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9日目 明石〜岡山

■6月1日(9日目)
明石~岡山 107km

【日記】

4:00 起床
5:00 出発
10:00 充電@相生
    支援@ボートレース場職員(1000円、飲み物)
12:00 支援@ラーメン
13:30 支援@ヒッチハイク 備前市
15:30 岡山駅到着
16:30 休憩@スタバ(支援)
18:00 タイヤ空気入れ
19:00 忠くん合流
20:00 夕飯@支援(さわら丼)
21:00 帰宅
24:00 就寝

1.今日のご支援~水で満たす腹~

4時。起床。
この日は、旅中いちばんのロングライドデー。
初の100km越えを走る日だ。
まだ外は真っ暗だったが、寝ている家族を起こさないようにそろーっと布団から出る。
洗面で顔を洗っていると、兄ちゃんと富母さんも起きてきてくれた。
コーヒーを淹れてくれた。
まだ外が薄暗い静けさの中、ホッと一息ついた。
早まる気持ちが落ち着いた。嵐の前の静けさみたいだ。

出発前、富母さんがおにぎりを2つ握ってくれた。
手作りが一番嬉しい。美味しい。温かい。

最後にお家の前でパシャリと写真撮影。
第二の家族の家を後にした。
愛に溢れたすてきな家族に触れた。
わたしは心も身体もエネルギーも満タンでペダルを漕ぎ始めた。
(またいつか会いたいな。いつかわたしの家族とも会わせたいな。)
「ゆかちゃん気をつけてね~。いってらっしゃーい!」
手をふる二人を背に、名残惜しい気持ちになった。
それと同時に、下の名前で呼ばれるって慣れてないから少し恥ずかしいけど、とっても嬉しかった。
前に他の友達が「下の名前で呼びたいんだよね~。」
って言っていた意味が分かった気がした。

5時。出発。
いよいよ初めての土地、岡山県に足を踏み入れる。
未開拓地へ向けて、胸踊らせていた。
今日の宿泊先はすでに決まっていたので、精神的に余裕があった。
107kmもの最長距離を走るものの、ひたすら無心で漕げばいい。それだけ。

走り始めると、朝早いおかげか大通りも車が少なく、穏やかな空気が流れていた。
ひやっと肌寒い風を切りながら足を進める。
清々しい空気を吸い込むと、体中に新鮮な気が流れてきた。
遮るものが何もない広大な空。チュンチュンと心地よい音楽を奏でる鳥のさえずり。
わたしは心も体も癒やされながら、平らな道をひたすら前進した。
「ん~明石最高~!」
きっとその土地を気に入る理由って、すてきな人に出会い、すてきな景色をみて、美味しい食べものを食べたからなのだと思う。
心に残る思い出や感動があれば、どんな土地でも大好きになれる気がする。

1時間半走って小休憩を2回繰り返した。
何となく、このサイクルがわたしにはちょうど良いんだろうな~と気づいた。
道端で休憩しながら、明石の母さんからもらったおにぎりを頬張った。
アルミホイルを開けると丸々としたのり付きおにぎりが顔を出した。
「やった!のり付きじゃん♪」思わず笑みがこぼれた。
「中身は何だろな?」ぱくりと一口。ツナだー!嬉しい!思い出の味が蘇る。
子供の頃、具材はツナが好きだった。実母はのりがシケないようにと、のりなしおにぎりが定番だった。
でも、実はのりの塩っ気と真っ白白米を一緒に食べるのが、たまらなく好きだ(ということに今気づいた。)
もはや、疲れている時に食べる手作りご飯なら何でも美味いか!
愛を感じる。
手作りおにぎりがこんなにも美味しいとは知らなかった。

10時。充電休憩。
そろそろ自転車の充電ポイントを探すために、GoogleMapを開いた。
山に突入する前に、お店があるうちに充電を済ませておきたい。
山道に入ってからの充電不足は、痛い目をみる。3日目の浜松行きの時に学んだことだ。

ボートレース場を発見。さっそくお願いしにいく。
コンセントがあれば使わせてほしいことを伝えると、20代前半くらいの受付のお姉さんに預かってもらえることになった。
充電完了までの間、わたしは駐輪場の屋根の下で涼んでいた。
わたしの大変さなどお構いなしに、お日様は元気よく地面を照らす。
わたしは本当の意味での「お陰様」を感じた。(日陰さんありがとう)

