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体液と”かわき”について 2

前回に引き続き「かわき」についてのお話です。
人間はどうして「かわき」という欲求が発生するのでしょうか?
結論から話すと、体液を一定に保つために「かわき」が発生するのです。

人間やその他の哺乳動物は体液を調節して一定に保つ仕組みがあります。
それを浸透圧調節機構(しんとうあつちょうせつきこう)といいます。
漢字7文字で一つの言葉を作るとは…もっといい言葉なかったのかと…思う僕です。

浸透圧って聞き慣れない言葉だと思います。
医療従事者の方でしたら学校で叩き込まれたと思いますが、ここでおさらいです。

半透膜という、水は自由に通すがある大きさ以上の物質は通さない膜を使って濃度の違う溶液を仕切ると、水は濃度の高い方に移動します。

この移動した力を浸透圧といいます。ちょっと不思議な話ですよね。

浸透圧は生活の中にも使われています。例えば漬物です。
漬物は塩をかけることによって水分を抜きますがこれは浸透圧を利用した方法です。漬物に塩をかけると外側は濃度が高くなるので水が外側に移動し、漬物の水分は抜かれます。

体液もこの浸透圧を利用して調節されています。

何の物質も溶かしていない「ただの水」を1リットル飲むと、この水はおおよそ2時間以内に尿になって排泄されます。

水が体内に入る

→血液中に水が入り血液の濃度が薄くなる(浸透圧低下)
→血液の増加をセンサーが感知or血液の濃度が薄くなったことを感知 
→水を出さないと! 
→尿量が増える

過剰な水が体内に入ったことにより、血液の浸透圧(血漿浸透圧)が低下したので、元の浸透圧を保つために尿として水を排泄したのです。

では、血液(血漿)と同じ濃度の食塩水を一リットル飲んだ場合はどうなるでしょうか?飲んだ量は先程と同じ一リットルです。でも血液と同じ濃度の食塩水を飲んだので、血液の濃度は薄くなりません。

すると血液の増加を感知するセンサーは反応するですが、血液の濃度が薄くなったことを感知するセンサーは反応しません。

したがって尿量は微増する程度です。

血液と同じ濃度(または体液)の食塩水は0.9%と決められており、この食塩水は生理食塩水とよばれます。実はこの濃度は海水と同じなのです。
偶然ではなく、やはり人間は海から発生したんだなーっと思います(最近では人間は温泉で発生したと考えられてます)

熱中症対策で塩も一緒にとらないとダメだよ!という話を聞きますよね?なぜ塩も一緒にとらないとダメなのかはこの原理に基づいています。

水だけ摂取しても血液中の浸透圧が下がりすぐに尿として排出してしまうからです。
また浸透圧を下げないことにより、水が飲みたいという欲求を起こしやすくします。


のどの渇きは血液中の浸透圧や血流量などを指標として調節されます。

血液中の浸透圧が上昇(濃度が高まる)と脳の中にある浸透圧を感知するセンサーが反応し、

血液中の濃度が上がったから下げて~

と指令を出します。
それが「のどが渇いた、何か飲みたい」という欲求の正体です。
そして水の摂取量が増えます。


また血流量が減少するとレニンという物質をかいして、なんだかんだあり(難しいので割愛笑)アンジオテンシン2という物質の濃度が高まり口が渇きます。

※家のパソコンでアンジオテンシンを変換したらこれ→暗示汚点神とでてきたw

さらに血液の浸透圧が上昇すると尿の排泄を減らすホルモンも分泌されます。このホルモンは血流量の減少でも分泌が促進されます。

めっちゃ複雑ですよねw

「渇く」という欲求を説明しようとするとこんなに複雑になるのです。



まだありますw

実は「渇き」という欲求は胃腸から水分が吸収される前に、すでに癒されています。それは水分が入ったことで胃が広がり、それを感知して「渇き」が癒されるようになっているからです。

でもこの癒しは一過性のものであり、水分摂取が不十分な場合は、15-20分後に再び乾きが起こります。


前回のお話の一番初めに口が渇くのとのどが渇くのは違いますよ!

というお話をしましたね。

のどが渇くという場合は単に水分がほしい!ということが多いのですが、口が渇く、乾燥すると訴える場合は口腔乾燥症といいます。
急性の場合は急激な脱水、高熱、出血などで発生します。
慢性の場合は尿崩症、糖尿病、シェーグレン症候群などで発生します。

これは現代医学的な見方の話です。

中医学的にみても口が渇くとのどが渇くは別物です。
のどが渇くは単に水がほしい!も考えますが、他に心や腎に異常がないか?陰虚ではないか?を考えます。口の乾燥では津液不足、または火(虚火、実火)について考えます。

のどが渇く、口が渇く、どちらも長く続くと他の体調不良の原因になるので気をつけましょうね。


おしまい

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