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#3 彼方への窓

口から口へ
蜘蛛の糸は細く細く上下する
耳から耳へ
燐の炎が幽かに揺れる

遠い遠い何処かの國で
伝え伝わり 広まり続け
遠い遠い何処かの村で
それらはやがてカタチを得る


蛙が合唱するあぜ道に
夏の夜風が身を包み
新月の、夜の帳が下りるとき

秋の虫が鳴き始め
樹々が闇夜に溶けた頃
辻のむこうに祭囃子がきこえたら
狐の窓を眼前に

昼と夜、境界の彼方で
生きる彼等を一目見む

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