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【歌集】月影

月蝕

咲いて散り満ちては欠ける輪廻の輪常住壊空の永劫の時

月天子宇宙の不思議人類が滅びし後も何をぞ映す

常しへに微笑し黙す月輪は生まれ変わりて何をぞ問はむ

永遠に死ねぬのならば何事かこの世で成すべき果たすべきかは

月蝕の如く蝕む我が身かな新たな現世この身授けよ

中秋無月

風の吹く中秋無月心思虫の音のみぞ高く響ける

無月なる心の鏡曇る夜は彼の人の事更に思はじ

月天子星々日天胸中におはしますれば吾が身宇宙か

明月

明月のあらまほしさは澄み渡る天から下界を如何に視給はむ

動乱の地球視給ふ月天子宇宙は彼程に平穏だのに

大月天兎の居ると云う国を望月(餅付き)ながら天界を観る

清洌な円かな光輝いて普く満ちてこの夜照らす

円明の欠ける事無き月光の天に満ちれば神秘の形

十六夜


十六夜の虫の音高く響く夜は世界の悲惨想はずを得じ

十六夜の神秘の光高貴なり混迷深める下界照らせよ

祈りあり黄金輝く十六夜も欠けては満ちる静寂の色

皓月

雲海を抜けた飛行機旅の者観る月如何に下界を恋はむ

月面にいつかはきっと宇宙基地メール書いてよ宇宙飛行士

君は月君は花束また果実君は星々君は宝石

月翳る闇夜に風が吹き渡る掻き曇る空清き虫の音

砂漠にて渇く命の渇望は乳房の形砂丘の月光

仄かなる月光冠の輝きて神秘彩る劫初の光

この夜に黒いインクをぶち撒けて宝石の粉砂金浮かべる

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