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寺ピアノの人に聞いてみた【ストピ設置者インタビューvol.1】

ストピ設置者インタビュー第一弾!!先日執筆者が寺ピアノ訪問時にお話させていただいた、寺ピアノ設置者の武藤さんに色々聞いてみました。ストリートピアノ設置の経緯や、ストリートピアノ文化への想いなどを語っていただきました。

◆武藤正義さん (インタビュイー)
岩淵パブリックピアノ(寺ピアノ)主催、赤羽ストリートピアノ主催、王子ストリートピアノ主催、東大宮ストリートピアノ主催。本業は芝浦工業大学システム理工学部教授。スクエアゼット名義で音楽家として作曲・即興・ピアノ演奏・ライブ・配信も行う。音楽以外の趣味は、飲食店巡りと公園巡り。神奈川県逗子市出身。
◆かの (執筆者・インタビュアー)
ストリートピアノ情報発信Twitterアカウント「ストリートピアノまとめ」を運営。幼少期にピアノを習っていたもののクラシック音楽が苦手で挫折。以降十数年間ポップスや作曲を中心に趣味でピアノを続ける。
◇寺ピアノ (岩淵パブリックピアノ)
東京都北区岩淵・正光寺にあるストリートピアノ。赤羽岩淵駅より徒歩1分、赤羽駅より徒歩7分。毎週日曜・月曜の13時~16時開放。


インタビューの前に

かの:先日寺ピアノでお会いした時はありがとうございました!今回ストピ設置者インタビューの第一弾ということでよろしくお願いいたします!

武藤さん:よろしくお願いいたします。こういったインタビュー記事を通じてストピ文化を支える人の想いを届けることは大事だと思いまして、こういう活動してくれる人がいるのは嬉しいです。今Googleドキュメント共有したのですが見えていますか?

かの:???いま白紙が見えています。

武藤さん:ひとまずここに僕と関わりのあるストピのキーパーソンを一覧で書いておくので、是非インタビューしてみてください。もし何かあれば僕の方から一言声かけるので連絡下さい。

かの:(武藤さん・・・神様・・・!)


なぜ寺ピアノを設置したか

かの:そもそもなぜ寺ピアノを設置されたのか教えていただけますか?

武藤さん:主な目的としては赤羽・岩淵のまちづくりですね。岩淵は自然のある荒川土手の赤水門青水門を筆頭に、大きな観音像のある正光寺、長屋群をエリアリノベーションしたコワーキングスペースのコトイロなどがある、とてもホットで文化的なエリアなんです。

かの:わ、シェアキッチンもあるコワーキングスペースなんですね。ホームページもめちゃめちゃおしゃれ・・・!

武藤さん:さまざまな文化が交わる岩淵エリアですが、音楽文化だけがちょうどありませんでした。そこに寺ピアノがカチッとハマった感じですね。

かの:なるほど。ストリートピアノ自体にはもともと関心があったんですか?

武藤さん:いや知ったのは昨年の1月なんです。

かの:えっそうなんですか!?

武藤さん:僕、もともと院生時代からゲーム理論という経済学の基礎理論を使った利他性の数理モデル構築をしていたんです。簡単に言うと、ちょっとした配慮・利他性をみんながちょっと持っていれば、社会が良く変わっていくんじゃないの、ということを数学的に分析する研究をしていました。

かの:おおぉ・・・なんともごつそう・・・。

武藤さん:そこで利他性について研究を初めて以来、ボランティア・NPOなど、市民活動に関する調査研究をしていました。僕の研究室もストリートピアノをテーマとして扱って社会学の研究をすることがあるので、研究室の学生に色々手伝ってもらったりしてます。

かの:ええっ研究テーマなんですか。ストリートピアノがテーマになる研究室なんて楽しそう・・・!

