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エッセイとノンフィクション、日記とか雑文、駄文も

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過去に書いたエッセイやノンフィクションをまとめていこうと思います。身バレ防止の為、ほとんどの作品で、随所に創作を交えております。 あと、日記のような雑記とか雑感なども、適度にフェ…
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2023年12月の記事一覧

似非エッセイ『HANA-BI』(#シロクマ文芸部)

(本文588文字)

 ありがとう、ごめんね——。
 そして、海岸に二発の銃声が鳴り響く。

 北野武監督の「HANA-BI」は1998年公開され、第54回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(最優秀作品賞に該当)を受賞した、日本映画史に燦然と輝く名作です。そのエンディングに、冒頭に書いたやり取りがあるのです。

 実は、この台詞は主人公(たけしさん)の妻役の岸本加世子さんのセリフですが、この夫婦はシ

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「六次の隔たり」と「友達の輪」

「六次の隔たり」と「友達の輪」

 私の中で、今も昔も不思議なテレビ番組が「笑っていいとも」です。
 説明不要であろう国民的長寿番組ですが、随分前に放送が終了した番組なので、もしかすると、若い方の中にはリアルタイムでほとんど観たことがない方もいるかもしれません。なんせ、最終回から十年近くも経過しているのです。2014年3月31日終了だったそうです。

自分は正しい症候群

 老齢による弊害のことを、一般的には「老害」と呼びます。「害」という漢字を使っていることからも分かりますが、老害はネガティヴな意味で使われる言葉です。

 さて、この「老害」という単語、近年になりよく見聞きするようになったと思っていたのですが、この言葉が生まれたのは、何と今から四十年も前のことだそうです。1983年(昭和58年)に出版された、松本清張の「迷走地図」という長編の中で使われたのが最初だ

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似非エッセイ『十二月』(#シロクマ文芸部)

似非エッセイ『十二月』(#シロクマ文芸部)

(本文3,640文字)

 十二月は「師走」と呼ばれるように、「師」の付く職業が忙しい月……と小学生の頃、担任教「師」は言いました。とっても素直な小学生だった私は、ずっとそう信じていました。
 いつしか私も「師」の付く職業に就くようになり、十二月が忙しくても「師走」だから仕方ないね、と諦めていたのですが、最近になり、なんと「師走」の「師」は「師の付く職業」のことではないらしいことを知ったのです。ど

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