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思いっきり偏ったらいいと思っています【訪問:かつやま子どもの村小・中学校】

かつやま子どもの村小・中学校へ見学。

映画「夢みる小学校」で取り上げられた きのくに子どもの村学園の設置する学校のひとつで、勝山市の中心街から車で15分ほど、中山間地域の廃小学校舎を活用して教育活動が行われていました。

夢みる小学校上映会についてはこちら


公立の学校と対比すると特徴的な部分がたくさんあります。

・おとなの子どもを見るまなざし、声かけ

職員の方の足にしがみついて離れない女の子がでむかえてくれました。
この場面に象徴されるように大人と子どもがフラットに関わる場面がいくつも。
子どもは大人を〇〇さん呼ばわりしていました。
開放された職員室や、子どもへの声かけの機微に、教育観が滲み出ています。

・プロジェクトベースで様々な展開をする学習

タイトル画像にあるような作品やウッドデッキなど、校庭には木製品が多く存在します。
これらの多くは木工を行うプロジェクトが学習の中で制作したものです。
「貢献」が重要で、雨の日に濡れないように屋根をつくる、校庭に出やすいように昇降できるウッドデッキをつくる、など、作品が人の役に立つことも視点においています。
では木工ばかりやっているかというと全くそういうことはありません。
制作前に構想を練ったり、調査をしたり、図面を書いたりといった、一見地味なデスクで行う学習もかなりの時間行われます。
もちろんその過程では苦労を多く感じることもありますが、それを含んだ上での学習と考えています。
ちょっと見てみるとかなりクオリティが高く、非常に実用的でもあります。
寮の一角には子どもたちが大工さんから指導を受けなら増築したという(日用に供する)一室があり、これら活動の規模感と本格度に驚きました。

・自由を大切にしているばかりではない

時間割にある「自由選択」では陶芸やサッカー、絵画などを子どもが選択して学習します。
この選択は一学期間の選択であり、その中で、「継続して技術を上達させること」が大切にされているということでした。
映画では自由、あるがままでいいという部分を強調されていますが、決して自由だけでカリキュラムが設計されている訳でもありません。
きのくにの考え方に沿って子どもを伸ばすわけで、その一側面に自由らしさがあるという形でしょうか。

一条校のメリット

職員の方に聞きました。
近年オルタナティブスクールや子どもの居場所が増えている中で、あえて一条校としてやる意義。
お話しいただいた最も大きいのは、子どもの所属が学校にできるということでした。
地元の学校に籍だけ所属して、でも学習はこちら、という所属と実質が離れた状態でなく、子どもが所属する場所と学ぶところを一致させることができます。
学校以外に通うことで気になる出席日数とか卒業要件とかの心配を親がする必要なくなります。

またなかなかの人気なものの寮の定員一杯の状態なので、入りたいからといって転入学できるわけでもないということでした。
フリースクールは子どもが学校復帰するとスクールとしての収益は減るという難しい構造を抱えています。
ここも対比的でした。

かつやまができるまで

廃校利用は、和歌山のきのくにの創設時にはまだできませんでした。
公の施設を持続可能な形で民間に預けて良いのかという行政側の考えがあったようです。
きのくにこどもの村学園でも学校運営の実績が豊富であったわけでなく当初の実現は難しかったようです。 
それから6年後のかつやまの開校では廃校になった小学校を使う運びになりました。
きのくにの学校経営の実績、行政の今後の廃校の利用、勝山にゆかりのある堀さんの存在、そういったものが複層的に影響し合ったようです。

縁や人との関係を広げるだけでなく、深めていくことの意味を感じます。

お忙しい中の対応に感謝します。
短時間ですが、教育活動の一端を目の当たりにして、温度を感じることができました。

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