武藤さん:2000年代後半に逗子海岸のゴミ拾いなどをやる環境NPO「GoodDay」やまちづくりマルシェのボランティアに参加して、所謂社会のために活躍する社会的起業家たちとの付き合いが多くなりました。岩淵のまちづくりの若きリーダー織戸龍也さんとの出会いもかなり大きいです。

かの:周りにそういった人たちがたくさんいたのは大きな影響を受けそうでうですよね。

武藤さん:それに加えて、岩淵にはコワーキングスペース・コトイロが主催する宿場町まるしぇというマルシェがあり、そこの手伝いによく行っていました。そこでブースづくりを一緒に手伝っていた仁科吉裕さんという地域のアクターと出会い、色々なコネで助けてもらいました。

かの:おお次々と新しい人物が。

武藤さん:仁科さんとは赤羽や王子など東京都北区のストリートピアノを何度も共同で主催しています。赤羽ストリートピアノは2019年6月にvol.1、同年12月にvol.2、2020年の今年はコロナの影響で遅れましたが9月にvol.3を、王子ストリートピアノは2020年10月末と11月に開催でき大盛況でした。

かの:たった一年半でたくさんのストリートピアノを主催されているんですね。

武藤さん:何かの手伝いで知られるとかではなくて、地域活性化のアクターとして「何かで」知られたいという想いがあって。そのタイミングで、ストリートピアノの流行が転がりこんできた、という感じなんです。

かの:色んなタイミングが噛み合って実現したストリートピアノだったんですね・・・!すごい・・・!

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△にぎわう赤羽ストリートピアノ△


なぜ寺を選んだのか

かの:寺ピアノってなんで「寺」なんですか?それも人との出会いですか?

武藤さん:正光寺の住職をしている高橋寿光さんにもまるしぇで会ったんです。

かの:またまるしぇ!まるしぇでの出会いがすごいですね。

武藤さん:装飾した誰でも弾けるピアノを、伝統文化が息づく日本のお寺に常設するのは世界でも初の試みではないかと思っていまして、今後世界に向けて岩淵の文化を発信していくつもりです。お寺なだけに、赤羽・岩淵は日本を代表する、世界的なストリートピアノの聖地にしていきたいと構想しています。

かの:おおお・・・壮大な展望ですね・・・!他の場所は検討していなかったんですか?

武藤さん:うーんやっぱり岩淵でやりたかったんですよね。僕も赤羽に住んで10年ぐらいになりますけど、やっぱり僕的には岩淵が好きなんですよね。岩淵でやりたかった。その中でも僕が好きな場所の一つの正光寺を選んだ感じですかね。

かの:(岩淵愛がすごい・・・!)

武藤さん:正光寺は地域に開かれたお寺を目指していて、マルシェ以外にも様々なイベントを積極的に開いていて、交流の場としてかなり活躍してるんです。それも一つの決め手だったかもしれませんね。

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△本堂展示の際の様子△


協力者を集める

かの:武藤さん本当に色んな人と出会ってるんですね、ただただすごいです・・・。

武藤さん:多分僕の場合は今までの積み重ねが半端ないと思います。大学に研究室を持ってるとか笑。

かの:研究室を持ってるのは激レアだと思います笑。ストリートピアノ実現には、人脈がないと厳しいと思いますか?

武藤さん:うーん・・・個人的には厳しい気がしますね。まずピアノを運ぶだけでも結構大変です。赤羽ストリートピアノの時も小学校から300mぐらい移動させる必要があるので大変でした。男手最低4人ぐらいは必要になるんじゃないかな。意外と肉体労働多いんですよね。

かの:ピアノ一台だけでも相当重いですもんね・・・。

武藤さん:個人でやろうとしているのであれば、賛同してくれる協力者を募るのが先決だと思います。僕の知ってる人だとピアノサークルのメンバーで手伝ってくれる人を集めてストリートピアノを主催している人もいます。

かの:なるほど、ピアノサークルいいかもしれませんね。

武藤さん:最近はピアノにキャスターをつけて運搬しやすくすることができるのでそのあたりを前提でピアノを買ったり、購入費や運搬費などお金で解決できる問題も勿論ありますが、設置場所によってはその場所に事務的な手続きが発生したりなど、独力での設置はかなり厳しい印象です。

かの:了承を得る先が多そうですよね。武藤さんはどうされたんですか?

武藤さん:僕が前に商店街にストリートピアノを設置しようとしたときは、仁科さんが商店街の元会長さんとコネがあったので、仁科さんにかなり助けられました。で正光寺は住職を知っていたので。

かの:地域の力凄すぎます。

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△にぎわう王子ストリートピアノの様子△


運用で気を付けること

かの:ストリートピアノを設置した後、運用期間で何かポイントはありますか?