ボートレース場に来るお客さんにじろじろ見られながらも、気にせず休憩を続ける。
すると、立て続けに支援をいただいた。
駐車場整備をしていた無口なおじちゃんから1000円。
受付のお姉さんたちからチョコレートと栄養ドリンク。
お偉いさんっぽいおじちゃんから飲み物。
お客さんであろう人からも自販機で缶の飲み物。
(めっちゃ飲み物もらえるやん(笑)たしかに喉は渇くが、飲みきれない)
飲み物を全部乗せて自転車で走るには、重くなりそうだ。
わたしはできる限りこの場で飲み干すことにした。
食トレならぬ、飲トレかのように、5本中4本を胃に流し込んだ。
自分が必要だと思って与えたものが、実は相手にとっては必要でないこともあるのかもしれない。わたしは相手のニーズを汲み取ることの大切さに気づいた。

2.救世主現る~2回目のヒッチハイク~

12時。再び国道沿いの山を走り始める。
わたしはお昼ごはんをどこで食べようか考え始めていた。
前半、とりあえず体力的に持つところまで進むことにした。
すると、一台のハイエースが止まった。
30代くらいのメガネをかけた温和な男性が声をかけてくれた。
「今からラーメン食べに行くけどよかったらどう?」
(おおお!またまたお昼ごはんのこと想ってたら叶った!びっくり)
数km先にラーメン屋さんがあるとのことで、自転車を積んでもらった。
ついさっき取りに行ってきたという、新しい車に乗せてもらい、お店に向かった。

話を聞くと、米軍基地が好きで、将来は家族で沖縄に住むことが夢のパパさんだった。
キャンプも好きみたい。
わたしは旅中にもらったガスバーナーコンロをパパさんにあげた。
もらいものだけど、わたしよりも沢山使ってもらえそうと思ったの。
物も、より活躍できる人のところにいるほうが本望じゃない?

ラーメンを食べ終わった後、時間に余裕があるからと、36km先の備前まで送ってもらえることに。
今日は、100km以上もの長距離を自転車で走る日だったから、ヒッチハイクで乗せてもらえて、ラッキーすぎる。
36kmのワープ。車って本当にすごい!速い!あっという間!
文明の利器を感じた。
いつの間にか兵庫県を抜け、初めての岡山県に突入していた。

すてきなパパさんにお礼を告げると、再びライド開始!
今日の目的地までは残り16km。
この時点でまだ13時半。かなり余裕があった。

ここはどんな地なのかわたしの開拓精神が刺激される。
森の中。鳥のさえずりに耳を傾けながら、のんびり自然の風景を味わいながら走った。
それにしても、岡山は空が広い。
山が低いのか平野が多いのか、今まで走ってきた道中でも開放感があった。
文字通り、丘のように山が低いから「岡山県」なのかな?
景色をみてふと思った。
誰か知ってる人いたら教えて(笑)

3.友達の友達=友達。

16時。早くも目的地の岡山市に着いた。
忠くんとの待ち合わせの時間まで、あと2時間近くある。
せっかくなのでスタバで休憩することに。
旅の出発前、みんなからもらったスタバのラインギフトがたくさんあった。
すぐ使いたかったけど、山ばかりでまずスタバが周りになかった(笑)
やっと絶好の機会がきた。スタバギフト券の出番だ。
わたしはストロベリードーナツとカフェオレを頼んだ。
ドーナッツをぺろりとたいらげた。途端に、リラックスモードになった。
アドレナリンが切れた瞬間どっと眠気が襲ってきた。
張っていた気が抜けて、そのままうたた寝しはじめた。
1時間近く居眠りしただろうか。
そろそろ待ち合わせの時間になったので、疲れた身体を動かした。

今日の宿泊先は、大学時代の友達に紹介してもらった忠くん家。友達の友達という関係値。この旅で初めて会う。
信頼できる友達の繋がりで今回の引っ越し旅に協力してくれた。
わたしは友達の友達とはいえ、会ったことないわたしを泊めてくれることに興味があった。
自分でお願いしておいてなんだけど、驚きだった。

19時。忠くんと合流。
夕飯を食べに、駅前にある有名なお店に連れて行ってくれた。
わたしが来るので、いろいろリサーチしてくれていたみたい。オモテナシありがとう。
岡山で有名なさわら丼をごちそうになった。
鰆?どんな味なんだろう?わたしは子どもの頃からずっと魚が苦手だった。
だから魚の名前を言われても、全然味の想像がつかないのだ(笑)
でも、ここ1年でようやく魚の美味しさを知った。
わたしも大人になって、やっと刺身の美味しさが分かる口になったの~。
と勝手に成長を感じながらさわら丼を味わった。
(これからもっともっと魚の味、美味しさを知りたい。)
帰宅後。
ふぅと一息つくと、スイッチが急に切れたかのように深い眠りに落ちた。
元気に動いていたかと思うと、疲れて突然オフモードになった。まるで、幼い子どものようなエネルギーの使い方だ。


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