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写真撮るのが辛くなって、『高野山』に行った時の話...

今回は僕のフォトグラファーとしての転機になった時の話を書こう思います。それは奇しくも僕がフォトグラファーを辞めようと考えた時というか、スゴく写真撮影について迷っていた時期でした。

僕がそう思った直接の原因は2011年3月11日の東日本大震災だったように思います。当時の僕は都内の古びた倉庫内のスタジオで、毎日200着くらい女性のアパレルを撮影してました。

大きな横揺れの後、幸いなことにスタジオにあまり被害はありませんでしたが、その後の度重なる余震や被災地の報道を見るにつれ、僕の心がトラウマのようなものに支配されていきました。僕は神戸出身で、阪神・淡路大震災の時は高校一年生でした。風邪で寝込んでいた日の早朝に、波動のような縦揺自分の真下を走ったことを鮮明に覚えています。

心の中の恐怖心や焦燥感は日に日に大きくなり、それまであまり苦じゃなかった撮影の仕事に支障をきたすようになっていきました。今思うとスタジオ内のみでの撮影業務だったので、閉ざされた空間で黙々と作業していることが追い打ちをかけたのかもしれません。

ファインダーをじーっと覗くのもイヤになり、それまで続けていた作品制作や作品撮りなどのことは一切考えられませんでした。そんな矢先、スタジオがゴールデンウィークを挟んで二週間ほど休みになることを利用して、弘法大師ゆかりの高野山に行くことを決めました。もともと空海好きだったのもあり、ちょっと不思議な力に導かれるような感じで向かった様に思います。

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空海って偉大な僧侶でありながら、イベントプランナーみたいなところがあって、高野山は『まるで山頂にある仏教パビリオンだな〜』って率直に思いました。四国お遍路もそうですが、彼は仏教をいかに体験化するかみたいなことを考えていたのかなと思います。そのパビリオンの中でも大塔内の立体の曼荼羅や南院の鳴き龍の天井画は、インパクトがハンパなくって今でもよく覚えています。

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あと、『樹齢千年を超える杉の中の霊界』を歩いている気持ちになる『奥之院』はスゴく神秘的でした。上杉謙信や武田信玄を始め数多くの戦国武将の墓を抜けた後に弘法大師御廟があります。僕の泊まった宿から近かったこともあり、何度も参道を歩きました。高野山の行く先々で見かけた公式ゆるキャラ『こうや君』でさえ、Produce by 空海なのかなって思えるくらい、神秘的エンターテイメント感じられる場所でした。

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不思議なことに、高野山から下山する頃には心の中の恐怖心や焦燥感がだいぶ小さくなっていました。そして、それらが脳内で小さくなった分、写真撮影や作品撮りについてのイメージが再び浮かんでくるようになりました。

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横浜に帰る頃にはすっかり創作意欲が戻っていて、『神秘的な作品とはおこがましいですが、神秘さを感じさせる作品を作りたい』みたいなことをぼんやり考えていました。それから数週間後、そのぼんやり考えたことが現実になる機会が来ます。

当時mixiのフォトグラファー募集のトッピクスで、『紫陽花(あじさい)の作品を作りたいので、空気の撮れるフォトグラファーを募集します』という不思議な募集を見つけて、『空気は物理的に撮影は不可能ですが、雰囲気なら撮れます』と返しました。

どうやら先方に気に入ってもらえた様で撮影する運びとなり、もう紫陽花の時期が終わりかけてましたが、なんとか神奈川県の奥地に紫陽花が満開の場所を探し出し、撮影したのがこちらの写真です。

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この写真をきっかけに白塗りアーティストのminoriさんとの写真作品制作が始まり、2015年以降は世界各国の海外イベントに同行様になりました。今この紫陽花の作品を改めて見ると、高野山で得た神威的な『何か』に突き動かされたから撮れた様に思います。弘法大師空海が僕の代わりに、シャッター押してくれたのかもしれません。

なので、写真撮影に行き詰まった方に僕は高野山の様な神聖な場所に行くのはアリなのかな〜って思ってます。神秘的な環境で心の目が開くと、それまでとは違うの写真が撮れるかもしれませんね。

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ちなみに、高野山のHPはとても綺麗でよくできてます。(https://www.koyasan.or.jp/)

minoriさんとの作品が気になった方はこちら (https://www.minori.co/)

動画もあります⬇️⬇️⬇︎

ガチ作品編1











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