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【ピアノ】音の長さは腹から補給する

「ピアノの音の長さは、腹から補給する」

昨年亡くなった大ピアニスト、レオン・フライシャーのことばです。 

「腹から補給する」について、
英語でツイートしようとして、
'the gut' なのか、’the guts' なのか、イマイチわからない。

もともとのフライシャーの言葉は、英語だけど、
記憶を頼りに書いているので、
細かいところがはっきりしないのです。
私は日本人なので、何十年ここに住んでいても、
複数形とか、未だにわからない時が多い。

そこで、'gut' と'guts'と検索してみると、
'gut'だと「腸」のみ、
'guts' 複数形だと「腸を含め、胃とか、諸々の内臓を含む」

それで、結局、Gutsと複数形にしてツイートしました。

ピアノ演奏の場合は、
『腸』も『胃』も、『その他もろもろ』も、
すべて総動員して、音に生命を与えて、
音に長さを与えてください!

日本語の『腹』が、いちばんぴったりですよね!

ピアノの音は、一度弾いた後は変更できないとは
良く言われることです。
他の楽器、例えばヴァイオリンとかだったら、
弱い音から始めて、だんだん膨らませたり、
音の質に魅惑的な色を、最後に加えてみたり、
ひとつの音でも、自在に変化させることができます。

ピアノの音は、死に向かう一方。
ガーン。

しかし
「ピアノの音の生命は、腹から補給することができる」
とフライシャーは言います。

偉大なピアニストと、そうでないピアニストの差は
まさに、ここにあります。
音と音の間に何が起こるか。

音のアタック時しか聞かないピアニストと、
音のなり終わるまで、音を聞き続け、
ヴィブラートかけたり、液体を醸し出したり、音の最後の最後まで、
音を磨き続けることができるピアニスト。

物理的な不可能を、死を、
想像力と詩によって超えるのが、
アート、ピアノ演奏。

コツ
①音の鳴り終わるまで聞き続ける。
②音と音の間から流れ出る、魔法の液体に着目。
③そして、次の音を、音の最後の音色にマッチさせる。
④他の楽器で演奏している(または、歌っている)ことを想像し、
その音により近づくまで練習する。

よく考えたら、他の楽器の真似をしようとするのって、
ピアノぐらいじゃないかな?
ホルンの真似をするフルート奏者とか、考えられませんよね?

まさに、幻覚に惑わされた人たちの楽器です。
それでも、思い込みだろうが、幻想だろうが
結局、最後に人生や演奏に、意味を与えるのは、
「確信の強さ」ではないでしょうか。

『腹から補給すること』忘れないように!

#ピアノ #音楽 #クラシック音楽 #芸術

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