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外にフィロソフィーを置くことで理念が共有され協働が生まれる【訪問:ぐんま国際アカデミー】

ぐんま国際アカデミー(GKA)の見学に行ってきました。

GKAの特色の英語イマージョン教育と国際バカロレア(IB)についてお話を伺いつつ、授業参観させてもらいました。

授業参観

社会科のお二人の授業を見学させてもらいました。

9年生 公民

教室にはアイランド型に並べられた机が4かたまり。
生徒が教室に来ると、思い思いのところに着席します。
教科教室制をとっており、基本的には、ホームルームで授業を受ける形ではありません。
生徒は荷物をもって教師の担当する教室に移動していきます。

この時間の課題は三権分立のところで、事前に配布された単元ごとのまとまりのブックレットを使用します。
課題は用語の確認、スモールクエスチョン、メインクエスチョンの3段で構成されており、それぞれを周囲の仲間と協同して進めていきます。
教師のインストラクションは冒頭の数分間程度で、生徒各々が必要に応じて仲間と関わりながら課題を進めていくスタイルでした。
生徒はブックレットに直接書き込むか、PCを使って入力する形で課題を進めていきます。
記入した生徒は成果物を写真に撮って提出、PCで入力した生徒はデータとして提出していました。
この授業に限らず、活動場面が多い学習や、他者と協同することが当然の文化になっている印象が強く、「聞くことは恥ずかしいことではない」という授業者の言葉を染み込むように聞いていました。

MYPではディプロマのように細部がプログラムで定められていないため、学習内容、評価についてもデザインする部分が多いようです。
9年生公民については、課題は学習指導要領の記載内容を丁寧に読み込み、必要最低限のラインを明確にして作成されているということでした。
評価については、形成的評価として提出された課題の採点、総括的評価としてパフォーマンス課題的なアウトプットの学習が設定されていました。国際バカロレアの目標に対応させてルーブリックを作成しているという、大変に骨が折れそうで、システマチックなものであると感じます。

11年生 地理

この授業は『』の考え方に則った授業展開がされていました。
他者に説明するアウトプット型の課題、全員の課題達成を集団の目標に据えて2時間ひとまとまりの課題に取り組みます。

課題のプリントは数枚が1束になっており、2枚は必須の課題、それ以降は補足課題と印字されています。ページ数で言うと補充課題の枚数の方が多いです。
この授業を履修している生徒は共通テストの受験科目として地理を使う生徒もおり、よくいう「得意な生徒が15分で終わる」というラインと「入試に必要な知識、技能を身につける」ラインとの乖離が出てしまう。
そのため、最低限の課題+補充課題という形で今のところはバランスが取れているという話でした。
大学入試というニーズを意識して授業デザインをする難しさと、折り合いの付け方を垣間見た気がします。

生徒はというと、あっという間に最低限の課題を済ませ、補充課題の方に突入していました。
一旦、最低限の課題が済んだところで授業をとめ、授業者が話をしましたが、再開後もひたすらに課題を進めます。
ひたすらにとは言っても、一人で黙々とやるわけでもなく、必要に応じて連携する仲間をかえ、流動的に学ぶ様子でした。
この生徒たちを1時間しか見ていないので、どういった意図があってそう言う行動をとっているのかは分かりませんが、固定化した部分がとても少ない教室でした。

授業後に授業者が「全員の課題の達成を可視化することと、説明するアウトプット型の課題をこの時期に入ったらやめてもいいんだけれど、生徒たちの様子に違和感がないからそのまま続けている」と言っていました。
教師側のねらいやスタイルはありますが、生徒の学ぶ様子を重視している姿に感服です。

9年生 総合

独自のカリキュラムを組んで実施している、コミュニティプロジェクトの時間でした。
9年生全員が参加、教師のファシリテーションで自身の好き、強み、こだわりを掘り下げて、他者と協同し、プロジェクトを立てる。
それを学校外とも折衝し、場合によっては公欠の扱いでダイナミックに活動を行う。
この授業の詳細は触れないでおきますが、探究の学習で本物に触れるカリキュラムが見事に回されていました。
年度末に発表会が行われているようですが、タイミングが合えば見学させてもらうと学校関係者は学ぶところが多そうです。

英語イマージョン

英語を学ぶのではなく、英語で学ぶというスタイルの授業が多く設定されていました。
日本人の教員と外国人の教員が同じくらいの人数在職しています。
日本人の教員も英語に堪能な方や、海外での留学や勤務経験を有する方が多く、教科の授業を英語で進めている姿も多く見られました。
外国人の教員はオールイングリッシュ、出身もアメリカ、イギリスに始まり、アジア、アフリカなど多様だそうです。
ある学年では、理科が週4時間あるうち2時間が日本人教師の授業、2時間が外国人教師の授業で行われています。

とある外国人理科教師の授業では細胞分裂の学習をしていました。
冒頭、教師が英語でインストラクションします。
言葉が早いので全く追いつけないで呆然としていたら、生徒は時折頷いていました。
ネイティブのスピードを完全に聞き取れているようです。
活動は細胞分裂のフェーズを説明する課題。
不要になったデスクマットに直接マーカーで書き込むダイナミックな活動で説明しました。
生徒に聞いてみると、細胞の名称はだいたい"c"で始まるから混同しやすいため、日本の教材で予習してから英名を覚えている、という人や、両方の語句を覚えるのは煩瑣だから英語だけで理解しているという人もいました。

IB

高校生年代に国際バカロレアディプロマ、中学生年代にMYPを位置付けたカリキュラムで教育活動が運営されています。
英語教育に力を入れてきた学校の特色に、IBを掛け合わせたところがGKAの独自性の高い部分ということです。
かつてはIBのカリキュラムを重視するとセンター入試や共通テストに対応することが難しくなるという指摘もあったようです。
が、近年の大学の総合型選抜やAO入試の拡充などによって大学進学とカリキュラムについても一致点がみえ、カリキュラムと指導にも出口に向けた一貫性が生まれてきたのだという印象を受けました。


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