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やはり人です【訪問:坂田康亮さん】

坂田康亮さんの授業見学に筑紫野市立築山中学校にお邪魔しました。
理科の授業を参観し、その後お話ししました。
中学理科の参観、はじめてでした。
(自身の免許教科なのに)

5限 2年生理科 圧力、大気圧

指導要領改訂で1年の1分野から引っ越ししてきたトピックでした。
正方形のゴム平板にドアノブのような取手を付けた器具で演示実験しスタートしました。
おどけた生徒が取手を引くと斜めに机が持ち上がり、外れて落ちます。
「ワハハ」と湧き起こる笑い声に生徒間の関係性の良さが滲んでいました。

ワークシートをベースに学習が進みます。
まず目に入ったのが評価基準です。

B評価:圧力を計算で求めることができる。
A評価:大気圧によって生じる事象を説明できる。

とありました。
3観点でいえばBの文言は知識および技能、Aの文言は思考力、表現力、判断力等に相当するように見受けられます。
目標を細分化して到達度でルーブリック化を図ると理科の場合こうした形になるよなあと合点がいきました。

ここの単元で頭を悩ませる人が多くなるのはやはり小数の除算。圧力の計算は分母をm^2にすること、湿度の計算では使用する飽和水蒸気量の値が大抵小数であることから面倒な計算を行うことになります。
生活上だったら電卓を叩く(いまならsiriに問えば答えてくれる)ので、この類の計算をしたのはこの単元が最後の気がします。

授業の中ではやはり桁がずれていたり、通分し損ねたりして誤答が生じていました。
すると、途中計算式を黒板に書く生徒がでてきました。
次々に生徒が前に集まり、おもむろにチョークを手に取ります。
圧力ー面積ー力の関係を図示したり、1Nは100gの物体にかかる重力と書いたり。
黒板はクラスでの情報共有板のように自由に使われていました。

中盤に入り、次第に生徒の動きが増えています。
坂田さんは「とにかくうごきまわる」ことを繰り返していました。
男女間の交流がかなり多く、自然に会話が紡がれています。
「わかる?」「わからん」「えっとね」
周りに意識が向いている発言も聞こえます
「向こうにみんなあつまっとう」
「あと2分!がんばろー」
やんわりと連帯している雰囲気で進んで行きました。

授業前半がプリントの課題を進める時間、後半が追加の演示実験の時間という構成でした。
前半25分の終わりが近づくと、課題を達成した人がどどどっと増えました。
そして終了。
二十数人が達成、数人が未達成でした。

それでも関わりは多く、全体は積極的に学習に取り組んでいたように見えます。
が、坂田さんは「情報共有がうまく行っていない」
「もっと効率よくできると思うけどなあ」
と振り返っていました。
ほめる、ほめないという次元でなく、教師として集団に何を求めているかで集団は高まりもするし停滞もするのだと突きつけられた感じでした。

後半の演示実験では、空き缶潰し、逆さまのワイングラス、新聞紙と割り箸などを坂田さんが進めました。
食い入るようにクラスが見入っていました。

授業の振り返りをpptでストックしていました。1時間1ページの振り返りは前後の授業とのつながりをつくるのに効果的だなと感じました。

また次作の学習タイマーを動画で作られており、それで生徒は時間を確認していました。「あと◯分」に添えられているメッセージも毎回話すことを省けてなるほどと感じました。

懇談

・うまくいくとき
最後の「ひとり」が生じるときはうまくいっていない。全体が互いを気にかけていたら最後には二人以上残るはず。二人三脚。また全体が2/3くらいの所要時間でだいたい同じ歩調で終わるときはいい。

・とにかく動き回る、の意
授業中に繰り返していたのは伝えるため。リードする層に動かない人が少しいてそこが課題だった。座っていても情報が入ってこない。情報は学習内容も仲間の様子も含めた総合的なもの。

・総合
探究ベースのプロジェクト型学習を進めている。ゴールを卒業ではなく、70-80歳のときどう生きているかに設定している。市役所や商工会議所に繋がり、成果物を伝える場面を設定している。
子どもが自走するようになると、大人たちの子どもへの捉えが変化してくる。大人の最低限の支援で子どもが動けることを大人が学ぶ場になっている。子ども観は子どもが変わることで変化する可能性がある。

・やはり人
人権学習、授業づくり、総合探究、やはりそれらが機能するのはプログラムの内容だけでなく、むしろ教師自身がどうあるか、どう考えているか、で決定されていく部分が大きい。人の営みである限り、やはり人であると言うことを感じました。

おせわになりました。
是非上越ですお会いしましょう!

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