短編 | 袋
ことのあと、その女は言った。
「肌がすごいスベスベしていますね」
肌の手触りなどほめられたことはなかった。
「それと… …。下の袋に毛が生えていなくて、とても気持ちいい。ほら、こんなにツルツル」
そこを撫でながら女が言った。
「普通は生えているものなんですか?」
「半々くらいですかね。袋までモジャモジャの人もいますし、薄い人もいます。だけど、こんなにツルツルのきれいな袋ははじめて見ました」
「へぇ、そうなんですね。男同士で見せ合うことはありませんし」
単なる気晴らしで遊びに来たが、自分では気がつかないところを褒められ、もう少しだけ生きてみようと思った。
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