が溢れる未来。
他者や背景への想像力、尊重し合うコミュニケーションなど、私たち一人ひとりが優しい間をつむぐ市民性を発揮していくことで、子どもの孤立は解消されていくと思っています。
PIECESが伝えたい市民性や市民性の先にある優しい間が広がる世界をお届けする「#今日の市民性エピソード」をSNSを通じて発信しています!
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