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分析って何? 誰に必要なの?

音楽を学ぶ人みんなに学んで欲しい

ある人のInstagramで知った「音楽アナリーゼのための実践ガイド」をようやく手に入れまして、目次と裏表紙を見てこれは必修事項と認識しました。フランス語からの翻訳なのでフランス語で買うことも考えましたが、日本語でざっと学習して必要ならフランス語を参照する方が効率がいいかなと思い、日本のAmazonから取り寄せました。
フォルマシオン・ミュジカルでは Commentaire d'écoute、直訳すると「聴取のコメント」ということが行われていて、それは Analyse auditive(聴取分析)から聴き取れたことを書いてみるというものなのですが、その活動に非常に役立つことが書かれています。Commentaire d'écoute は小学生、中学生のうちは選択式で答えていくものですが、ある程度の年齢になったら作文である程度の量を書くものとなっています。
この本は分析についての解説ページよりも音楽用語集や形式などの説明図の方が充実しているので、辞書的にも使えそうです。結局、分析というのは知識を駆使してその音楽の構造を見ていくものなので、その知識を補うという意味では非常によくできていると感じました。

音楽教育に必須の分析

分析の実践なので聴取分析に話は限っていないのですが、ざっと見たところグローバルに分析するための様々なアプローチを説明しているようです。
フランスの中学の音楽の授業では楽譜の読みはやらないと認識している(10年以上も前に臨時教員採用のオファーがあったのに応募した時の面接で言われた)のですが、この本の裏表紙に「アナリーゼは、音楽教育の様々な分野、音楽院、コレージュ(授業)、高校、または大学でその重要性が増してきている科目です」とあって、楽譜を読まなくても分析をするのか? と思った次第です。ここの翻訳はコレージュとカタカナ書きですが、この単語は文脈からして中学を指すはずなので。(コレージュは「Collège de France」という16世紀からある研究機関を指すこともありますが、かっこ書きで授業とあるのでいわゆる中学の音楽の授業と解釈できます)
以前から分析は楽譜を見て音符を読むことのみで行われるものではない、と思っていましたが、この裏表紙を読んでその感覚は間違いではなかったと確信しました。

小学校の音楽教育

フランスの小学校には決まった音楽の授業はなくて、教育省(日本の文部科学省にあたる)指定のカリキュラムというものもありません。
教育省が出している目安として、芸術的な活動を1週間にこれくらいはするようにというのはありますが、学校により、同じ学校でも担任によりその活動内容は変わります。同じ学年でもA組はコンサートホールの小学生向け公演に行くけれど、B組は行かないということが起こるのがフランスの小学校。校長裁量で「学校全体でこういった活動をしましょう」ということもありますが(我が家の子供たちが通った小学校では、歌の先生を呼んで歌の授業をしてもらってました)、最終的には担任の意向が大きくものを言うので、一般的な小学生の活動というように一括りの説明ができないものとなっています。

中学の音楽の授業は?

中学以降も目安としての習得事項はあるのでしょうが、先生の裁量にかなり任されているなという印象を受けます。
子供の中学の音楽の授業でどれだけ分析をしているのかは詳細を聞いていないのでわからないのですが、楽譜の読みにこだわらない、音楽芸術を学ぶものになっているようなのは宿題などから垣間見られます。
次男はコンセルヴァトワールクラスにいるため中学の音楽の授業もコンセルヴァトワールクラスにいる生徒用の授業なため、楽譜の読みができる子供たちばかりで授業を受けています。その辺りの違いなども詳しく知ることができたら面白いとは思うのですが、何せ「学校のことは話さない」子供たちなので探ることが難しいです。
いずれにしても、小学校とは違い音楽の授業があるので何らかの学びがあるのは間違いのないことですが。

学校の先生方はどれくらい分析を学んでいるのか?

中学の音楽の先生は私の認識では基本的に大学で音楽学を学んだ人。だから演奏がよくできるとは限りません。フランスの総合大学の音楽学では、フォルマシオン・ミュジカルの基礎はやるものの楽器は必修ではなく、日本の音楽大学の音楽学専攻とはその点では大きな違いがあります。
それでも音楽について論文を書くからには楽譜はある程度読めて、分析ができるという前提ではあります。音楽の先生になるためのコースでどれだけ分析をやるかは分かりませんが、高等教育課程では Commentaire d'écoute がどこかで必要になるので分析力はそれなりにあると認識しています。

分析をしてみたい人へ

分析といっても難しく考える必要はありません。身近な童謡でも分析を経験することはできます。20日から聴取分析を実体験する講座を開きます。
興味がある方、こちらからお申し込みください。このページはセットになっていますが聴取分析のみでもお申し込みいただけます。
さらにフォルマシオン・ミュジカルの入門に興味のある方、明日から講座を行います。初回がアーカイブになることをご了承いただければこちらもまだお申し込み受け付けます。

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