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愛の夢バレンタイン企画:第4週

1ヶ月をかけてやってきましたバレンタイン企画ですが、遂に第4週を迎えました。

企画紹介→https://note.com/pianoduoruban/n/ndc64c8955e2d

第1週→https://note.com/pianoduoruban/n/n6d4b048ff70a
第2週→ https://note.com/pianoduoruban/n/n77f0ab62551c
第3週→ https://note.com/pianoduoruban/n/n8db08d76620c

スコア→https://store.piascore.com/scores/130365

第3週では、細かいパッセージや曲全体のテンポを見ていきました。

今回は、強弱やそれぞれのコントラスト、そしてRubanの編曲で積極的に取り入れている4手が巧みに交差する部分も最後にふれようと思います。


1) ディナーミク

まずは強弱ですね。この愛の夢、原曲の時点から強弱についての表記がかなり少ないです。でも聴いていると、穏やかなところもクライマックスもしっかりと感じられますよね。
実はリストがそう計算していたと言ってもいいのでは?と思います。

というのも、穏やかに感じられるところはメロディーが1ラインのみで奏でられ、クライマックスになるとメロディーは2ライン、バスはより低くなり、伴奏の厚みも増します。
強弱記号に頼らなくても自然と厚みが出るように設計されているのです。


連弾譜においてもそれは変わらず引き継ぎました。穏やかな部分は1手のみ、クライマックスは2手(+オクターブ)でメロディーに響きを持たせました。

とは言っても、何も考えずに弾いてしまってはせっかくの設計も聴こえてきません。

「強弱」と捉える必要はないかもしれませんが、曲のタイトルは「愛の夢」…最初は男の人ひとりが穏やかに語っていた愛は、やがて恋人に共鳴し、一緒に歌い出す…というような場面展開を想像してメロディー、また伴奏の厚みを表現してみてください。


2) コントラスト

これは先に見たディナーミクと通じる部分があるのですが、この曲、練習された方は感じたかもしれませんが、同じテーマが繰り返されますよね。

実はここにもリストの巧みな作曲法が垣間見えます。

初めは弾きやすい音域とドの音が続き、2回目ではロ長調で臨時記号も増え少し弾きにくさを感じます。
もしかしたらリストはなんなりと弾きこなしたかもしれませんが、ピアノを学習するものたちにとってはこの弾きにくさが自然とカラーを変えるものとなります。


もちろん、滑らかに演奏をすることを目指して練習することが大切ですが、弾きにくいところでは思い切って時間をとったり、黒鍵や臨時記号にいい意味で振り回されてみてください。
それが演奏に奥行きを持たせることがあります。


そこから2人で美しいと思えるカラー、表現を探して曲全体を整えていきましょう。

実際に調性や和声感で感じたイメージや色彩を言葉にして共有することも役立つと思います。




3) 腕の交差

2人ですでに合わせをされたデュオの方は腕の交差をいくつかの場面で見付けてくれていると思います。

手の大きさやその人の弾き方のクセ等による部分もあるのですが、編曲・演奏者であるRubanからワンポイントアドバイスを書いておきます。

まず1ページ目、曲の冒頭から交差して始まります。
❁︎譜例1

ここではやはりプリモがメロディーを綺麗に演奏することが大切なので、セコンドがソロのようにどしっと構え両手を準備し、プリモの左腕が上からメロディーを取るようにするのがおすすめです。

❁︎譜例2


この39小節目から続く4小節間は腕の交差だけでいえば一番複雑な場面です。プリモの左手は難しくありませんが、セコンドの右手が高音から速い分散和音でくだってくるので、狭い道で対向車とすれ違うようなスレスレ感があります。
セコンドの右手はできるだけ鍵盤のおくで手首を上げてハキハキと演奏することを心がけ、プリモの左手は鍵盤の手前の端をセコンドの邪魔をしないように上がっていくことを意識しましょう。

❁︎譜例3


最後は65小節目から、ソロバージョンでも印象的な部分ですね。最初のテーマが同じ調で回想され、小さな鐘が鳴るように高音部の伴奏が現れます。

ここでは、セコンドの右手が大切なメロディーを引き受けます。少し手首を上げ上からメロディーを取るように、プリモはそれをうまく支えるように左手を下から差し込み分散和音を演奏します。


レッスンはここまでです!
皆さまお疲れ様でした。次回、企画の締めくくりとして、4手のデュオの2人が遠方に住んでいたり、1人でどちらのパートも演奏してみたい場合の二つのパートをミックスするための録音・録画機能を見ていけたらと思います。


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