武藤さん:これは僕だけの考えかもしれないんですが、ストリートピアノは毎日弾けなくていいと思うんですよ。

かの:たしか寺ピアノは常設ではありますが開放は週二だけですよね。他の常設ピアノってやっぱり毎日開放日が多い印象がありますが・・・。

武藤さん:寺ピアノの場合は来訪者がそこまで多くないので、毎日開放にしてしまうと来訪者が分散してしまって交流にならないと思うんですよね。僕としては来た人の音楽を聞いたり話をしたりという交流が大事なので、現状週二回程度の開放としています。

かの:確かに常設ピアノにしてしまうと来る人が減るイメージはあります。いつでも行けるし気が向いた時でいいかな感があります。

武藤さん:このあたりのコントロールは必要だと思うんですよね。毎日開放していたら毎日管理者の人がそばにいないといけない、となると大変ですし。寺ピアノも基本的には僕が管理できるぐらいの頻度での公開にしています。「最初から毎日開放にしない」というのは一つのやり方だと思います。

かの:なるほど!確かに開放してみてどれぐらい人が来るものなのかを知るのも大事ですね。

武藤さん:例えば二日間限定などの「イベント」にしてしまうと、腕に覚えのあるストピ常連の演奏者さんが一度に集まるので、所謂「ストピビギナー」の方々は遠慮しがちになってしまうのです。赤羽ストリートピアノでも盛り上がりすぎて地域の方も含む一定の方々が弾きにくいという状況が生まれてしまいました。

かの:なるほど、ストリートピアノは期間限定で行う「イベント」と、長期的に開放する「常設ピアノ」とは分けて考えたほうが良さそうなんですね。

武藤さん:あとTwitterアカウントは作っておいたほうが良いと思います。宣伝に結構使えるので、僕もメインで使っています。

かの:僕もTwitterで流れてきて寺ピアノを知りました!

武藤さん:数日限定のイベントの場合、設置したとしても広報しないと人は来てくれません。1日・2日前の広報では足らない、最低でも一週間前ぐらいからの宣伝が必要です。

かの:確かに気づいたときにはすでに終わってたりします・・・。少し遠いと行くのも少し悩んだりしますよね。

武藤さん:1か月とかやるのであれば、そこに来た人が勝手に宣伝してくれるので比較的楽なイメージ。寺ピアノも40~50リツイートぐらい行ったツイートもあります。演奏者だけでなくてファンの人もリツイートしてくれるのでありがたいですね。

かの:なるほど・・・。寺ピアノってYoutube配信していましたよね?あれも宣伝ですか?

武藤さん:寺に来ない人にも音楽を楽しんでもらえるように、というのと監視の意味ですね。基本的に僕がいるので大丈夫ですが、万が一のことを考えて。

かの:なるほど!結構しっかりした設備だったので驚きました・・・!

武藤さん:Youtubeの配信の設備作るのがかなり大変だったんですよね。学生の研究テーマにして学生にもかなり手伝ってもらったんですが、マイクが悪いのか機材が悪いのかが良くわからなかったりで7回・8回は実験しましたね。

かの:そこも試行錯誤されているんですね。ストピ愛を感じます笑

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△Youtube配信しながら開放△


インタビューを終えて

かの:本当に色々な話を聞かせていただいて今日はありがとうございました。記事が仕上がり次第、武藤さんに確認依頼しますね。

武藤さん:その件なんですが。

かの:???

武藤さん:実は事前連絡いただいていたインタビュー予定内容一覧を見て、実はかのさんが書きやすいように書いてしまったんですよ。

かの:なんと!!!?!!!?!?!???!?!?

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かの:すごすぎます・・・7ページもあるじゃないですか・・・!

武藤さん:仕事柄書くのは苦じゃないので。私としても自分のこれまでの経緯をまとめたいと思っていたところなのでちょうどよかったです。インタビュ

かの:せっかく書いていただいたので、是非使わせてください!!


武藤さん直筆の経験談は▼こちらへ▼!!ストリートピアノ設置を考えている方は必見です!!


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