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冬のスズメはふっくら膨れ上がってパンを待つ

ひと雨ごとに寒くなる。
この日は北風が強く、ガラス越しに見る鎮守の森の木々も大きく揺れていた。
この強い風を、スズメたちはどうしのいでいるのだろうと思いながら、暖房の効いたパン屋のイートインスペースで、朝昼兼用の食事を採った。

ガラス越しに見えるテラス席では男性が一人、こちらに背を向けて電話をしている。
と、その向こうの生垣の根元に、スズメが2羽、ふっくらふくれあがって並んでいるのが見えた。
電話の男性が、パン屑をこぼしやしないかと期待しているのだ。

男性の電話は続き、パンを食べようとしない。
だから、パン屑もこぼれない。
それでもスズメたちは、固唾を飲んでパン屑を待っている。
強い北風もなんのその、みじろぎもせず待ち続けるスズメの辛抱強いことよ。

パン屑にありつけるか否かのカギは、こぼれる瞬間に気付けるかどうかだ。一瞬でも目をそらしたら最後、他のスズメにスサーッと奪い去られてしまう。

待ちくたびれた2羽のスズメ、しまいには並んで座り込み、丸い毛玉のようになってしまった。

「寒いね」「うん、寒いね」

なんて会話が聞こえてきそうだ。
が、スズメの羽は機能性に優れており、体温を約40度に保つことができるそうだ。

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