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<第8回>「整理」することで、問題解決力は本当に身につくのか!?

『佐藤可士和の超整理術』 
佐藤可士和著(日経ビジネス人文庫)

➊イントロダクション~「整理」しているのに「整理」できていない! と感じていませんか?

本書は2007年に単行本として発刊、2011年に文庫化された、20万部突破のベストセラーです。日本を代表するクリエイティブ・ディレクター、佐藤可士和氏の初めての著作でもあります。

佐藤氏の活躍は多くの方がご存じだと思いますが、そのアイデアの源泉ともいえるのが、この「整理術」です。

「整理術がアイデアの源泉といわれても、なんだかピンとこないな~」

そんな人のために、まずは佐藤氏の仕事場、「SAMURAI」のオフィスを見てみましょう!
どんなところで仕事をされているのかがわかると、よりイメージが湧くと思いますよ。!

今回も、本書の「まえがき」から気になった文章を抜粋してみました。

"「楽しく、早く、いい仕事をして、人に喜んでもらって、自分もハッピーになりたい」"
"「どうせやるなら、楽しくやりたい」"
"僕は、整理という行為を、ものすごくポジティブに捉えています"
"整理自体が、僕にとっては何よりのエンターテインメント"
"「整理ってこんなに気持ちのいいものなのか!」"

「佐藤可士和だからこんなことが言える」、と思った人もいるのではないでしょうか。(笑)
しかし「整理整頓」は、誰もがやらないといけない、とわかっていることです。部屋の掃除もそうですが、実際、掃除をしたあとは気持ちがいいですよね。デスクもスケジュールも整理されていれば、本当にいいことばかりです。

早速、クリエイティブ・ディレクター「佐藤可士和の超整理術」を実践していきましょう!
Let’s try!

➋実践してみたよ~話題の広告も、じつは整理術の賜物だった!

私の「グッと」きたところ、佐藤可士和の「整理のプロセス」

本書は、佐藤氏が手掛けた数々の仕事のなかでも、多くの人が見たことのある広告や商品、企業のCI(コーポレート・アイデンティティー)プロジェクトなどの事例を挙げて、話が進んでいきます。単行本の発刊が10年以上前なので、内容も当然10年以上前のものなのですが、「あっ、これ、あったなぁ~」と、覚えている自分にも驚きました。それだけ、生活者(私)の心をつかんでいたのですね。

そのさまざまな仕事のなかで共通しているのは、「整理のプロセス」を踏んでいること。
これこそ、「超整理術」のポイントでしょう。

整理のプロセスは、
状況把握
視点導入
課題設定
です。

課題が見つかれば、問題の半分は解決する」と、佐藤氏は言っています。
たしかに、課題を見つけられなければ、そもそも問題解決はできないですよね。

ユニクロのブランディング事例に、ちょっと当てはめてみましょう。
佐藤氏にクリエイティブ・ディレクションの依頼があったのは、2006年初頭のこと。ユニクロの世界戦略を見据えた、グローバル旗艦店をニューヨークにオープンする計画が発端だったそうです。

順番に説明していくと、
①ユニクロの情報を整理(状況把握
②柳井正会長にユニクロ・ヒストリーを話してもらい、自分の知らないユニクロを知る(視点導入
③世界に打ち出せるユニクロの本質であるビジョンを探る(課題設定
というステップとなります。
その結果、柳井会長は、佐藤氏がデザインしたロゴも気に入ってくれ、同社の世界的なブランディング戦略がスタートしたというわけです。

これ、かなり使えそうですね!

「三つのステップ」を経ることで、真の課題が目の前に現れ、根本的な問題を取り除くことができるわけで、あなたの仕事にもきっと応用できるでしょう。(気づいていましたよね?)

私の「本当に使える!」実践テクニック、混沌とした世の中へ挑む前にデスクの整理を

本書には、実際に使える実務レベル、業務レベルの整理術もたくさん書かれています。
たとえば、「机」。
そもそも「机」は、何をするための場所でしょう?
荷物置き場にしていませんか? もちろん、本を置く場所でもありません。

そう、作業をする場所です。
となると、置いていいものは電話とPCくらいが、本来の「机」の姿でしょう。
このように、作業がしやすい状態にしておくことが、「机」の基本なのです。「理想」ではありません。
では、なぜ「机」には荷物がいっぱいなのでしょう?

本書には、「複雑すぎる現代の世の中に、危機感をもって挑むべき」だと書いてあります。
現代は非常に複雑な状況です。想像できると思いますが、インターネットやSNSなど、さらに複雑さは増しています。そんな状況では、問題の本質を見抜くこともたいへん。「世の中は複雑なんだ」ということを認識しておくことが、本当に大切だと思います。
本や書類が山積みの「机」は、本質を見失ってしまった「結果」だということですね……。

「整理」は、その複雑さを取り除いて、本質を見抜く練習になると思います。

ということで、まずは自分の「鞄」や「机」、さらに「キャビネット」や「PCのデスクトップ」も整理してみましょう!
本書には、これらの超具体的な整理方法も記載されていますので、気になる方はぜひ、読んで実践してみてください!

整理するか、しないかは、アナタ次第! です。

★おまけ★最近読んでいる本

『経営学』小倉昌男著(日経BP社)
「宅急便」のアイデアは牛丼の「吉野家」から生まれたという逸話、労働災害を減らすための「安全第一、営業第二」の取り組みなど、わかりやすいケース・スタディーがたくさん書かれています。企業経営だけではなく、新規事業や現状打開のヒントにもなる「名著」です。また、時代の風を読む力、明るい性格、などが挙げられた「経営リーダー10の条件」は、いまこそ必読ではないでしょうか。お勧めです。