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猫派になった日

僕は犬派です

旅行の帰りには友達の家の犬にもお土産を買って行くくらいの犬派です。

それでも、夏のまだ日の高い夕暮れ近く、汗とマスクにこもる息で不快指数もマックスに足早に向かう子どものお迎えの途中、いつもの細い路地を曲がった向こう側、ちょうど日陰になった通路の真ん中で黒の子猫がちょんと座って私を出迎えてくれた日にはもう…。

ところで、この子猫が居た辺りには少し前まで雑草が鬱そうと茂る空き地があって、そこにはかつての少年たちの秘密基地のように猫達の巣がいくつかあったのです。
それは獣道にも似たような感じで、いつも猫がそこにいるからそこだけ草が押し潰され、その周りは伸びにのび太草に囲まれて巣のようなものが出来上がっていたのです。
ところが梅雨の時期、さすがに草ぼうぼうも苦情が来るのか、どこかで業者さんが入ってすっかり草が刈られて、この子達の巣も跡形もなく無くなっていたのです。

僕はその頃からこの辺りに来ると例の派手な格好で、あからさまに「猫ちゃん猫ちゃん」とか一人叫んで何を撮っているのかをアピールしつつカメラを撮り出して写真を撮っていました。
まじで今は通学路にカメラを持ったおっさんが居たら通報レベルですから。

そんなわけで、一抹の寂しさを感じていたので、昨日は自由気ままな猫といえども流石に僕の顔と声を覚えてくれたのかと思ってとても嬉しく感じました。

この子猫に出くわした後、そのままカメラを向けつつ近づくと、子猫は逃げるといよりは傍に避けてコチラを何度もチラチラと見ながら一緒に次の路地の曲がり角まで歩いてくれたのでした。

令和3年8月3日

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