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対話体小説集

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地の文を使わず、全編会話文だけで構成された物語のことを、対話体小説といいます。 代表的な作品として、マヌエル・プイグの『蜘蛛女のキス』や恩田陸の『Q&A』、小林泰三の『アリス殺し…
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2023年10月の記事一覧

警部、お願いします!(8)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene8】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「何だ、この床は! マーガリンでも塗ったのか?」
「いえ、マーガリンではなくバターです。ガイシャは足を滑らせ、打ち所が悪く、ほぼ即死。ガイシャの友人のユーチューバーがイタズラで床にバターを塗り、撮影していた線で調べております」
「何故、そう思う?」
「実は、カメラが二箇所に仕掛けられており……」
「そうじゃない

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【緊急対談!】〜宴の魅力について〜(※フィクションのパスティーシュ小説です)

——本日は、まもなく開宴する、第2回「54字の宴」というイベントの魅力について、主催者の櫟さんに直接お話をうかがおうと思います。では、紹介します。櫟さん、こちらへどうぞ!

こんにちは。櫟です。よろしくお願いします。

——早速ですが、いよいよ来週には宴が始まりますよね。でも、リスナーからは「宴ってなんぞや?」って声も寄せられておりまして、先ずはその辺のことからお話をうかがいたいのですが、ずばり、

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警部、お願いします!(7)〜毎週ショートショートnote〜

警部、お願いします!【scene7】

(本文410文字)

「警部、お願いします!」
「なんだなんだ、こんな所で銃殺か?」
「まだ調査中ですが、おそらく刺殺です」
「しかし、この匂いはなんだ?」
「まだ調査中ですが、酢の匂いかと」
「それは分かっている。知りたいのは理由だ」
「まだ調査中ですが、ガイシャはこの店でカレー屋を経営しており、客と揉めていたそうです。こちらに、らっきょうと福神漬けのスト

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