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074_東日本大震災の思い出

東日本大震災の直後、全国から被災地へ募金が集まりました。
私も、いくらかの少ないお金でも送りたかったのですが、それをしませんでした。

長男が大学に入り、その直後に私はリストラが決まり、そういう状態でした。少ないポケットマネーを出す事ができたとは思いますが、その気にはなれませんでした。

その翌年、今度は次男が高校を受験しました。家計が厳しい、それは紛れもない事実でしたが、それを敢えて次男には言いませんでした。
言えば、確実に動揺して受験に影響が出たでしょう。お金がかからない公立高校しか選択肢がなくなる、すると当然ランクを落とさなければならなくなる。それは選択としてベストかもしれませんが、後の人生に後悔を与えてしまう事がベストとは思えませんでした。

結果、次男はランクを落とさずに高校受験をして、合格を勝ち取りました。
失業者だった私は、合格発表を次男と一緒に見に行きました。その子は自信家でしたが、電車の中でフッと何かがよぎったのでしょうか。
「もし落ちていたらごめんな」と言いました。
無謀なチャレンジではない。だから落ちる事が悪いわけではないよ、と私は言いました。

私の会社と業界は、大震災による景気の落ち込みの直撃を受けていました。そのため同業には転職できず、年齢は50歳を超えていたので、異業種への転職となりました。近年のコロナで多くの失業者が新天地を目指しましたが、私は自身の姿とダブりました。私もコロナでも大きな打撃を受けましたが、幸いなことにあの震災ほどではありませんでした。

大震災、そしてコロナ。それさえなければ、こんな苦労をしなくて済んだという人は多いと思います。私なんかまだ運が良い方でしょう。リストラされて金欠で苦しんで、それで運が良いはずはありませんが、なんだかんだで乗り越えてきましたから。

いつか機会があったら、東北に旅行に行って、募金箱にお金をいれたいと思っています。今も貧しいですが、それだけの余裕はできました。

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