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逃げていかないで。

突然ですが、
私は、ピアノを弾いている時
むずかしい箇所で、走ってしまう
悪いくせがあります。

実に初歩的な、ミステイクですが
緊張しているときなどに
顕著になります。

この問題を克服するために
ピアニストのフィリップ・フォーク氏から
伝授された方法を、今日はお伝えします。

私にかぎらず、
焦ったときに、テンポが速くなってしまうのは
よくあることなので、参考になったら幸いです。

お風呂を思いえがく

やり方はシンプルです。
練習中に、自分の演奏を録音し
「走ってしまう箇所」を、まず確認。
そして、その部分の反復練習をします。

上拍〈アップビート〉から、下拍〈ダウンビート〉に
つっこんで行くのを防ぐために
上拍を弾いた状態で、わざわざ止まります。

指は、鍵盤を押しているまま、音は鳴っているまま
下拍に行かずにストップ。

ここで、お風呂に入っていることを、思いえがきます。♨️

〈アップビート〉から〈ダウンビート〉まで、
勢いのある状態のときに、止まるため
体は緊張した状態に、なっているはずです。

試しにやってみてください。

まるで、《獲物を前にした猫》のような
ポーズになってませんか?

そうではなく、
あえて、リラックスしたポーズをして
止まってください。
お風呂にゆったりと、沈んでいくイメージで
腕や肩の重みが、指をつたわって
鍵盤の下まで、落ちていきます。

ふぅ〜。

「数秒止まってリラックスして、お風呂をイメージしてから、
そのまま先を続ける」

それだけです。

走ってしまう場所で、
あえて止まって、
リラックスをする練習を、反復することによって、
コントロールする能力が身につきます。

コンサートの最中は、
もちろん、途中で止まったりしません。
しかし、舞台の上でも
お風呂のなつかしい記憶は、とどめておくようにしましょう。

書いてたら、むしょうに、日本の温泉に入りたくなってきた!(笑)

なぜ走る?

そもそも、なぜ演奏中にテンポが
速くなってしまうんでしょう?
「とにかく、無事で乗り切りたい」
という気持ちから、じゃないでしょうか?

この、「無事で乗り切りたい」
思考は、演奏をする上で絶対アウトです!

その瞬間、瞬間を
「味わい」「楽しみ」「経験し」
〈音楽をする〉ことの対極にあると言えます。

その場から逃げたい気持ちの現れ。

大学時代
レッスン中に、テンポが速くなると
英国人の師匠に、
”Don't run away!"
と怒られたものです。

”Run away”には、
「家出する」「逃げる」という
ニュアンスがあります。

「そこ、逃げてったらダメ!」
と口調は軽かったもの
今になって考えると
「音楽することから逃げている」という
なかなか、深い指摘でした。

まとめ

今日は、むずかしいパッセージで
テンポが、速くなってしまう場合の
練習の仕方について話しました。

コツは、練習時に上拍で止まり、
お風呂に入ることを想像する。

それでは皆さん、今日も良い練習を!
終わった後は、ゆっくりお風呂でもいかが?

#ピアノ #練習 #クラシック音楽

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