見出し画像

詰所 / 掌編

西の空に充満した黒雲がどんどん迫ってきて、
じきにここも雷雨にやられると職人たちは口々に言い、
その声に休息への宿望が滲んでいた。
作業の手を止め、
資材をシートで覆い、
彼らは充てがわれたプレハブの詰所へと潜り込んだ。
忽ち雷霆が頭上で轟いた。
ぐっと身を屈める大男の隣で、
茶を手にしてぽかんと天井を見上げる小男の取り合わせ。
簡易な造りがびりびりと震えたかと思うと、
間をおかずにピカッと光ってバシャンと鳴る。
ひゃあとか、おおとか言って、
男いきれの汗臭い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?